タナカ SIG SAUER P226 MK25レビュー(2020.05.18.加筆)

レビュー

タナカ SIG SAUER P226 MK25は、タナカのシグP226シリーズのバリエーションモデルで、最新のミリタリーモデルをモデルアップしています。内容的にもEVO2カートリッジの採用やスライドストップノッチ欠け防止対策などの発火性能向上のための改良が施されたモデルとなっていますので、細部を含めてじっくりと見ていきます。

実銃についての簡単な説明

SIG SAUER P226は、1981年に開催されたアメリカ軍次期制式ハンドガントライアル(XM9ハンドガントライアル)用に開発された、P220をベースにダブルカラムマガジン化したハンドガンで、ベレッタM92Fとともに最終候補に残りましたが、アメリカ軍制式ハンドガンの座を逃しています。

トライアルが一時中断した83年にP226として市販されましたが、ハンドガン単体としての評価は高く、88年にFBIに採用される等、各国の法執行関係部門や軍にに採用されています。

発売以降、スチールプレスによって製作されたスライドが、CNC削り出し製法に変わるなど改良が続けられ、現在も製造されています。

P226MK25は、アメリカ海軍特殊部隊SEALs採用モデルMK24の後継モデルで、塩水腐食に対する新しい防錆処理(スライド=ナイトロンコーティング、フレーム=ハードアノダイズド)やピカティニーレールの採用等の改良が施されています。

現在ではSEALs採用モデルはGlock G19 Gen4モデルをベースとしたMK27に移っていますが、市販モデルとしてP226MK25の名称で一般のカタログモデルとして販売が続いています。

タナカ SIG SAUER P226 モデルガンについて

タナカがSIG SAUER P226のモデルガンを発売したのは1994年と古く、エアガンの発売よりも1年前となります。その後、素材を含めて何度も改良され、現在ラインナップされているモデルバリエーションは「P226アーリータイプ」「P226 レイルドフレームモデル」「P226 MK25」の3機種です。

発火方式(カートリッジ)は最初期の「パラカート」から「メタルカート」へと移行し、さらに改良された「Evoカート」現行型の「Evo2カート」に進歩しています。

タナカのカートリッジの変遷については以下のページの後半部分を参照ください

タナカ H&K P8(Evolution HP)レビュー(http://ozashiki-shooters.com/?p=4826

また本体も再販を繰り返すごとに、発火性能を向上させた「Evolution」、「Evolution2」と進化し、最新の「Evolution2」はスライドをABS素材、フレームをHW素材とした、耐久性とスライドスピードの向上を考慮したモデルとなっています。

タナカ SIG SAUER P226 MK25について

パッケージはSIG SAUER P226シリーズ専用のもの。最近のタナカのパッケージは、シリーズごとに共通のデザインの分かりやすいもの。SIG SAUER P220系は共通デザインで、P220とはカラーリング違いなのも良いですね。

パッケージの身の部分は発泡スチロール製で、タナカのM92F・P220用と同じもの。外寸サイズは同じなのにUSPとGLOCKは別の型を使っているのが不思議。

左側スライド刻印は「SIG SAUER」のブランド名と「P226」のモデル名のみ。海軍を表すアンカーマークはホワイトのレーザープリントのようで、細かい部分まで綺麗に再現されています。フレームのダストカバー部の平面には付属のUID(Item Unique Identification:アイテムに唯一のIDを付ける永続的なマーキング方法)プレートを貼り付けるようになっています。

形状が変わったデコッキングレバーと、チェッカリングタイプのマガジンキャッチボタンは新パーツ。デコッキングレバーの色目が他のレバー類と異なっているのは実銃も同じ(画像で見る限りはもう少し濃いグレーかも)。

リアサイトはシグ社純正の夜間用蓄光サイトを再現。これはエアガンのM11用のパーツと同じかな。スライドのブリーチブロックピンも新パーツで、実銃同様シルバーになっています。

目立たないところですが、丸で囲ったハンマーストップというパーツがエラストマー製(ゴムのような軟質樹脂)に変わっています。これは発火時のハンマーの衝撃をフレームに直接伝えないための改良のようです。

