MGC パイソン PPCカスタム(パイソン・ヘビーバレル カスタム)

ギャラリー

PPCカスタムとは

PPCとはアメリカで行われているシューティングマッチの一つで、「Police Practical Corce」または「Police Pistol Combat(現在NRAが採用しているのはこちら)」の略名とされています。1949年頃にF.B.I.が始めたコースをベースに57年頃競技としてのフォーマットが確立したと言われています。

使用する銃器の種類によって4つのコースがあり、カスタムガン部門ので使用されているのがPPCカスタムと呼ばれるリボルバーベースの6inchカスタムガンです。実践的とは言ってもスピードやタクティカル性よりも精度を重視した競技内容により徐々にマイナー化しましたが、現在でも競技は行われているようです。

日本には1970年代後半あたりから月刊GUN誌に断片的に情報が載るようになりました。広く認知されるようになったのは1980年のイチロー・ナガタ氏の月刊GUN誌の「PPCカスタム」のレポートからだと思われます。

PPCカスタムのモデルガン

翌1981年にはMGCとコクサイによってPPCカスタムがモデルガン化されました。それには両社と関わりがあったイチロー・ナガタ氏の助言があったとされています。

PPCカスタムのベースとなるS&W Kフレームのモデルガンを作っていなかった事から、両社ともに既に製造してていたS&W M29(Nフレーム)とパイソンをベースにPPCカスタムが開発されることになります(コクサイはNフレームの新型メカをPPCカスタムのために開発)。

S&WのKフレームをベースとする実銃のPPCカスタムとは根本的に異なる仕様になるため、コクサイは製品名にはPPCカスタムの名称は使わず、「M29カスタム(SATAN、DEVIL)」「パイソンカスタム」の名称となっていました。

一方のMGCは当初「PPC COMBAT SHOOTEING・MGC HEAVY BARREL CUSTOM SERIES」の「COLT POLICE PYSON」「44 MAGNUM」という名称で発売されましたが、後に「パイソン・ヘビーバレルカスタム」や「44マグナム・ヘビーバレルカスタム」という略称を使うようになり「PPC」の名称は使わなくなりました。

※この記事内では通称の「PPCカスタム」、パイソンの場合は「パイソン PPCカスタム」で統一します。

コクサイのPPCカスタムは、M29(新型Nフレーム)をベースにしたモデルが2タイプ(デビル&サターン)各2バレル長バリエーション。パイソンベースのモデルが1タイプ・2バレル長バリエーションで発売されました。そそれぞれ量産モデルの1.5倍程の価格帯でした。

MGCのPPCカスタムは、MCW(MGC CUSTOM WORKS)ブランドのカスタムモデルという位置づけで、展開されました。M29(Nフレーム)ベースのモデルがラウンドバレルタイプが1バリエーション。ウェイト付きスラブバレルタイプが2種類のバレル長バリエーション。

パイソンベースのものはスラブバレルタイプが3種類のバレル長バリエーションで発売されました(当初はコクサイに似た、ラウンドバレルタイプの発売も予定されていました)。

MGC パイソン PPCカスタ

MGCパイソン357 PPCカスタムの発売は1981年で、M29PPCカスタムより先行して発売されました。発売前の広告等ではラウンドバレル・イライアソンリアサイトタイプで6inchと8inchが発表されてましたが実際の発売は先に述べたようにスラブバレルタイプの4inch、6inch、8inchの3タイプでした。

翌1982年に「西部警察 PART2」にMGCのパイソンベースのPPCカスタム 4inchモデルが使用されてから、より人気が高まり、4inchバレルのパイソンPPCカスタムを中心に何度か断続的に生産が続いたようです。

モデルガンにおけるPPCカスタムは競技用カスタムとしてよりも人気ドラマのプロップガンとして高い認知度と、そこから派生したキャリーガンとしての独特のポジションを築いています。

▲ 月刊GUN誌 1981年 5月号 表3広告

この時点で、コクサイのパイソンPPCカスタムは発売されていたようなので、MGCにしては珍しく後追いのモデルアップだったようです。

最初にベーシックな6inchモデルを中心に紹介していきます。

MGC パイソンPPCカスタム 6inch(初期型)

