VFC H&K MP7A1 GBB レビュー

レビュー

昨年3月頃にnet上で話題を振りまいた、VFCのH&K MP7A1が遂に国内発売されました

最初にサイズの問題について、自分なりに検証してみようと思います。

4-44ufbm
(昨年netに流れていた画像 ※出所元が不明なので、流用させていただいてます)

サイズの問題とは、VFCのMP7A1はリアルサイズで、先行した国内メーカー2社とも実銃サイズとは異なるという、ショッキングな内容を画像入りで報じたものでした。

DSC05800
(上:KSC製、下:VFC製 )

実際にサイズを比べてみると、事前のnet情報どおりにサイズが異なり、実測値でKSC製が全長約380mm、VFC製が全長約420mmとなっています。

DSC05715
(上から、東京マルイ製、KSC製、VFC製)

次に3社比較をすると国内2社は同サイズ、VFCのみサイズが大きいことが分かります。実銃のMP7A1の全長はH&KUSAのサイト上では16.53インチ。センチに直すと約420mm(1インチ=25.4mm換算)、H&K本社では415mmとなっており、VFC製のサイズとほぼ同じです。

国内2社のサイズ、全長380mmの数値がどこから出たものかを推測してみます。

MP7を国内で最初に細かく紹介したGUN誌2004年2月号(レポーターは床井氏)には全長サイズが380mmと明記されています。さらにMP7A1ではレシーバーを10mm延長するも、ストックの厚みを10mm減らしたので全長はMP7と変わらないと書かれているので、MP7A1の全長も380mmということになります。

この2年後にMP7A1を紹介したGUN誌2006年2月号の記事でもレポーターは異なりますが全長は380mmになっています。

最初期型のフラッシュハイダーの無いMP7の寸法が380mmだったのではないかという説もあるようですが、2000年発行の「最新サブマシンガン図鑑」でハイダーのないMP7の全長が340mmという数値が出てきますので(フラッシュハイダー装備のMP7の発表は同年2000年)、380mmはフラッシュハイダー付きのMP7の全長数値と考えた方が良さそうです(フラッシュハイダーの長さが、どちらも40mmなのは意味深ですけどね)。

DSC05655

昨年発売された、床井氏の最新軍用銃辞典でも、MP7A1の全長は380mmになっていますので、少なくとも初期にH&Kから出された数値が380mmだったのは間違いなさそうです(床井氏が実測したというよりも取材時のH&Kからの提供資料の数値だと考えるのが自然です)。

国内2社は、2004年当時の数値と図面を元に設計をしたのでは無いでしょうか(マルイの電動が2006年発売、KSCは2009年発売)。ローエンフォースメント用のMP7A1は実銃を手に入れて計測するのは困難なはずなので、両社とも同じ図面を元にしているはずです。この推測は的外れでは無いと思います。

後から設計を開始したVFCにH&Kから提供された数値が、現在の公表数値(415〜20mm)と同じものだったと思われます。

DSC05730

そのように考えると,4.6mm×30カートリッジの全長が38.5mmとされているのに対し、KSCやマルイのマガジンの前後幅(グリップの外に出る部分)が34.9mmしかないのも、異なる全長の数値の比率でマガジンサイズが縮小されていると考えれば納得できます(VFC製もマガジン同部分のサイズが42mm程しかないのでカートサイズからすればやや小さい)。

MP7A1の異なるサイズについての原因は、確認こそできませんが、H&Kの公表数値が2004年頃と2013年時点で変わったことによるもの、というのが個人的な見解です。したがってVFCのMP7A1のサイズがリアルサイズということに異議はありません。

国内2社のサイズが共に異なるのは、どちらかがコピーしたというのではなく元となるサイズが同じだった(同じ図面を参考に使った可能性はありますが)ということではないでしょうか。

次に本題のVFC MP7A1そのものを見ていきます

DSC05653

全長が10%大きくなった分全高も一回り大きくなり、フルサイズのUZIに近い印象です。実際そこまで大きくないですが、小型のSMG的な印象はかなり薄れます。

グリップもHK45並に前後幅が増えています。それでもUZIのように握りにくくならないのは、グリップの形状と厚みが押さえられているからでしょう。

DSC05661

エジェクションポート等も一回り大きくなっていますが、ボルトヘッドの再現性は東京マルイ製と同程度。フレーム下部に白文字でH&Kのライセンス済みの告知があるように、フレーム各所にはH&Kのロゴがしっかり入っています。

レバー類の位置は国内2モデルとさほど変わらない使い心地です。セレクターの動きが若干渋く、遊びも多いのは残念! グリップした指で動かせないのは問題ですが、アタリが付けば軽くなるのかな?

