東京マルイ M4A1 MWS GBB
レビュー
実銃についての簡単な説明
アメリカ軍が1984年にM16A2ベースのカービンモデルの開発要求を行い、94年に制式化されたのがM4カービン(3バースト)とM4A1カービン(フルオート)と言われています。後にアッパーフレームのキャリングハンドルが廃止され、ピカテニーレイル装着モデルに置き換えられて現在に至っています。
90年代後半に登場したレイルシステム=R.I.S.(Rail Interface Systems)をハンドガードと交換することによって、レーザー機器やフラッシュライトやフォアグリップの搭載が可能になり、こR.I.S.(後に開発されたR.A.S.も含む)を装着したモデルがM4A1 MWS(Modular Weapon System)とされています。
簡単にまとめると、M4A1 MWSモデルはアメリカ軍に採用されたM4A1に、同じく制式採用されている「Knight’s Armament」社のレイルシステム(R.A.S.)を搭載した拡張製の高いモデルの総称で、東京マルイはアメリカ軍に採用されたベーシックなスタンダードモデルをモデルアップしています。
東京マルイ M4A1 MWS GBBについて
ミリタリーモデルのM4A1 MWSをモデルアップしているため、専門誌で紹介されている最新のM4カスタムに比べるとベーシックな(古めの)M4A1カービンという印象です。
最初は外見から見ていきます
上下フレームは、このモデルの売りの1つであるミルスペックの「セラコート」塗装がされています。見た目的にはマットな色調で良い雰囲気に仕上がっていますが、肝心の耐久性についてはわざと傷つけるわけにもいかないので不明です。
何度か光学機器の脱着をしましたが、その程度ではキズやハガレはありませんでした 。
刻印はコルト社製のミリタリー刻印が入っていますが、レーザー刻印ぽく見えないのでリアル感があります。実際は型で入れているのかもしれません。グリップは通常のA2タイプグリップで、今後交換したいところです。
ミリタリーモデルなのでセフティはアンビではありません。「ASGKマーク」や「TOKYO MARUI」の刻印が小さいながらも右側フレームにしっかり入っているのが、マルイらしいところです。
セラコート塗装で気になるのはオイルが付いたときの取れにくさで、念入りに拭かないとオイルが染みみたいに残るのには閉口します。実銃だと逆にオイルが取れ難いところがメリットだったりするのかもしれませんが、トイガンは見た目重視ですからね。
外見で気になるところは、エジェクションポートから見るボルト前部のスキマが大きいように見えるところです。KSCのM4と比べると、ボルト先端の面取の形状の違いが大きいように思いますが「Z−システム」の影響も多少はあるかもしれません。
バレル先端上面には「5.56 NATO 1/7」のバレルスペックが刻印されています。きれいに入り過ぎている気もしますけど、気になるほどではありません。
レイルシステムはR.A.S.タイプなのでガタは全くありません。レイルに付けられた位置ナンバーの刻印は最近のトイガンでは当たり前になっていますけど、これが無いと締まらないですよね。無理にレイルカバーとかを付属させないのは潔いですね。
R.A.S.の位置ナンバーがフレーム上面レイルのナンバーと繋がっているのは当たり前なんですけど、文字やレイルの色目に一体感があると雰囲気が出ますね。思っている以上にスマートなシルエットです。
※R.I.S.とR.A.Sについて
ノーマルハンドガードと交換する形で作られたレイル拡張システムがR.I.S.(Rail Interface Systems)で、取り付け時の強度改善と固定を確実にするための改良を施した物がR.A.S.(Rail Adapter Systems)。両者とも「Knight’s Armament」の商標で、R.A.S.の構造は特許が取られていると言われているので「Knight’s Armament」社以外のレイルシステムにはこの名称が使えません。
外見上はレイル正面のネジの位置(R.I.S.が前方、R.A.S.が後方)位置ナンバーがR.I.S.前方から昇順になっているのに対し、R.A.Sは降順になっているので区別が付きます。
