VFC H&K G36C ver.2 GBB レビュー

オススメ, レビュー

実銃についての簡単な説明

ドイツ連邦軍が制式ライフルG3の後継モデルとして93年のトライアルを経て、96年に正式採用されたのがH&K社の5.56mm×45口径のG36(H&K社内名称はHK50)です。

バリエーションモデルとして同時採用されたライトマシンガン型のLMG36(MG4開発までの繋ぎ)や、後に開発された特殊部隊向けのG36K、CQB専用に開発されたG36C等が採用されています。

最大の特徴がケースレスライフルG11で蓄積されたポリマー樹脂の大幅な採用で、バレルとボルト以外の主要パーツの殆どに使われています(これが後の欠陥騒動の一因となります)。

また、G3以降H&K製品の代表的な技術であったローラーロッキングから、オーソドックスなガスピストンシステムに変更されています。

これには開発当時親会社だった英ロイヤル・オーディナンス社の持つAR18の技術がベースになっているとも言われています。

制式採用以降、アフガニスタンなどの実戦等の結果を受け、数度の改修が行われています。照準装置付きキャリングハンドルの代わりのピカティニー・レイルや、新型レイルハンドガード。装備に応じて収縮可能なストックの開発が行われ、特殊部隊を中心に個々の改修が進められています。

余談ですがG36の欠陥問題について

2012年にG36の欠陥問題が浮上します「連射の後の銃身が過熱した状態で極端に命中精度が悪くなる」と行った問題でドイツ国防省は銃本体の問題だとして2014年からG36の発注を中止しています。しかし2016年の裁判では欠陥自体は無かったとの判決が出ています。

実際にどの程度の連射をすればそのようになるのかは不明で、どのような運用状況で発生するのか分からないのですが、銃身の加熱によって銃身基部の樹脂が加熱されてゼロインが狂ったり、破損したりする傾向があるのは事実のようで、構造上有り得そうな話です。

採用から20年も経ってドイツ国内にだけ欠陥問題が出てきた事に、政治的要素や利権が絡んでいる気もしますが、事の真偽はともかく結果としてドイツ連邦軍の次期制式銃採用の動きに繋がりました。

VFC H&K G36C ver.2 GBBについて

VFCからG36Cが発売されたのが2011年。当時は外見やメカの正確な再現とH&Kの正式商標利用で、国産GBBに匹敵するリアルなGBBとして一世を風靡しました。

残念ながらブローバックの作動については、セミはともかくフルはバーストがやっとという状況でした。またマガジンの信頼性も低く、ガス漏れと給弾レイルの破損は悩みの種でした。

昨年末にver.2モデルとして6年ぶりに改良されたモデルがDXバージョンとして発売され、2017年になって、ようやくスタンダーバージョンが発売されました。

パッケージは黒地にH&Kの赤ロゴが入った、従来通りのGBB&電動の共通パッケージ。サイドのシールを見ないとバージョン情報はおろか製品名も分からない仕様になっています。

パッケージ内にはG36C本体がストックを伸ばした状態で、納められています。国内正規版(JP ver.)にはマガジン、取説、低圧ガス用ノズルSPが入っています。

今回取り付けてはいませんが、付属のノズルスプリングは従来品に比べて長さが長くなっているようです。SP自体を柔らかい設定に変更したってことでしょうか、冬場に試してみたいですね。

最初に外見から見ていきます

レシーバー等の主要外装パーツはver.1と同じもののようです。ハンドガードに取り付けるレイルは今回もオプションですが、国内メーカーだったら改良モデルの場合は同梱になるパターンですね。

ハンドガードはピンを1本外すだけで分解できます。内部にアルミ製のライナーが再現されていますが、発売当初からの仕様です。こういう細かい部分のリアルさが競合モデルとの差別化になっていました。

ハンドガード内のバレル上部には、ダミーながらオペレーティング・ロッドやピストンが再現されています。フラッシュハイダーは逆ネジでねじ込まれているだけなので、キツく締めるとハイダーの十字部分が傾くのが難点。

キャリングハンドル上のフロント&リアサイトはUMPと同じ2段切換のピープタイプのものです。キャリングハンドルはサイトが一体化されている最初期のタイプを再現しています。

