ウェスタンアームズ
AR-7 エクスプローラー カービン
Old Toy Gun Reports No, 03
既に製造されていない懐かしのモデルガンを取りあげる「Old Toy Gun Reports」
第3弾は「ウェスタンアームズ AR−7 エクスプローラーカービン」
AR−7の実銃について
AR−7は1950年代にアメリカ空軍のサバイバルライフルMA−1として採用されたアーマーライト社製のAR5の基本コンセプトを生かし、弾薬を入手のしやすい22ロングライフルに変更(AR5は22ホーネット)。アクションもセミオート化して一般市場向けとしたものです。
その軽さと携行のしやすさから、キャンパー等のアウトドアマンに人気だったようですが、「007 ロシアより愛をこめて」で使用されたために、日本でも大きなインパクトを残しました。ストックからフレームやバレルを出して組み立てるライフルなんて、正にスパイの秘密兵器って感じですからね。
製造はアーマーライト社からチャーターアームズ社に移り、チャーターアームズ倒産後はアーマーライト社やヘンリー リピーティング アームズ社AR7 インダストリー社等複数のメーカーで販売が継続されたようですが、2005年頃生産が終了したとされています。
ウェスタンアームズ製モデルガンの略歴
ウェスタンアームズ製 AR7は82年10月の氷川丸モデルガンフェアで発売されたブローバックモデルガンで、発売当初はデトネーター式BLKだったものが翌年3月頃にはCP化されています。バリエーションとしてはメッキされたシルバーモデルが83年早々に発売されています。
発売時こそ定価(この時代は定価販売が当たり前なんですよね)13000円(メッキモデルは15000円)でしたが、83年のMGCとの提携セールや6月頃のWAの新店舗移転セールで割引販売されていたイメージが強かったですね。
85年には金型を利用した、ガスガン(ストック内に小型ガスボンベ内蔵)のスナイパーカスタムの発売によって、生産中止になっています(金型改変によって再生産は不可能と思われます)。
「ウェスタンアームズ AR−7 エクスプローラーカービン」の詳細
パッケージは黒のダンボールにシルバーの文字を印刷した小洒落たもの。実銃用のものと形態は似ていますが、デザインはオリジナルですね。主観ながらチャーターアームズ製のものよりデザイン自体は優れています。
実銃どおりに主要パーツ3点(バレル、フレーム、マガジン)を分解してストックに収納した状態でパッケージに入っています。このストックは実銃がモナカ構造に対して一体成形であるとのこと。表面のヒケのない光沢仕上げとともに、当時の技術の高さを表しています。
その分キズが付きやすいので、パッケージが無い場合の保管は慎重にする必要があるでしょう。保管と言えば内部の仕切りに発泡スチロールが使われているので、本体の油汚れやパーツの出し入れによるスチロールへのダメージが予想されるので、さらに注意が必要です。
モデルガンのAR−7のストックは、バットストック部分はゴム製のキャップになっていて実銃よりも気密製が高いと言われていましたが、個人的には機密性の高さはストックの製法(一体成形 or モナカ)の違いによるものが大だと思われます。
バットプレート表は滑り止めの形状や「Charter Arms AR7 EXPLORER」の文字も実銃そのものの再現性です。裏側に「Western Arms」「TOKYO JAPAN」の文字が入れられているのが隠れロゴぽくって良いですね。
このバットプレートのゴム部は結構厚みがあるので、経年劣化による硬化で割れているものが多く見受けられます。保管する際はゴム製品用のオイル等でメンテをしておいた方が安心できます。
ストック内の主要パーツを取り出したところ。組み立て式トイガンってP38アンクルタイプや、二式小銃のような本格的なものから、マスダヤのデタッチャブルのような玩具っぽいものまで、ワクワクしちゃうのはどうしてでしょうね。
ストック付きのP08やモーゼルミリタリー、なんかも同じようなワクワクするカテゴリーだと思います。やっぱり組み立て式は秘密兵器のような刷り込みがされているからですかね。
組み立てはストック付け根のネジをフレーム下部のネジ穴に固定しますが、ストックのネジが右側に傾いている(ストック内にバレルを収納するスペース確保のため)のと、フレームのネジ穴がプラに直接切られているので、組み立てを慎重にしないとネジを舐めてしまいます。
広告にあったように「組み立て撃発まで16秒」なんて事をやってたら、ネジ穴が舐めるのは確実ですね。
バレルとフレームの組み立ては、バレル上下の銀色の出っ張り(インサートの延長)をフレームの凹部に合わせてバレルカラーをねじ込むだけの直感的な物。この部分のネジはプラとプラなので,それ程気を遣う必要はありません。バレルには実銃にはないフィードランプが付いています。
最後にチャージングハンドルを引き出して、マガジンを挿入すれば完成です。チャージングハンドルを収納する量が実物よりも少ないのは、ボルトの強度上の問題だと思いますが、それでも収縮機能を再現したことが重要でしょう。何気に引き出すのが楽しいんですよね。
