(旧)和室工房 ウェルロッド MK2 レビュー

オススメ, レビュー

ウェルロッド MK2は同人エアガン制作者(旧)和室工房さんが製作したコッキング式エアガンで、第二次大戦中に開発されたマイナーながら有名な消音ピストルをリアルに再現しています。最近はゲームなどで有名になった、このモデルを運良く入手できたので細部を含めて紹介していきます。

実銃についての簡単な説明

ウェルロッド(welrod)は第二次大戦中にイギリスで作られた特殊作戦用の消音拳銃で、SOE(Special Operations Executive,イギリス特殊作戦執行部)の特殊作戦用装備として使用されました。

9×19mm口径(総弾数6発)のMK1と7.62×17mm口径(総弾数8発)のMK2の合計、約2800丁が生産されたと言われています。

消音性に特化した特殊拳銃で、作動はピストルには珍しいボルトアクション式。これによって銃口以外からの発射ガス(音源)の発生を無くしています。見かけ上のバレルはサプレッサーに覆われ、実際のバレルはおよそ半分程の長さになっています。バレルの周囲には小穴が開けられ弾速を落とし消音効果を高めています。残りのスペースはバッフルで仕切られた消音スペースになっています。

グリップはマガジンにカバーを付けたような形状になっており、マガジンを外すことで銃本体をパイプ状に小型化することが可能です。

初速の低い7.62×17mm弾を使用した場合はかなりの消音効果があったと言われています。1982年のフォークランド紛争時にも使用されたという話もありますが、最近ではゲーム等に登場することで知名度が高くなっています。

(旧)和室工房 ウェルロッド MK2について

(旧)和室工房さんは2014年頃からコミケなどを中心に活動してきた同人グッズの製作販売をしている工房のようで、「同人フルスクラッチエアガン」と称する小ロット生産のエアガンを不定期的に生産しています。

個人製作のトイガンというイメージとは異なり、ほとんどのパーツが金属やABS等の機械加工でできており、加工や組み立て精度も高いものになっています。

今回入手したモデルのパッケージは、既成サイズの段ボール製で商品名シールも付いていないもの。他の製品はしっかり製品シールが貼られていたので残念ですが、省力化なんですかね。

パッケージ内容はウェルロッド本体とマガジン、A4サイズ文字のみの取扱説明書というシンプルなもの。

VP9と違ってサプレッサー部が本体から分離できないようですが、マガジンを外すと本体部分は非常にスリムになります。特殊用途に特化した軍用銃だけのことはありますね

フレーム上の主要パーツはトリガー、グリップセフティ、マガジンキャッチのみのシンプルなもの。トリガーはスチールパーツで実銃の形状に大変近区作られています。

安全装置はグリップセフティのみで、マガジンキャッチレバーはマガジン側に付いている実銃通りの変則的なデザインですが、これはマガジンを外したときのサイズを重視して設計したからだと思われます。

フレーム上面後端には、ボルトのロッキング位置を示す溝が付いています。この溝とボルトノブの溝で、ボルトの六区を確認できます。リアサイトは別パーツで、フレームにしっかりアリ溝で固定されています。

発射機能に関係の無い部分ですが、ボルト先端にはモールドでエキストラクターが再現されています。エジェクションポート周辺の機械加工の跡と併せて嬉しくなる部分です。

ボルトノブを左に90°回転させるとボルトが引き出せます。ボルト形状はボルトラグ後方が若干短いようですが、実銃を上手くコピーいています。

ボルトはピストンを内蔵している関係上肉薄なので強度を確保するためにスチール製になっています。

別の角度で見ると、フレーム後部丸印の部分に、ボルトノブ固定用の可動式ピンまでしっかり再現されています。ボルトノブ後部の形状や周囲の滑り止めローレット加工も実銃どおりです。

この状態からボルトを手のひらで押し込んで右に90°回転させると、ボルトがロックされ内部ピストンがコックされます。その際ボルトノブ固定用のピンがボルトノブの溝に填まる「チッ」という音がするのがたまりません。

ボルト先端には長めのローディングノズルが付いています。マガジンがしっかり固定されずにマガジン位置がズレていたりすると、ノズルがマガジンリップにぶつかって上手くボルトクローズできないことがあります。

最終弾発射後はマガジンフォロアーにノズルがぶつかってボルトクローズができなくなるので、同じように注意が必要です。

フレーム下側の構造も実銃通りに見えます。個々のパーツ形状も実銃に準じた形状のようですね。フレーム後部にある刻印は省略されていますが、場所が場所だけにあまり気にはなりません。

サプレサー先端から内部を見ると、吸音用のスポンジが入っているのが見えます。サプレッサー先端の形状も実銃通り(分解用の穴があるものもあるようですが)で、凹んだ形状なのは相手に密着させて撃っても音漏れしないためだとも言われています。

重量は約340gなので、見かけの割に軽くできています。軽くても金属パーツが多くて剛性感が高いので、操作中にキシミやしなりが無いので、安物感はないですね。

マガジンはケース部分が金属製で、グリップ部がキャスト製となっています。装弾数は8発で、マガジンに装弾確認孔まで付いているのがリアルです。

マガジン後部に付いているのがマガジンキャッチレバーで、滑り止め部分を押してレバー上部でフレームとロックさせる方式です。マガジンリップから見える金色のパーツがマガジンフォロアーです。BB弾がが入っていないとこの位置まで上がっているので、ローディングノズルと干渉することになります。

試射後の簡単なコメント

プッシュコッキング式なのでボルトを押し込むときに、それなりの力が必要です。グリップよりもサプレッサー部分を持って、手のひらを使って押し込むと楽にコッキングできます。

トリガープルはコッキング式エアガンによくある感触ですが、非常に重く感じます。実銃のデザインに忠実なので仕方ないのですが、トリガーが細く短い上にグリップも細くて握りが安定しないのが、実際のトリガープル以上に重く感じる原因だと思われます。

気になる初速は東京マルイ0.2gBB弾を使用して、60m/s前後。エアコッキング式なので、バラツキはあまりありません。HOPの有無は確認できませんでしたが、室内で撃つ限りは素直な弾道です。

構造上作動音がしないのとサプレッサーの吸音材のおかげで、発射音はくぐもった感じで消音銃を撃っている雰囲気は充分です。

5マガジン程撃ちましたがグリップが安定して力が入れやすい両手撃ちなら、トリガープルの重さが苦痛にならないレベルになることが分かりました。

最後に(サマリー)

(旧)和室工房さんのエアガンは2機種目ですが、B&T VP9と変わらないクオリティに満足しています。コッキング式エアガンなのにデフォルメも少なく、再現度はモデルガン並みですね。

個人レベルで、これだけの製品が作れる事は改めて凄いことだと思います。トイガンの性格や構造上もVP9と同じようなものなのに、ワクワク感を感じられるというのは製品自体に魅力があるからでしょう。

メーカー製の量産モデルに比べれば価格もそれなりに高いですけど、満足度も高いモデルです。

・(旧)和室工房 ウェルロッドMK2・・・・・・・・・・29,000円(税込)
・(旧)和室工房 ウェルロッドMK2予備マガジン・・・・  6,000円(税込)