中田 シュマイザーMP40 スタンダード
Old Toy Gun Reports No, 01

ギャラリー

既に製造されていない懐かしのモデルガンを中心に取りあげる「Old Toy Gun Reports 」第1弾は「中田 シュマイザーMP40 スタンダード」を紹介します。

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今ではMP40にシュマイザーを付けることは間違いということになっていますが、当時はしっかり商品名にシュマイザーと付いていました(MGCも当然シュマイザーの時代です)。だから自分にとっては今になっても言葉としては、MP40よりもシュマイザーが先に出てしまいます。完全な刷り込みですね

中田製シュマイザーMP40は68年の発売で、当時はスタンダードが9800円、後に発売されたブローバックが10800円で販売されていました。カートはスタンダード・ブローバック共通で13発付属してきました。カート自体はブローニング・ハイパワー用と同じモノが使われていました。

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中田製MP40はほぼ同時期に販売されていたMGCのMP40が実銃のようなスチールプレスモデルだったのに対し亜鉛ダイキャスト製だったことや、デトネーターBLKと異なりBLKモデルでも銃口からガスが抜けない点、バッファースプリングチューブを再現していなかった事等から、当時からMGC製よりも数段低い評価をされていました。

さらに、52年規制以降MGC製はスチールプレスの本体のため発売中止になり、チャンバー前部に超鋼材を入れたマルシンのSMGモデルのみ販売が継続されたことから、バランスの崩れたSMGモデルのイメージが合わさって、さらにイメージ状の評価を下げたことと思われます。

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中田製MP40の外見上、最も気になるのがマガジンの幅で、ABSモデルのものより1cm近く大きくなっています(上が中田製、下がマルシン製ABS用)。一説にはCMCステンとの互換性を持たせるためにサイズを変えたと言うことですが(実際にステンのマガジンと同じサイズで、設計者も同じ六人部氏)、真偽は不明。

DSC01840マガジン幅が大きいため、中田製MP40、後のマルシン製金属MP40はマガジンハウジング全体が横に広くなり全体バランスをおかしくしています。また亜鉛ダイキャスト製なので、実銃でプレスパーツを重ねているチャンバー&マガジンハウジングパーツも一体成形になっているため、シャープ感がありません。

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最もプレスっぽさの出るマガジンハウジング部は、薄めに作られているものの、角張りすぎています。リブも表面の再現のみにとどまり、内側は平らのままです。

所持モデルのフロントサイトカバーは当初スチールプレスのピン留めタイプが付いていたのですが、破損したためABSモデルのものに交換しています。形状的にはこちらの方が正しいようです。

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リアサイトは実銃通りの2段切り替え式を再現。ディテールは異なりますが、上手く雰囲気をつかんでいます。コッキングレバーは一体型のセフティー機能を省略したもの。これはMGC製も同じで、84年にマルシンのABSモデルが出るまで再現されませんでした。

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スタンダードモデルはバレル後端がそのままチャンバーになっていました。当然マズルまでガスルートは繋がってます。ブローバックモデルはバレルをチャンバー前で切断。新たな密閉式チャンバーを設けることで閉鎖式ブローバックに対応させています。

初期型には白いプラスチック製シリンダーブロック。安全対策とも加工の簡略化とも言われていますが、ここがウィークポイントである事は確か。ABSでもない普通のプラのようなので、細かいバレルナットのネジをすぐになめてしまいそうです。後に亜鉛ダイキャスト製に変わりました。

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フレームとチャンバーカバーを分解するとこんな感じ。ABSモデルと異なり、組み立て時にチャンバーカバーを回す必要がありません。単にフレーム下のロックスクリューで固定されるだけです。同じ型を流用したマルシン製にも引き継がれています。

リコイルスプリングにはバッファースプリングチューブがないので、MGCよりもリアルではないイメージが付きまとっていましたが、リコイルスプリングガイドがチューブヘッドと同じ固定方法になっている等、アレンジしたなりのリアリティが感じられる設計です。

ちなみにスプリングが強いのでマルシンSMGモデルに見られる、銃口を上に上げたときのボルトの半開き症状はありません。

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トリガーガードは太めなので設計上のミスかと思っていたら、このようなタイプもあるようなので間違いでは無いらしいです。フォアエンドやグリップなどのパーツは裏のリブとかを加工すればABSモデルと互換性はありそうです。ストックも加工すればABSモデルのものが付くようですが、パーツ自体は別物です。

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DSC01805TOKYO NAKATAの刻印がフレーム右側に入っています。MADE IN JAPANの刻印は、この頃から海外へ輸出されるようになったからと言われています。

マガジンに入っているJAPAN 1968 NAKATAの刻印も同じ理由と思われます。

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デキに関するイメージと同様、重量についても中田製は実銃より重くて間違っていると思ってましたが、実測で約4.1kgと実銃とほぼ同じ重さだったりします。逆にMGC製は公称3kgとかなり軽め。実銃とモデルガンではプレスしたスチールの厚さが違うからある意味当然でしょうね。

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マルシンのABSモデルと比較してみると(画像2枚とも、上:ABSモデル、下:中田製)、シルエットや、個々のパーツの寸法が近いのに驚かされます。ABSモデルとは流用パーツ一自体無いと思われますが、一部のパーツは互換性があり、多少の加工で使えるパーツも多いということです。

完全新規で制作されたマルシン ABS製MP40と中田製MP40に寸法上の誤差が少なく、かつパーツの互換性(加工は必要ですが)があるということは,68年発売の中田製シュマイザーMP40の基本設計の良さを裏付けるモノだと思います。

参考

ヴィンテージモデルガンコレクション2 (株)ホビージャパン

サイトNO28、NO40   Sight事務局