このモデルの最大の特徴は40cm以上もある細身でテーパーのかかったバレルでしょう。チャンバー部こそ2重構造になっていますが,この長さのバレルをプラの一体成形で真っ直ぐ作ったことは、かなりの技術力だと思います。30年経った今でも変形とかヒビ割れ何かもありません。
フレーム右側にはチャーターアームズ社のロゴマークと「AR−7 EXPLORER」の文字が凸モールドで入っていますが,これは実銃どおり。ストック基部にあるセフティはコッキング状態のみ作動します。ボルトのエジェクター以外は実銃とほぼ同じに見えます。
フレーム左側にはフレームカバーを止める大きめのネジがあるだけです。このネジを使ってスコープマウントを取り付けることができますが、ネジ穴がプラのフレームに直接付けられているので、ここも注意が必要です。
マガジン後方にあるのがマガジンキャッチで、トリガーフィンガーで操作できるようになっています。
フレームカバーを外すと内部メカが顔を出します。実銃では露出している大きめのネジ1本で止めているだけですが、モデルガンではストックに隠れる部分にもう1本プラスネジがあります。
さらにフレームカバーのマガジンハウジング部にフレームと引っかかる出っ張りがあるので、3点止めのようになってしっかりカバーが固定できる工夫がしてあります。
(画像下、左:WA AR−7用カート、右:MGCウッズマン用カート)
マガジンはAR−7専用カートを8発(一箱分)装弾できます。カート形状が実銃と異なりますが、マガジン外観は実銃そっくりです。
ストレートタイプのカートは同時期のMGCウッズマンカートとよく似ていますが、に妙に太さと長さが異なるので、残念ながら共用は出来ません。
実射は2〜3マガジンしか撃たなかったので昔の記憶しかありませんが、ジャムもなく撃ち切れたように記憶しています。カートが勢いよく飛んでいた印象がありますね。
ウェスタンアームズ AR−7の純正オプション
純正オプションは専用スコープマウントと専用スコープ(4×32)が用意されていました。スコープマウントはアルミ削り出しで、後にガスガン用にも流用されました(画像下のマウント上部前方にフレーム固定用の穴があるのがガスガン用です)。
純正スコープはイメージ的に太めだったので、画像のスコープはSEKITO製の4×20の旧式スコープです。実銃の年代を考えるとこのぐらいの方が似合う気がします。
本体に装着するとこのような感じです。マウント自体がフレームに密着するので固定は問題無さそうですが、先に述べたようにマウントを固定するネジがプラのフレームに直接ねじ込まれているので、強度的な不安があります。ガスガン時にもう一本固定ねじを付けたのは、その辺りに問題があったからでしょう。
何故かスコープマウントをフレームに付けると、ストック内に収納できなくなります。サイズ的には問題無さそうですが、実銃はどうだったのですかね。雑誌などの写真を見る限りストック内にマウント分のスペースは作られてないようですが、詳細は未確認です。
もう一つの純正オプションが専用サイレンサーです。MGCウッズマン用サイレンサー(最近CAWが再販したモノ)のパーツを流用しているようです。サイレンサー本体の筒の部分がプラ製で分解が出来ないようになっています。
わざわざオリジナルにしたのは、プラ部分がストックと同じ光沢仕上げなのでデザイン的に合わせたのと、少しでも軽量化してバレルへの負担を減らしたかったのでは無いかと思ってます。
オプションをフル装備するとこのような感じになります。細部の形状は異なりますが「ロシアより愛を込めて」のイメージにかなり近づきますね。22口径の狙撃ライフルなんて、今では???のスペックでも格好良く思っていましたからね。ウェスタンアームズお得意のオリジナルカスタムで、ピストルグリップ付きモデルやエクスプローラー2とかのバリエが展開されても良さそうなモデルでしたが、メッキモデルのシルバーモデルだけがバリエとなったのは、エアガンに押されて販売面は良くなかったのでしょうね。
モデルガンからエアガンへの移行期に発売されたため、短命に終わった「ウェスタンアームズ AR−7エクスプローラー カービン」ですが、ピーク時のモデルガン製造技術が垣間見える傑作モデルだと思います。
ウェスタンアームズ AR−7 エクスプローラー カービン(発売 1982年)
・ AR−7 ブラックモデル 13,000円(カートリッジ8発付き)
・ AR−7 シルバーモデル 15,000円(カートリッジ8発付き)
・ 専用カートリッジ(8発) 800円
・ 専用スコープマウント 1,500円
・ 専用スコープ(4×30) 7,000円
・ 専用サイレンサー 2,200円
参考資料
・月刊コンバットマガジン 1983年1月号
・月刊GUN 1983年2月号
・月刊GUN 1991年5月号
・月刊GUN 2000年8月号
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