右側フレームダストカバー部の刻印は生産者所在地「SIG SAUER INC.EXETER-NH(2007年からアメリカ法人SIG ARMSをSIG SAUERに変更。その所在地がニューハンプシャー州のエクセター)」

「FRAME MADE IN GERMANYーSAUER (丸いロゴはSAUER&SOHN社のロゴ)」とあるようにフレームはドイツ製。テイクダウンレバー後方にある「DE」はドイツの国名コード、その下の「U824 516」はシリアルNO。

チャンバー部にある「9mm Para」の口径表示はタナカの初代P226と同じもの。画像で見た限りでは実銃のP226MK25のチャンバー表記は、「9MM PARA」「SIG」と2行表記になっているようです。

左:タナカ製P226レイルドフレーム、右:タナカ製P226MK25

P226MK25の外見上もっとも特徴的な部分はダストカバーのピカティニーレイル。画像左のP226レイルドフレームのレイルと比べると大型化して平面になった形状の違いが良く分かります。

右側グリップを外すとトリガーバーとトリガーバーSPが現れます。トリガーSPは従来旧型タイプだったものが、ようやく現行タイプの輪が付いた形状に変わりました。これでグリップの組み立てが数段楽になります。

右側グリップ 左:タナカ製P226MK25、右:タナカ製P226レイルドフレーム

そのグリップは一見変化がないように見えますが、よく見ると滑り止めのテクスチャーが深くなっています。これも完全に新規パーツですね。

フレームのパーティングラインの大部分は消し加工がしてありますが、消し切れていない箇所が幾つか目に付きます。

特にフロントストラップ部のパーティングラインは、目立つ上に凹んでいるため、ヤスリ掛けだけだと完全に消せない状態なのが、非常にやっかいです。

次に簡単に分解してみます。

グリップを外す以外は、工具無しでここまで分解できます。通常のメンテだったらここまでで充分ですね。

上:P226 Evo2 バレル、下:P226 Evo バレル

最初に気がつくのがバレルの素材。他のP226 Evo2モデルと同様、光沢の強いものになっています。従来と同様ポリカーボネート系(ナイロン系という説もありますが)と思われます。チャンバー下部に強化プレートがあるのも同様で、耐久性UPが図られているようです。

上:P226 Evo2 リコイルSPユニット、下:P226 Ev リコイルSPユニット

リコイルSPユニットも、新しくリコイルSPガイドにSP製のダンパーが付けられ、リコイルSP自体は短いものに変えられています。これも反動を吸収するための改良ですね。P226 Evo2モデル共通の仕様のようです。

フレーム内の金属製プレスパーツについては防錆処理がなされているとありますが、トリガーバーとスライドキャッチレバー以外は通常のブルー処理のようにも見えます。この辺りは実際に発火してみないと素人には分かりませんね。

スライド内ブリーチ部分左側には、シルバーメッキされた金属版が埋め込まれています。これもEvo2モデルになってからの仕様で、最終弾発射後のスライドキャッチレバーを、この金属パーツで受ける仕様のようです。

実際にスライドオープンさせて、エジェクションポートから確認してみるとスライドキャッチレバーが金属パーツにぶつかってスライドオープンさせているのが分かります。

同じ状態をスライド左側から見てみると、スライドストップレバーとスライドのニッチ部分とにスキマがあるのが分かります。エアガンのGBBによくあるノッチ削れ対策ですね。

エアガンのブローバックに比べて、強力なモデルガンのブローバックを考えたら当然の改良ですね。知る限りではノッチ対策が施されたモデルガンは、タナカのP226Evo2が最初のような気がします。

マガジンはパーカーライジング調の防錆処理がなされたもの。見た目は悪くないのですが所持個体のマガジンは、どうやってもカートが11発しか入りません。

しかもフォロアーが引っかかっているらしく5・6発目以降はカートのせり上がりも悪く、しかもカートの頭がお辞儀をしています。これでは快調な作動は見込めなさそうなので、分解して調整する羽目になりそうです。

試しにTake5から発売されているタナカP226用20連マガジン(KSC製93R用マガジンにP226用ノッチを加工したもの)を使用してみると、カート20発をきちんと装弾できて、P226本体への装着もスムーズでした。

