MGCコルト ウッズマン シリーズ vol.1
MGC(ABSモデル)編
Old Toy Gun Reports NO,4

ギャラリー

既に製造されていない懐かしのモデルガンを取りあげる「Old Toy Gun Reports 」
第4弾は「MGC ウッズマン スポーツ」 を中心にMGCのバリエーションモデル、タイトー(MGC)時代、CAWの再生産までの各モデルを紹介します。

Vol,1としてMGC時代のABS製ウッズマンシリーズ(3モデル)+同時期のショップカスタム1モデルを紹介します

MGC コルト ウッズマン スポーツ

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1979年に発売された、初のMGキャップ対応モデル(78年12月にスタンダードモデルが発売、ブローバックモデルが79年2月発売)でしたが、ブローバックモデル発売時にはMGキャップの生産が間に合わず、従来型の紙火薬仕様と併売されていたと記憶しています(MGキャップの供給が滞る、地方向けとしても紙火薬仕様が必要だったようです)。

個人の記憶では、MGCキャップ仕様と紙火薬仕様ではカートのみ異なっていたと思っていましたが、パーツが2〜3異なっていたという未確認情報もあります。

機種の選定にはMGC店舗で集めたユーザーアンケートの結果だったと記憶していますが、望月三起也氏の「ワイルド7」の影響が大だったのは発売当時のフライヤーデザインからも窺われます。また発売当時のキャッチコピー「100%安全なモデルガン」は未だに憶えている印象的なものですが、製品としては規制を意識しすぎたM1カービンなどに比べて、耐久性とリアルさと作動のバランスが上手に取れていたABS製モデルガンだったと思います。

79年当時の販売価格
ウッズマンスポーツ スタンダード モデル 6,500円(カート別売)
ブローバックモデル 8,000円(カート別売)
カートリッジ(12発) 800円

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(上:紙火薬用カートリッジ、下:MGキャップ用カートリッジ)

MGキャップ用カートがインナーパーツとの2ピース構造になっている以外は同じで、MGC時代はデトネーターブローバックのみ。他にオープン式カートは、火薬面が浅いスタンダード用の3種が存在。

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(左:初期型パッケージ、右:一般的なパッケージ)

MGC時代のウッズマンは、当時異質な発泡スチロールそのものをパッケージとした独特のもの。このタイプのパッケージは、後のVP70ストックに使われたぐらいなので、コスト面はともかく評判が今ひとつだったと思われます。

製品名の入ったシール部が2種類確認できますが、左の初期型パッケージはスタンダードモデルで同じサイズのものが見受けられましたが、後にマッチターゲットが発売されたあたりでデザイン変更がされたと思われます。

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パッケージ内は無駄なくレイアウトされ、別売カートの箱用のスペースが作られています。デトネーター分解用工具も本体上に収まるように作られているのは流石ですが、取説の入るスペースが無いのは、当時のMGCは対面販売で、取説は販売時に一挺ずつ説明しながらセットしていたからかもしれません。

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MGCがモデルアップしたのはウッズマンの中でも2ndモデルと呼ばれる戦後モデルで、1946年〜55年にかけて製造されています。外見上の大きな特徴はトリガーガード後方に移されたボタン式マガジンキャッチです。

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ターゲットタイプの鋭角なブレードのフロントサイトが印象的だったバレルはテーパーもかかっているので実際よりも長く感じます。細部を見ていくと41/4インチバレルの刻印は「MGC MODELGUN CORPORATION TOKYO JAPAN」というMGCオリジナル刻印となっていますが、当時は全く気にならなかったですね。

画像のウッズマンは、個人で刻印にホワイトを入れたものですが、MGCオリジナルでスポーツモデルの刻印のホワイトレターは無かったと記憶しています。

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フレームのランパントコルトマークと「WOODSMAN」の刻印は実銃に準じていますが、ランパントロゴの後方にある楕円の出っ張りは何なのか未だに不明。

スライドの「COLT AUTOMATIC」の刻印書体は2ndぽい雰囲気ですが「CAL.22 LONGLIFLE」の刻印書体はかなり異なっている模様。いろいろな資料が見られるようになると重箱の隅を穿るようになって嫌ですね。

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フレーム反対側は「78905」のシリアル刻印のみ。実銃の刻印も同じようですが、シリアル刻印下にある楕円の出っ張りは、やはり何かは不明。製造時に必要な湯口みたいなものだったんでしょうか。

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リアサイトは上下のみ調整可能なCOLTMASTERタイプ。サイトを覗くとネジの頭が出っ張っていて目に入るので、頭を平らに削るのが流行りました。

