タナカ SIG SAUER P228 M11 frame HW レビュー
タナカがSIG SAUER P228のバリエーションとして発売されたP228 M11は、1993年にアメリカ軍が制式採用したモデルとして知られていますが、今回タナカがモデルアップしたのは2011年モデルとされています。今回モデルアップされたP228 M11 モデルガンがどのようなモデルなのかを見ていきます。
実銃についての簡単な説明
M11に関しての公の情報は少ないようで専門書によると、M9の制式後、アメリカ軍によってコンパクトサイズのオートピストルが求められた結果、SIG社から提出されたP228がアメリカ陸軍のXM11のベースに選ばれました。
テストの結果合格したP228はM11の制式名を与えられ、1992年にSIG社と正式に契約を交わされ、翌93年に6,000挺が陸軍に納品されたとされています。
さらに国防省が25,000挺M11の追加発注を行い、陸海空軍などに支給され、そのうちの10,000挺にはトリチウムナイトサイトが備えられていたと書かれています。
P228とM11の違いは、ショートリーチタイプの細身のトリガーが備わっている事と、フレーム中央に「U.S.」「M11」の刻印が入っている事のようです。
タナカ SIG SAUER P228 M11 モデルガンについて
タナカが96年に発売したGBBのM11は、正しく上記のM11をモデルアップしていますが、今回モデルガンとしてモデルアップされたM11はタナカのHPによると2011年モデルとなっています。
実銃のP228は1996年にP229の9mm x 19口径モデルの発売により生産中止になっているので、ちょっと説明不足感がありますね。
ネットで調べてみた限りでは、2011年にアメリカ空軍からSIG社にM11の追加発注が行われ、途中その半数がキャンセルされて、12年後半にSIG社より民間にM11bとして販売されたという情報があるので、タナカが今回モデルアップしたのは、その追加発注したモデルだと思われます。
タナカのモデルアップしたP228M11とほぼ同じ仕様のモデル(M11b)の画像もありましたので。同モデルの一部が民間市場で販売されたのは間違いないようです。
※拙い英語力で調べたので、間違いがあるかもしれません。あらかじめご容赦をお願いします。
2011年になって旧モデルのP228を再生産させたのは、現行モデルのP229ベースのものだと新規モデルの採用と見なされるので、補充分として調達するための方便みたいなものでしょうか。
タナカ SIG SAUER P228 M11 frane HWについて
パッケージはオリジナルのSIG SAUER P228と同じもの。シグ P220シリーズは基本モデルごとにパッケージの色を変えているので、分かりやすいですね。
オリジナルのP228と異なるのが、側面のシール。ドット文字で実銃のパッケージの雰囲気を出しています。UIDマークは同梱されているUIDプレートと同じもの。
シリアルNOも本体に刻印されているものと同じなので、改めて見るとちょっと嬉しくなる仕様です。
内箱は、P228と同じ共用の発泡スチロール製。同梱されている付属品は、カート5発、ローダー、UIDプレート、取説になります。
取説はP228のものとM11用のパーツ表が別に付属します。M11のパーツ表はカラーコピーぽいですね。
驚いたのは、M11専用パーツの中でもセラコート塗装された金属パーツ(トリガーやマグキャッチ等)はパーツ販売されないと書かれています。
修理による交換は可能であるにしても、セラコート塗装のパーツは限定パーツって事ですね。M11は単なるP228のバリエというよりもカスタムモデルのような位置づけなのかもしれません。
次に SIG SAUER P228 M11本体を見ていきます
P228M11とP228を比べて最初に気付くのは、全体の色目の違いです。P228は通常のタナカのP220系 EVO2シリーズと同様に、ABSスライドとHWフレームの素材の違いを、そのまま製品に生かしたデザインになっています。
今回のP228 M11は、ABS製のスライドが塗装(タナカHPではブラスト処理)されているので、スライドとフレームとが一体に見えます。これは実銃のスライドがKコート(防錆コーティング)処理されているのを再現したものと思われます。
スライド自体はP228のスチールプレス製スライドなので、実銃の現行カタログモデル M11-A1(P229のバリエーション)とは別物です。