実銃のキャリングハンドルは何度か改修されていて、「ピカティニー・レイル付きキャリングハンドル+別サイト(MP7A1のサイトと同型)」〜「ピカティニー・レイル+折りたたみサイト付きキャリングハンドル」と進化しています。

コッキングレバーを引くとフレーム上部にスライド式のホップアップレバーが現れます。スライドレバーを後方にずらすとHOPが強まる仕様です。

最近は慣れましたが、フレームとキャリングハンドルの取り付けネジがプラスだったのには最初は違和感がありましたね。マイナスネジが普通に使われていないことを実感しました。

フレームのG36刻印はシリーズ共通のもの「C」とか「K」のタイプ名を後から入れるのは実銃と同じ方式です。「KE037178」は各モデルの共通シリアルです(ver.1は「KE005461」でした)。

トリガーアッセンブリーには、新しく「KH17」で始まる個別のシリアルNOが入れられました。これはパッケージ側面シールと連動していますが、トリガーアッセンブリー自体が交換できるので、本来ならフレームに入れるべきでしょう。

Ver.2になってボルトストップレバーにボルトリリース機能が追加されました。

Ver.1ではホールドオープンしたボルトはチャージングハンドルを引いて、ボルトをクローズさせていたのに対し、ver.2になってボルトリリースレバーを下に下げるだけでボルトがクローズできるように変わりました。

実銃にも最近見られるようになったボルトリリース機能が付いたボルトストップレバーですが、全面的に仕様変更になったというよりも、ニーズに応じてオプションで選べるようになったようですね。

グリップ下部の蓋を外すとコンパーメントになっていて、実銃ではここにクリーニングキットを収納するようです。トイガンでは素手で開けられない構造になっていますが、実銃と同じ構造なのかはは不明。

G36シリーズのトイガンは競合が全て(WEのGBBも含めて)モーターが入るオーバーサイズなのに対し、VFCのGBBは実銃サイズのスリムなグリップになっています。

ストックについている4つの穴は分解用のスプリングピンを入れる紛失防止用の穴で、試作段階のG50にはスプリングピンが4本あったことの名残です。

フォールディングストックは短いG36C専用のもの。改修により収縮可能なタイプが何種類か開発されています。VFCのG36シリーズは全て固定サイズの初期タイプをデルアップしています。

ストックを右側に折りたたむとエジェクションポート後方のカート・リフレクターの突起部分に引っかけてロックできます。エジェクションポートがストックで塞がれないため、折りたたんだ状態でも射撃することが可能になっています。

フレーム右側の刻印は「Licensed Trademark of Heckler & Koch GmbH」H&Kの制式ライセンス取得と「cal.6mm BB」6mmBB弾使用の口径表示、「Warning REFER TO OWNER’S MANUAL」マニュアルを参照云々が入っています。

3つの刻印ともトイガン用のオリジナル刻印で、実銃(ミリタリーモデル)にはこの部分に刻印はありません。

マガジンの外観は、スケルトン素材のアウター部分と、ガスタンクやバルブを備えたインナーマガジンの二重構造になっています。インナーマガジン側面が装弾された弾薬の形状をしているので、非常にリアルに仕上がっています。

マガジンはVFC製M4系GBBに比べると200g程重い約650g。ver.1と外見は同じでも、細部が異なり互換性が無くなっています。

マガジンに貼られていたシール(別売マガジンにも貼られています)には30発以上BB弾を詰めると、簡単に破損する旨の注意書きがありました。

Ver.1時代から、マガジンにフルでBB弾を詰めるとマガジンの給弾レイルが破損し、BB弾とフォロアーが途中で引っかかる破損が多発しました。

Ver.2になっても注意書きがあると言うことは、給弾レイル部分の構造はそのままのようですね。ローダーを使った給弾は、注意して28発を目処にしておくべきですね。

次に内部を簡単に見てみます

分解するには、ストックを折りたたんでフレーム後方のスプリングピンを抜いてから、フレーム後方からリコイルスプリングベースを抜き出します。その後コッキングハンドルを後方に押して、ボルトを抜き出します。