PPCカスタムはこの時期のカスタムモデルと同様、MGCオリジナルの汎用ハードケースに入れられて販売されました。4、6inchは「ガンケース デラックス」という名称の6inch用ケース。8inchモデルは大型の8inch専用ハードケースでした。

初期型は、モデルガンの刻印と同じナンバリングが入ったキャラメルタイプの段ボールが、ハードケースの外箱として使用されていました。初期モデル以外、外箱は見かけたことが無いので、ごく初期販売分だけの仕様と思われます。(本文中の初期型・中期型などの区分は独自のものです)

ケース内には本体と、専用カートリッジ、スピードローダー、真鍮製PPCプレート、プレート型のMCWドライバーが付属します。

MGCパイソンPPCカスタムを一言で言うと、オリジナルモデルのパイソンのバレルをジュラコン製のスラブバレルに交換。金属製のリブサイトを載せて、専用木製グリップを付けたカスタムということになります。
重量はカートリッジ6発込みの実測値で998g。オリジナルNEWパイソンよりも、かなり重くなっています。

発売当初は専門誌などの影響でPPCマッチガンは6inchという刷り込みがなされていたので、6inchに注目が集まりました。ベースガンがKフレームよりも一周り大きいパイソンなので実際に手に取ると、かなり大柄でゴツいリボルバーになっています。

スラブバレルは恐らくジュラコン製。左側には「MGC CUTOM GUN WORKS(MCW)」の刻印と個体ごとのシリアルNO(画像では一部を消しています)が入っています。バレル側面に機械加工の痕があるので、手作業で作られていると思われます。ジュラコン材はABS材と異なり、放置していると白化するのが難点です。

バレル下面から見るとエジェクターロッドの形状に合わせて、スイングアウト用にバレル下面が切削加工されているのが分かります。この加工も機械加工のようで手間がかかっているのが窺えます。ロッド先端を固定するロックのようなものはありません。

ロッド先端のロックが無いのは、ベースとなったMGCパイソンにはヨーク部分にフレームと噛み合うオリジナルのロックが設けてあるから。またコルトリボルバーはシリンダーの回転が右回りなので、常にヨークが閉じる方向に力がかかるので、S&Wのような強固なロックが必要無いと言う理由もあります

個人的に一番拘りを感じるのが、マズル部分。競技銃のようなステップド・クラウンになっているのに加えて、さらにマズルの縁を斜めにカットしています。

そのカットされたマズル部分にはライフリングも刻まれています。バレルにライフリングを入れるのも機械加工のようですが、バレル製作にかなりの手間がかかっているのは確かなようです。

PPCカスタムの特徴の一つが、大型のリブサイト。MGCはボーマータイプのリブサイトをモデルアップしています。このパーツ自体は金型で作られているので、一番大きい8inchサイズをベースに4、6inch用を加工していると思われます。

上面の6角スクリューでバレルに固定していますが、樹脂製のバレル自体にネジを切っているので何度も取り外すのはNG(しかもフレーム側の1本は簡単に抜けないようになっています)。

このフレーム部分のスクリューが実銃のリブサイトの取付と異なる部分(実銃はバレルのみにリブサイトを固定)なのですが、リブサイトの重量をフレーム側に分散させる強度面での重要な役割があるので、モデルガン的デフォルメとして割り切って考える必要があります。

フロントサイト部分は別パーツ。サイトの両側にサイト保護のためのウィングが付いているコンパクトな仕様。ウィングの厚さがありすぎて、フロントサイトと見間違えそうなのが気になります。もっとも実物のサイズに合わせて作られているという話もあるので、昔からモヤっと感じている部分です

リアサイトはボーマー製をキチンとコピーしています。左右上下の調製できるリアサイトの再現は、このモデルが最初だった気がします。後のGM5カスタムのピンガンやホーグカスタムに装着されていたボーマーサイトと同じ金型で作られているようで、互換性があります。

内部メカはMGCパイソンと同じもの。カスタムとしてのチューンナップやカスタムパーツは使用されていません。MGC独自のメカなので経年変化等でいわゆるコルト病は発症しませんが、只でさえ組立に難のあるシリンダーハンドとトリガーバーの接点部分の掛かりが、次第に甘くなってくる問題は抱えています。

初期型の特徴は、独特な形状のナス型木製グリップ。材質はローズウッド(紫檀)で、高級感のある仕上がりでした。ルックス的には意見が分かれるところですが、細身なので握りやすさは一番だと思います。初期モデルだけで終わったのは評判がイマイチだったんでしょうね。