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グリップはチョコレート色のプラグリップがスポーツ専用になっていて、中にウエイトが入っているのはシリーズ共通。バリエーションのマッチターゲットは成形色が異なったものが専用になっています。

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上の画像のようにフレーム前部の2つの穴にグリップの凸部が嵌まって、スクリュー1本でもグリップが固定できるようになっています。

残念ながらMGC純正の木製グリップではこの凸部が省略されているので、木製グリップの装着感がイマイチ不確実なものになっています(画像のグリップは左右逆のものを使っていますすが、見やすくするための処置なのでご容赦を)。

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マガジンは実銃より2発少ない装弾数8発。スムーズな装弾と重量アップを重視した結果だとは思いますが、30年後のCAWのウッズマンにまで装弾数8発が引き継がれてしまったのは残念ですね。

ウッズマン スポーツの分解

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MGCウッズマンはアレンジの強いメカながら、前作のコルト32オート等に比べれば実銃に近い構造になっています。

分解方法も実銃の手順に近く
(1)マガジンを抜いてグリップを外します
(2)スライドを引いてロックプランジャーを押しながらスライドを戻す
(3)トリガーを引いてハンマーを落としスライドをふりーにします
(4)メインスプリングハウジング上部をフレームに押し込みながら抜き出します
(5)スライド、マガジンキャッチ、スライドストップを外す
以上で通常分解まで行えます。

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付属の専用ツールを使ってデトネーターを外しますが、分解用の専用ツールが付属するのは初めてだったと思います。キャップ火薬使用になってのでチャンバー部から水を流し込むだけでも簡単なクリーニングは行えました。

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発火はセンターファイアではなく簀の子状のファイアリングプレートによる再度発火式ですが、ファイアリングプレートが、一回の発火ですぐに変形するぐらい強度が無かったのを憶えています。発火後は叩いて調整するように取説に描かれていたぐらいです。スライド内には暴発防止用のビニールチューブが仕込まれていて、手動での排莢には難がありました。

MGC ウッズマンABSモデルのバリエーション

ウッズマン マッチターゲット

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“スポーツ”のバリエーションとして79年に発売された マッチターゲットはバリエーションと言いながらもフレームは新規金型というコストがかかったモデルで、“スポーツ”とは異なりスタンダードモデルは発売されませんでした。

マッチターゲット自体が上位モデルの位置付けだったんでしょうが、スタンダード自体も売れくなっていたんでしょうね。

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六研ウッズマンや同時期の競合のマルシン、コクサイともにウッズマンはマッチターゲットをモデルアップしているので、モデルガン的にはこちらのシルエットの方がメジャーなのかもしれません。

ワイルド7つながりで言えばヘボピーの使用銃として、それなりの知名度はあったと思いますが、当初予定されていると言われていた4インチモデルが遂に発売されなかった事等を考えると人気的にはイマイチだったと推測されます。

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パッケージはスポーツと同タイプの発泡スチロール製。マッチターゲットの方が全長が長いので専用パッケージになっていますが、今だったら間違いなく“スポーツ”と共用で設計されていたはずですね。

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マッチターゲットの最大の特徴がアンダーウェイトが付いたフラットな6インチバレル。刻印はスポーツと同じMGCオリジナル刻印「「MGC MODELGUN CORPORATION TOKYO JAPAN」ランパントコルトのロゴ下刻印は実銃と同様「MATCH TARGET」となっています。

マッチターゲットの刻印の白文字は純正のホワイトレター仕様で、当時の流行ですね。改めて見るとバレル側面のヒケの無いフラットな面はABSモデルとは思えない仕上がりです。マッチターゲットの魅力がここに凝縮しています。

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グリップは同じ金型で、素材がケミウッドになったものがマッチターゲット専用に作られました。同じバリエーションながら、金属パーツとスライドぐらいしか共通パーツがないというのも、売れている時代ならではの余裕ですね。

79年当時の販売価格
ウッズマン マッチターゲット ブローバック モデル 9,200円(カート別売)

組み立てキットモデル

84年になるとウッズマンの両モデルともにキットモデル化されて低価格化されました。

コルト ウッズマン スポーツ 組み立てキットモデル 5,900円
コルト ウッズマン マッチターゲット 組み立てキットモデル 6,900円

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キットモデルにすると、組み立ての手間云々によるコストダウンというだけではなく、新製品扱いになるので価格を下げることが可能になる(商品の流通在庫が残っている限り価格は一方的に変更できない)と聞いたことがあります。