トリガー、スライドキャッチレバー、テイクダウンレバー、マガジンキャッチ、デコッキングレバー、グリップスクリューは2011年版M11の民間仕様と言われるM11bの画像でも同じような色目の仕上げになっています。
タナカのパーツ表によるとデコッキングレバー、グリップスクリューを除くシルバーパーツはセラコート塗装パーツで、先に書いたようにパーツの単品販売は無し。
同じ仕上げに見えるデコッキングレバーとグリップスクリューについては、販売用の単価が付いています。両パーツともP228のものよりも単価が上がっているので、セラコート塗装のような気がしますが、こちらは量産したと言うことなんでしょうか。
トリガーはM11の特徴でもある、ショートリーチタイプの細身のもの。これはグローブを付けたときの対応とされています。テイクダウンレバーは現行モデルと同じ新デザインのもの。
リアサイトはSIG社純正のナイトサイトをモデルアップしています。空軍用のM11は全て一般サイトだったという話もあるので、2011年の追加発注分が本当にナイトサイト仕様だったかは不明です(民間仕様のM11bには、確かにナイトサイト付きの画像もあります)。
スライド左側の刻印はモデル名「P228」のみ。市販モデルに会ったシグ・アームズ社の所在地は、こちら側にはありません。
スライド右側の刻印はマズル側からモデル名「P228」生産国「MADE IN GERMANY」シリアルNO「B 352 657」が入れられています。M11は一貫してドイツ製のP228が納品されていたようです。
フレームのダストカバー部は「EXETER-NH-USA」はSIG ARMS社の所在地でニューハンプシャー州のエクセター町を表しています。
チャンバー部にはシリアルNO「B352 657」使用口径「9mm Para」の刻印が入っています。フレーム中央部にはドイツの国名コード「DE」とテイクダウンレバーの軸を挟んで「U.S.」「M11」の制式名称。シリアルNO「B352 657」ニトロプルーフマーク(2013年までのもの)が入っています。
スライド、バレル、フレームにそれぞれシリアルNOが入っているのは軍用銃ならではと思いましたが、実際はどちらか2つだけにシリアルが入っているものなどもあるようです。
確認できた実銃のM11bのシリアルNOは、「B352」「B353」から始まっているので、タナカのシリアルNOは信憑性がある番号です。
付属のUIDプレートはアルミ製。シリアルNOは本体とパッケージのものと同じです。付ける位置は決まってないようで、フレームの左右やスライドに付いているものも見受けられますが、実際に軍でも同じようなものなんですかね。
内部構造等については以下のページを参照してください。
タナカ SIG SAUER P228 frame HW レビュー
最後に(サマリー)
タナカがSIG SAUER P228のバリエーションモデルとして、P228M11を選択することは予想通りでしたが、わざわざマイナーな2011年度空軍の追加発注分を選んだのには驚かされました。
もっともシグ P228自体が1996年に生産中止になっているし、M11も93年に制式採用された古いモデルであった事を考えると、少しでも新しいモデルとして製品化させたかった理由も分かる気がします。
バリエーションモデルとしてはトリガーやリアサイト、刻印ぐらいしか違わない地味なモデルを、スライドや金属パーツの色目を変えることによって全体のイメージごと変えてしまった手法には感心しました。
この後P229もバリエーションに加わるかもしれませんが、同じく一世代古いモデル(GBBの金型を流用するなら)を、どのように製品化するか興味津々です。
現状はモデルガンの新製品が出るだけで嬉しいですけどね。
・タナカワークス SIG SAUER P228 M11 EVO2・・・・・・・・29,500円(税抜)
・タナカワークスEvo2カートリッジ9mm(10発)・・・・・・・・ 4,500円(税抜)
参考資料
・月刊 GUN誌 1990年 1月号(SIG/SAUER・P228 byヨーロッパ支局)
・月刊Gun Professionals 2019年2月号(SIG SAUER P228 by Terry Yano)
・SIG Talk.com (https://www.sigtalk.com)
・SIG foram.com(http://www.sigforum.com)
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