グリップを外して見ると、左右対称のデザインになっているのが分かります。PPCで重要視されるクイックローダーの使用を考慮した左側グリップのローダーカットは、余り意識されていないデザインになっています。

グリップの内側を見ると、MGCパイソン独自のグリップウェイトデザインによって内部を深く抉った加工がされているのが分かります。バックストラップ部分がかなり薄くなっているので、強度的に弱いデザインなのがわかります。

ちなみに左右のグリップは共削りではなかったようで、所持モデルのグリップはグリップエンドの形状が左右で微妙に異なります。

以下はバレル長バリエーションなので簡単に

MGC パイソンPPCカスタム 6inch(中期型)

MGC パイソンPPCカスタムの代表的なイメージとなっているのが、この中期型。1981年7月号のコンバットマガジン誌のPPCカスタムの記事は初期型が取り上げられていましたが、同年9月号のGUN誌でPPCカスタムが取り上げられたときには既に中期型になっているので、初期型が販売されていたのは2〜3ヶ月ぐらいだったと思われます。

初期型との違いはフィンガーチャネルの付いたスクエアタイプの木製グリップに変更されたこと。確かにルックス的には格段に良くなっています。恐らくこのモデルの生産数が一番のかったと思われます。

グリップの材質は、初期モデルと同じローズウッド(紫檀)製と言われています。このグリップは左右でデザインが異なり、左側グリップにスピードローダー用のカットが施されました。実際には深く削り込んでいる訳では無いので形状だけのカットですけど、良いアクセントにはなっています。

グリップを外して内側を見ると初期型のグリップと同様に、内部を深く抉っているのでバックストラップ部の強度が足りないのが分かります。また、グリップエンドの形状がフラットになっているので、左右のグリップの形状を合わすのは初期型よりは楽そうです。

短期間にグリップの形状が変わったのは、ユーザーの反応よりも製作の簡略化のような気もします。後に純正アクセサリーとしてグリップ単体でも発売されていたようなので、PPCカスタム本体分よりも多めに生産されていたと思われます。

MGC パイソンPPCカスタム 6inch(中期型・スモール刻印)

先に紹介したパイソンPPCカスタム6inch(中期型)よりもシリアルNOが400番近く後のモデル(画像では刻印自体は消してあります)です。左側バレルの刻印「MGC CUSTOM GUN WORKS」の刻印が小さくなっています。

▲ 上:パイソンppcカスタム(中期型)、下:パイソンppcカスタム(中期型・スモール刻印)

比較すると刻印のサイズだけではなく「CUSTOM GUN WORKS」の書体や文字間が微妙に変わっています。打刻位置もバレル基部に1cm程近づいているので、刻印の位置バランスが悪くなっています。

リブサイト正面を見ると、フレーム部分に固定する6角スクリュー(簡単に分解できない)のみサイズが大きく変更されています。これは中期型以降の特徴で、強度面の改善等の意図があるのでしょうか。

他の部分も比べてみましたが、バレル右側の刻印とリブサイトのスクリュー以外の違いは皆無でした。別のバレルサイズのPPCカスタムにも同じスモール刻印のものが見受けられるので、本体の製造ロットの違いと言うよりもバレルパーツの生産ロットの違いによるものと思われます。

MGC パイソンPPCカスタム 4inch(中期型)

MGC パイソンPPCカスタム 4inch(中期型)

発売当初は4inchバレルのPPCカスタムはあり得ない的な扱いを受けていましたが、翌年「西部警察」のプロップで使用されてから圧倒的な人気になりました。実際キャリーガンとしてのバランスは、4inchモデルが一番良い気がします。重量はカート込みの実測値で893g

バランスの良い4inchバレル右側の刻印はラージサイズですが、位置は6inchのスモールサイズ刻印と同じくフレーム方向に下がった位置になっています。4inchバレルのセンター位置に合わせると、この位置になるんでしょうか。もしかするとスモール刻印の位置は人気で数が出る4inchモデルに合わせた改良かもしれないですね。

リブサイトは4inchバレルに合わせて短くなっています。フロントサイトの6角スクリュー以外のスクリュー位置が6inchモデルと同じなので、4inch用にリブサイトを後加工で短縮していると思われます。フレーム部分のスクリューがサイズアップされているのは6inch(中期型)と同じ。