さらにフレーム前方の2つのスプリングピンを抜き出すことで、ハンドガードとグリップアッセンブリー、マガジンハウジングに分解する事が出来ます。通常のメンテは個々までの分解で充分でしょう。

ver.1に比べてスプリングピンが簡単に抜けるように感じますが、個体差ですかね。

分解のついでにver.1時代の「4ポジショントリガーユニット」を組み込んでみました。組込自体も問題無く、セレクター機能もセミ・フル・2バーストで作動しました。オプションのトリガーユニットは、そのまま使用できるようです。

ボルトは、ローディングノズル部内にSPが入っていて、ボルトクローズ時にボルト後方にスプリングテンションがかかるようになっています。

VFC製HK417と同様、ボルトが後退し始めるときにスプリングテンションが初動をアシストする役割を担っていると思われます。

ローディングノズル内にはガス流量を調整するメカ(RA-TECH製のNPASと同じ役割)が入っていて、ノズル側から1.5mmの六角レンチを差し込んで回すようになっています。

左に回すとBB弾発射方向にガスが多く流れるようになり、右に回すとBLK作動にガスが多く流れるようになるので、気温に合わせてブローバックの調整が可能です。

 

ボルトの形状は実銃のボルトを上手く再現しています。ボルト重量は約300gで、GBBとしては重たい部類になります。マガジント同様、Ver.1との互換性はありません。

ここでVer.1とver.2の違いについて整理と補足をしておきます

(1)ボルトストップレバーの変更:ver.2になってトリガーガード内のボルトストップレバーにボルトリリース機能が追加されました。


画像2つとも 上:ver.2のボルト、下:ver.1のボルト

(2)ボルトの変更:ver.2になってローディングノズルがロッキングラグと一体になった可動式になり、後退をアシストするスプリングが内蔵されました。

ガスルートパッキンの形状も変わっています。また金属パーツが減った割に、ボルト重要はver.1より20g程増えています。


左:ver.1マガジン上部、右:ver.2マガジン上部

(3)マガジンの上部の変更:マガジン上部のガスルートパッキンが、ボルトとの密着度が高い形状に変更されています。

またインナーマガジンとアウター部分をマガジン上部でネジを使って固定していた構造から、マガジンベースだけで支える構造に改良しています。


左:ver.1マガジン下部、右:ver.2マガジン下部

(4)インナーマガジン下部の変更:恐らくガス漏れ対策として、ガスタンク部の底蓋を固定するネジを中央の1本から周囲を固定する4本に改修されています。

発売が予定されているバージョンアップキットの内容からも明らかなように、ver.2への改良は(2)〜(4)に見られるマガジンとボルトの設計変更がメインのようです。

VFC H&K G36Cの実射について

実射する前にリコイルスプリングをストライクアームズ製のG36用ソフトスプリングに交換しました。若干ボルトの戻りが悪くなりましたが、擦り合わせをして気にならないレベルになったところで実射開始。

ボルトとマガジンが変わっただけなのにVer.1とは別物のような快調さです。大重量のボルトが生み出す反動はそのままに、ブローバック自体のキレが良くなっています。

Ver.1では真夏でも難しかったフルオートが、当たり前のように1マガジン30発を撃ちきれるのは感動ものです。

室内のみの200発程度の実射なので、改良されたチャンバーの集弾性が分からないのは残念ですが、他機種の改良結果を見る限りはこちらも期待できそうです。

室温25℃、フロン134a&東京マルイ0.25gBB弾使用時の初速は80m/s前後。ガスを入れすぎると初速も低下する傾向にあるので、ガスの注入量には注意が必要です。

VFC H&K G36C ver.2 実射動画はこちら

 

最後に(サマリー)

売から6年以上経ってのバージョンアップですが、その分作動性は大幅に改善しています。M4系以外では、最も性能の良いGBBの一つになったと言えるでしょう。

残念なのが、内部機構がバージョンアップされても外見は生産当初の初期タイプのままだった事です。実銃のG36Cは優先的に改修がなされている場合が多いので、最新モデルをバリエに加えても良かったと思います。

少なくともオプションで、最新のストックやキャリングハンドルのパーツだけでも出して欲しいです。

最近の欠陥問題で評価が下がった感のあるG36シリーズですが、2000年代のアクション映画においては強烈なインパクトを残しているので、トイガン的にはまだまだ現役だと思っています。

あとは発売予定のバージョンアップキットを早く出して欲しいですね。

参考資料
月刊GUN誌 1997年10月号
月刊GUN Professionals 2013年1月号