金型の減価償却が済んだ商品ならば、限りなく「販売価格=利益」になるのでこの手の商売が可能だったんでしょうね。

コルト ウッズマンヘビーバレルカスタム

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MGC時代のウッズマンシリーズ唯一のメーカーカスタムモデルで、実銃でマッチターゲットが開発される前に流行ったスポーツを6インチヘビーバレルにしたものをモデルアップしています。発売当時「MGC20周年カスタム祭り」なるイベントが開催されていたので当初はその中の1モデルとしての扱いだったと記憶しています。

※20周年カスタム祭りではGM4ナショナルマッチや、それをベースとしたコンバットカスタム、GM2の第二次大戦記念モデル、M16やトンプソンの実銃刻印モデル等が生産されました。

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カスタム箇所は6インチ化されたヘビーバレルとフロントサイトだけですが、フレーム部分との接合部の仕上げや、クラウン部分の加工の見事さは、この時期のMGC技術の良さが表れていると思います。

バレル刻印は「HEAVY BARREL MGC CORPORATION」+シリアルNO(画像では消してあります)のMGCオリジナルと思われる機械加工のもの。ホワイトレターは当初から入っています。

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バレル以外のカスタムは別売されていた木製グリップが標準装備になっている程度でしたが、フレームなんかはポリッシュされていたかもしれません(画像のグリップは個人で仕上げ直しています)。

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パッケージはMGCの汎用カスタムBOXで、当時は子このBOXを見ると,高級なカスタムガのイメージを持っていました。本体の他にデトネーター分解ツール等のウッズマン用付属品が付いてきました。

記憶では「20周年カスタム祭り」以降も何度か生産されていたようですが、残ったパーツを組み上げたパターンもあったと思いますので、正確なところは分かりません。法外な価格設定のGM4に比べれば、良心的な価格設定だったと思います。

コルト ウッズマン ヘビーバレルカスタム 13,000円(カート 別売)

シークレット ウッズマン(ショップカスタム)

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ウッズマン スポーツが発売されてから、バレルをソードオフした通称「飛葉モデル」を個人やショップでカスタムするのが流行りました。画像のモデルもその一つで、80年代にショップ(東京ガンシップ)でカスタムされたものと思われます。

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バレルをソードオフした後に短いインサートを入れ他だけで銃口を仕上げていますので、銃口は22口径よりは大きくなっています。デトネーターも健在ですが,発火の衝撃に耐えられるかは疑問です。

バレル刻印も埋め戻してあり、全体にマットブラックの塗装仕上げで、グリップも光沢ブラックで塗装されていますので、比較的丁寧な仕上がりとなっています。

MGC純正 ウッズマン オリジナルアクセサリー

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アクセサリーの中で最もメジャーなのがウッズマン専用サイレンサー。バレルを挟み込むような形で取り付ける専用サイレンサー。ABS製P08にも流用できました。他にも手元にはありませんが、フロントサイトで固定する、汎用サイレンサー用アダプターもありました。

ウッズマン専用サイレンサー 2,200円(85年当時)
ウッズマン用サイレンサーアダプター 700円(85年当時)

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ウッズマン発売と同時期に発売された木製グリップがチェッカリング入りのグリップで、ヘビーバレルカスタムに装着されているものと同じグリップ。

ウッズマン 初期木製グリップ(クルミ製・チェッカリング入り)1,600円(80年代初期)

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80年代半ば頃に登場した新型木製グリップ。チェッカリングは省略されましたが、木目を生かした作りになっています。ローズウッドとウォールナットの2種類販売されていました(画像はローズウッド)

ウッズマン後期木製グリップ(ローズウッド) 3,000円(85年当時)
ウッズマン後期木製グリップ(ウォールナット)2,700円(85年当時)

その他 MGC ウッズマン資料

WOODSMAN FLY S1

WOODSMAN FLY S2

B3サイズ4つ折りフライヤー、ウッズマン販売前後のもの

WOODSMAN FLY S3

A4フライヤー、80年頃のものと思われます

ウッズマン取説S1

ウッズマン取説S2

MGC時代の取説 A3サイズ 2つ折り。ABSモデルの場合は全てこの取説だったと思います。

WOODSMAN BLK SP

取説に付いてきたBLKの調整法 A4 裏表。発売当初だけ付属していたようです。

参考資料
月刊 GUN誌 1979年 4月号・6月号
月刊 GUN誌 1999年 7月号
月刊 GUN Professionals 2013年 10月号
月刊 GUN Magazine 2013年9月号

Bob Rayburn‘s COLT WOODSMAN HOME PAGE
http://www.colt22.com/index.html

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