リボルバーのバレル長バリエーションと同じで、バレルとリブサイトの長さ以外は6inchモデル(中期型)と全く同じ仕様。4inchモデルのみTAITO時代にHWにリメイクされている事を考えても、人気の凄さがわかります。

MGC パイソンPPCカスタム 8inch(中期型・スモール刻印)

恐らくMGCパイソン PPCカスタムの中で、最も人気が無かったモデル。PPCマッチで標準サイズの6inchでも無いし、ハンティング用に使う仕様やルックスでもない用途不明のモデルの印象。サイズ的に取り回しも良くないので、遊ぶためのモデルガンとしての需要も低かったと思われます。重量は実測値で1,089g。

8inchモデルだけはサイズが大きすぎるので、他のモデルと同じハードケースが使えず、専用の8inch用ハードケースで販売されていました。このサイズのハードケースは当時のカタログに載っていないので確認できませんが、単体でも販売されていたと思われます。

8インチサイズのリブサイトには、フロントサイト後ろに新しく6角スクリューが追加されています。重量のあるリブサイトをしっかり固定するためには3本のスクリューが必要だったのでしょう。

後方2つのスクリューの位置は、4inchと6inchモデルのリブサイトと同じ位置。8inch用のリブサイトがベースで、残りは8inch用を後加工して作られたと考えられます。

8inchサイズのバレルに、スモール刻印。しかも刻印の位置が かなりフレーム側に寄っているので極めてバランスが悪く見えます。ネットで散見されるラージ刻印のモデルでも1cm程度マズル側に寄るだけなので、元からバランスの悪い位置に刻印されていたことになります。

画像で刻印より左側にあるモアレ上の模様は、後加工と思われる機械加工の痕です。

80年代後半には8inch PPCカスタムが,MGCの店頭でセール対象になって半額程度で売られていたのが印象的です。一部のカスタムショップでは8inchモデルをベースに4inch化するカスタムが行われていたようです。

MGC パイソンPPCカスタム(後期型)について

パイソンPPCカスタムの後期型に付いては、MGCのカタログや宣材等に掲載された画像等はありませんが、第三者の画像などで存在が確認されています。初期型、中期型のように装着されている木製グリップが異なるので、便宜上後期型と区分しています。

▲ 画像出典:モデルガンショップ アンクルHPより(https://uncle-shop.com/20631)

後期型と思われるグリップには幾つかの種類があるようですが、基本的には80年代半ば頃にMGCがパーツとして販売していた3フィンガーチャネル付きオーバーサイズグリップにメダリオンを付けたタイプが有名です。

他には同タイプのグリップのローダーカットが異なるもの等見受けられますが、当時店頭で実物を見た記憶が無いので、はっきりとしたことは分かりませんし、何時ぐらいから切り替わったかも不明です。

MGC パイソンPPCカスタムの付属品

▲ PPC真鍮プレート 上:通常版、下:初期モデルに付属したタイプ

MGC PPCカスタムシリーズに付属したオリジナルアクセサリーの一つが、真鍮製のPPCカスタムプレート。タイプが2種類あって一般的なのが画像上の黒文字盤。下は初期モデルに付属したものですが、コンバットマガジン1981年7月号の MGC 44マグナム PPCカスタムの紹介記事の写真(以下の画像)以外見たことが無いタイプ。

▲ 出典:月刊コンバットマガジン 1981年7月号

MGCの雑誌広告や同じ7月号に掲載されているPPCカスタムの特集記事には一般的な黒文字盤のプレートが載っているので、試験的に作られたものをごく初期のモデルに付属させたのかもしれないですね。

▲ MCW専用コイン型ドライバー 左:表、右:裏

もう一つのオリジナルアクセサリーが、コイン型ドライバー。表がMGCロゴで、裏が「MCW(MGC CUSTOM GUN WORKSの略)」が刻印されています。同タイプのコイン型ドライバーは何種類か作られていたようですが、付属の「MCW」の刻印が入ったものは、PPCカスタムの専用付属品だったようです。

▲ ラバー製スピードローダー(表&裏)