Evoモデルのマガジンも問題なかったので、P226MK25に付属したマガジンに問題があるのは間違いないところですね。

付属品

パッケージにはEvo2カート5発、ローダー、デトネーター用レンチ、アルミ製UIDプレート、両面テープが付属します。

UIDプレートはセラコート仕上。ホルスターに出し入れしたときでも耐久性はありそうです。両面テープで貼る仕様なので、そちらの耐久性の方が気がかりかも。

プリント自体は精密でリアルですけど、シリアルNOは共通NOで、QRコードも読み取り不可なのは残念。コストを考えると当然ですけど、デキが良いので期待してしまいました。

実銃のUIDプレートは、Seals制式ピストルの場合は軍の管理システムに直結する仕様なのでしょうけど、市販モデルのUIDプレートはどういう機能があるのかな?調べたけど分かりませんでした。

取説はSIGP226 Evolutionシリーズ共通のものと、P226MK25専用パーツ表(補足説明書)が付属します。

取り扱い方法やメンテナンス、パーツ表まで含む丁寧でわかりやすいものですが、実銃についての資料的要素が全くないのが残念です。昔からタナカは、その辺りは割り切ってますね。

バリエーションモデル

タナカ SIG SAUER P226 MK25 DESERT

2020年5月に発売された、タナカ シグ P226 Mk25のカラーバリエーションモデル。実銃でも同カラーのモデルがSEALでも使用されているとされ、市販モデルにも同カラーのバリエーションがありました。

タナカのモデルガンはスライドフレームを従来のセラコートよりも皮膜の強い”セラコート・エリート”で塗装されているので、より発火の汚れに強くなっているそうです。

デザート色はダークアース系の色合いで、新品で全体にオイルが付着しているためか、光沢感があるように見えるのが少し気になります。部分的にマット調に見えるところもあるので取り越し苦労かもしれません。

スライド刻印はノーマルモデルと同じ。ノーマルモデルで余り気にならなかったスライドのパーティングラインや、金型による凹みが目立つようになったのが残念です。

付属のUIDプレートがデザートカラー専用のものに作り替えてあるのは嬉しいですね。

右側フレームのダストカバー部の刻印は「SIG SAUER INC EXETER-NH-USA」の生産者所在地のみで、ノーマルモデルと異なりアメリカ生産モデルの刻印となっています。シリアルNOも「47A202295」と専用のものになっています。

細かい部分を変えて、単なるカラーバリエにしなかった部分は評価できますが、マガジンがノーマルモデルと同様、給弾に難があるままなのは残念です。

最後に(サマリー)

タナカワークスはモデルガンメーカーとして出発しただけあって、現在もモデルガンの製造を続けている貴重なメーカーです。

基本デザイン自体は四半世紀も前のものですが、細かい改良を続けて現在に至っています。特に最近は発火性能と耐久性を重視した改良が加わって、販売当初時とは別物に近い発展を遂げています。

外見的にも細かい改良を加えて、最新バリエーションを加え続けているのも良いですね。P226MK25も最新モデルでこそありませんが、P226バリエーションの中で現行の市販モデルなので、製品化のチョイス自体は的を得ています。

発火自体を行っていないので、外見だけの評価となりますが、再現性は素晴らしく、発火性能UPのための施策も納得のいく改良がなされています。肝のマガジンだけが残念です。

生産数が減っているのか、新モデルが出る度に価格が上がっているきがするので、組み立て時の不具合みたいなものは無くしてほしいものです。

・タナカワークス SIG SAUER P226MK25・・・・・・28,500円(税抜)

・タナカワークスEvo2カートリッジ9mm(10発)・・・  4,500円(税抜)

・タナカワークス SIG SAUER P226MK25 DESERT・・36,000円(税抜)

参考資料

・SIG ARMS社 HP(https://www.sigsauer.com/store/p226-mk25-full-size.html

・タナカワークス HP(http://www.tanaka-works.com/?p=2765

・月刊GUN誌 1990年1月号(SIG/ザウエル P228 byヨーロッパ支局)

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