ボルトリリースレバーは上から下へ動かすことでリリースするようになっていますが、これは国産2社とは逆。動きとして理にかなっているのは、VFC製のように上から下だし、滑り止めもレバー上部に付いているので、このレバーの動きが正解のように思われますが、事実確認できませんでした。

DSC05663

フロントにある折り畳みグリップは、ロックを外さずに伸ばせるようになっています。実銃も初期モデルは伸長時にロックを解く必要があったので、国内2社はそれに準じています。実銃も最新モデルで改良されたのかもしれませんが、ロックが無いことで即応性はかなり高まっています。

DSC05670
(VFC製のフロントサイトを起立させたところ)

DSC05787
(上:KSC製、下VFC製)

フロントサイトはKSC製のものとは、サイズ以外にもサイトベースやサイトガードの形状が異なっています。雑誌で良く紹介されているのはKSC製のもの。H&KのHP画像にはVFC製サイトと同タイプが見受けられるので、恐らくは新型サイトと思われます。

DSC05672
(VFC製のリアサイトを起立させたところ)

DSC05786
(上:KSC製、下VFC製)

リアサイトはピープサイト部分が大型化して円形になっているだけではなく、折り畳み方向も前から後ろに変わっています。こちらのサイトもH&KのHPの画像で確認できます。起立したサイトが何かに引っかかった場合、後方に倒れる方が破損しにくいのかもしれません。

DSC05681

フレーム下側には金属プレートが入っていて、シリアルNOとプルーフマークが入っています。実銃の画像ではもう少しゴチャゴチャしているものが見受けられますが、このようなパターンのものもあるのでしょうか。ヨーロッパ仕様ぽくて良い気がします。

DSC05742

フレーム後部の2本のピンを抜くことでここまで分解できますが、国内2社も再現しているので見慣れた絵ですね。フレーム後部の2本のピンを抜くことでここまで分解できますが、通常はこれで充分でしょう。ボルトの形状は実銃同様で、ボルト先端がブローバックしているときに外から見えるようになっています。

DSC05749

ボルト重量は238gとかなり重め。マルイ製が200g弱、KSC製が50g弱なので、フロンガスで上手く動くのかどうか心配でしたが、結果は杞憂に終わりました。とは言えフロンで動くGBBのボルト重量はこのぐらいが限界?USPの355gは論外でしょう。

DSC05717
(各社MP7A1用マガジン 上:東京マルイ、中:KSC製、下:VFC製)

DSC05721
(各社MP7A1用マガジン 上:VFC製、下:KSC製)

ブローバックに重要なマガジンのサイズも本体同様VSC製は一回り大きくなっています。グリップ外側に出る部分は前後左右に段差がついているので尚更大きく見えます。その分気化効率が少し良くなっているかもしれません。

BB弾の弾装部分はマルイ製に準じていて、下側のレイルの広くなった部分から給弾する方式ですが、グリップ外に出ているマガジン部分に段差があるので、マガジンフォロアーを指で押さえるのが大変です。

どうせ先行各社の良いとこ取りをしているのですから、KSCのようにマガジンフォロアーを固定する機能をつけるのが一番の解決策なのにね。

DSC05757

何故か付属していないサイドレール(現在オプション販売の案内も無し)ですが、東京マルイ製G36のレイル(画像内上)とVFC製G36のレイル(画像内下)が無加工で取り付け可能。形状がリアルでオプション販売されているVFC製がお奨めですが、3本セットなのでアンダーレイルが一本余るのがチョット癪ですね。

DSC05772

DSC05769

フラッシュハイダー部分をUFCから出ている「UMAREX KSC製MP7A1用QDサプレッサー用ハイダー」と交換することが可能で、無加工でサプレッサー仕様にできます。

最もこのサプレッサー用ハイダーはKSC用としては長さが足りなかったので、元々VFC用に合わせて作っていたと思えるほどピッタリです(VFCに付けてフルで実射をすると、KSCに付けたときと同様サプレッサーのガタと反動の影響で、BB弾がサプレッサー内部に干渉して弾ポロになります。

これは社外サプレッサーを流用している事自体の問題なので、自分は見かけだけのアクセと割り切って使っています)。【2014,04,06 補足】

VFC純正のサプレッサーはオリジナルハイダーのままで装着することが可能になっています。こちらの場合は純正品だけあって装着しても弾ポロは起こりません(内部の消音用のスポンジがキチンと入っていない場合は、BB弾が接触して弾詰まりを起こしますが)。【20014,09,16 補足】

DSC05836

今回のVFC製MP7A1はUMAREXブランドで販売されているため、H&Kロゴ入りの共通デザインの黒箱と、本体にもH&Kロゴがふんだんに使われています。VFC製が発売される前は、同じUMAREX製品としてKSC(KWA)製のMP7A1が販売されていたので、今後どのように整理をするのか気になります。

UMAREXにとってみればどちらもOEM製品だから、契約が切れた方を止めれば良いのかもしれませんが、同じ商品名で仕様が異なるんだからアフターフォローが大変でしょうね。

DSC05669

VFC製MP7A1は最新の設計だけに、先行するメーカーを研究していたり、最新資料に基づいている部分が反映されている、再現性の高い良くできたトイガンだと思います。

実射性能もジャパンverの負圧スプリングに交換しない箱出しのまま、GBBに不利なこの季節で、過去のVFC製GBBの中でもTOPクラスの作動性を見せてくれました。

DSC05856

撃った感じがパワフルなイメージだったので実測しててみると、パワーは規制内に収まっていますが、冬場なのに高めの数値になっています。春先とかに違う環境で調べてみる必要もありそうですね。

↓VFC製 MP7A1の実射動画(東京マルイ・KSC製とも比較してます)はこちら

参考資料
月刊GUN誌 2004年2月号
月刊GUN誌 2006年1月号
最新サブマシンガン図鑑(床井雅美 著)
最新軍用銃辞典(床井雅美 著)
H&K USA HP
H&K HP