ラバー製スピードローダーはMGCが発売した最初のスピードローダーも付属しました。当時でも古いタイプのスピードローダーだったようですが、スピードローダーの認知度を高めた功績は大きいです。単品で販売もされていました(700円)が、スピードローダーとしては使い難く現在ではゴムが硬化して外見だけのものになっています。

カートリッジはシルバーメッキされた特別仕様。構造はインナーに抜け止めのOリングが付いた、NEWパイソン用の真鍮カートリッジと同じもの。

カートのリム部分に「MGC-MCW」「357-MAG」の刻印が打たれた専用カートリッジでした。こちらは確認できませんでしたが、別売されてなかったと思います。

▲ 上:PPCカスタム付属のカートリッジ、下:H.G カートリッジ

84年頃に発売されていた「H.G カートリッジ」は外見は同じシルバーメッキですが、内部はスプリング式の発火性能を高めたタイプなので、PPCカスタム付属のカートリッジとは全くの別モノです。

▲ 上:81年に購入した初期モデル付属のカートリッジ、下:80年代末にセール品として購入したPPCカスタムに付属したカートリッジ

面白いのは、80年代末頃にMGC直営店(ボンドショップ)で、セール品として購入したPPCカスタムのカートリッジの紙ケースが「H.G カートリッジ」の紙ケースだった事。中身は従来型のOリングを使用したリムに刻印の入ったPPC専用カートリッジだったので、販売時に在庫のあったH.Gカートの紙ケースを使い回したようです。

付属の取説は、NEWパイソンの通常モデルと同じA4サイズ2つ折り1/1Cのもの。基本的な分解組立の説明もイラスト入りで載っている便利なものですが、別刷りで専用取説を一枚も付けないところが当時っぽいですね。

その他宣材

▲ 月刊GUN 1981年6月号 表4広告

▲ 月刊コンバットマガジン 1981年7月号 表4広告

▲ 月刊GUN 1981年9月号 表3広告

MGC パイソン PPCカスタム フライヤー(B5サイズ 1/0C)

最後に(サマリー)

MGC パイソン PPCカスタムが発売された1981年はモデルガンの人気が絶頂期に向かって上がり始めた頃で、実銃につい手の情報やアメリカの銃事情が、専門誌を通じて細かく日本に入ってきた時期と重なります。

当時最新の(実際には少し遅れてましたが)PPCカスタムガンはモデルガンとして注目度も高かった訳ですが、モデルベースが実銃では存在しないパイソンだったことから、雰囲気をよりもリアルさを重視する当時の風潮からは微妙な感じだったのは確かです。

翌年の「西部警察」に使用されたことで、プロップガン、キャリーガンとしての人気が出たものの、マッチガンとしての存在感は薄れたままでした。

83年に発売された「シューターワン」によって、本来マッチガンとしてのPPCカスタムに脚光が当たっても良かったはずですが顧みられることも無く姿を消すことになります。雑誌広告のキャッチコピーの「鑑賞派宣言」でも分かるように、当時のカスタムはコレクション目的の高級モデルガンという認識だったのでしょう。

1986年にはエアガンに否定的だったMGCが、ガスガンの「M93R」を発売して、モデルガンは完全に下火になります。記憶の中では、もの凄く人気があったように感じているパイソンPPCカスタムも、人気があったのは発売された81年から83年頃までの3年程度。

それでも、MGC パイソン PPCカスタムのデザインは現在のエアガン(マルイ パイソンPPCカスタム)に、ほぼそのまま流用されているんだから、強烈なインパクトがあったことは間違いありません。正に記憶に残るモデルガンですね。

81年当時の販売価格

・MGC パイソンPPCカスタム 4inch・・・・・・・・・17,000円
・MGC パイソンPPCカスタム 6inch・・・・・・・・・18,000円
・MGC パイソンPPCカスタム 8inch・・・・・・・・・20,000円
・カートリッジ(6発)・・・・・・・・・・・・・・・ 700円
・357MAG用クイックローダー(ゴム製)・・・・・・ 700円

参考資料

・月刊 GUN誌 1980年12月号 (PPC カスタムリボルバー ”グランド・マスター” by I.Nagata)
・月刊コンバットマガジン 1981年6月号(モデルガン最新NEWS)
・月刊コンバットマガジン 1981年7月号(モデルガン/テストレポート by くろがねゆう)
・月刊GUN 1981年9月号(モデルガンダイジェスト by ジャック天野)