リアサイトは「Knight’s Armarment」社製の600mタイプで、ワンタッチで左右の調整が可能で距離に合わせた上下調整も可能です。見た限りでは次世代電動 DEVUGRUカスタムに付いているリアサイトと同じもの?のようです。
ストックはオーソドックスなエンハンスド ストック。見慣れたストックですが最近カスタムストックが多く余り見かけないので、逆に新鮮だったりします。シンプル イズ ベストって奴ですね。
マガジンはオーソドックスなスタングタイプで、放熱と軽量化を両立させるアルミダイカストの一体体型。重量は実銃間の装弾済みマガジンと同じで約474g。
KSC社の約600gにくらべるとかなり軽量にはなっていますが、WA社のものよりは若干軽い程度ですが海外勢(VFCは約420g、WEは約386g)よりは逆に重くなっています。
耐久性の問題もあるので一概に海外製品とは比べにくいですけど、正直もう少し軽くして欲しかったところです。性能的には冷えに一番強い印象があるので、むやみに軽量化できなかったのかもしれませんけど。
マガジン後部には大型のボルトキャッチ用のフォロアーがあります。確実なボルトキャッチをするための設計でしょうね。ちなみに空撃ちモードは存在しないようです。
マガジンへの給弾は付属のローダー以外に、マルイ製BBローダーXLの内蔵アダプターを使用することができます。多少きつく抑える必要がありますが、慣れればローダーを使った方が早いですね
次は内部を見てみます
本体からR.A.S.を外してみるとR.A.S.下側内部にはアルミ製のヒートシールドが実銃と同様再現されています。R.A.S.上部内側前部にはaの部分にハンドガードキャップ圧着用の板バネがあり、R.A.S.前部に下向きの圧をかけてハンドガードキャップとのガタを無くしています。
bの部分には上下に動く固定用の金具があり、2つの突起がバレルナットの内側の溝に入るようになっています。それを上からスクリューで締め付けることでR.A.S.本体とバレルナット部分を密着させて固定する仕組みです。
この時、固定用金具がガスチューブを左右から挟み込む状態になるためR.A.S.が回転するのを防止する2重の効果を果たしています。
アウターバレルは金属の一体型で、サイトの後ろにはグレネードランチャー装着用と思われる平面カットが入っています。
フレームの分解はテイクダウンピンとフレームピンを外すだけなので、通常分解は非常に簡単です。このモデルはテイクダウンピンが抜きやすいのが印象的で、上下レシーバーの加工精度が影響しているような気がします。
HOPシステムはアッパーフレーム内側前部にあって、フレームをテイクダウンしないと操作できないようになっています。不便ですけど安全性を優先した結果なんでしょうね。
フレーム内のシルバーのパーツが「Z−システム」と呼ばれるボルト衝撃緩和機構のボルトキャッチ部分です。このパーツの下部がフレーム内部のカムを通してショックアブソーバーに繫がり、ボルトをキャッチしたときの衝撃を吸収するようになっています。
本来のボルトキャッチはボルト前面でボルトを止めますが、「Z−システム」ではボルトに接触することはありません。Z—システム」用の銀色のボルトストップがボルト中央の溝に入ってボルトをストップさせます。この時、銀色のボルトストップがボルトの衝撃で前方に動きながらショックを吸収していきます。
フレームだけではなく、ボルトそのものにも衝撃緩和対策が施されています。(a)(b)の部分にはスプリングが仕込まれていて、矢印の向きにスプリング圧がかかっています。(a)の部分はボルト閉鎖時のピストンへの衝撃を、(B)の部分はボルト解放時にピストンにかかる衝撃を緩和するためと思われます。
ほかにもボルトには「Z−システム」のボルトキャッチがかかる部分にスチール剤が使用されていたり、ボルトとシアとの摩擦を軽減するローラーがついていたり,かなり凝った作りになっています。
そのボルト重量は220gで、M4系GBBとしては軽量化されています。(KSCのver2が約240g)ブローバックの性能はボルト重量だけで決まるものではないですが、調子が良いモデルは大抵200g前後なので、作動性と反動のバランスを考えた重さということでしょう。
フレームを見ていて気になったのが、ハンマーの形状。妙にコンパクトな形状で、M4のはんまーらしくありません。ハンマーダウンの状態でもほとんどロアーフレームから突き出ません。
もっともGBBではハンマーはボルト(ファイアリングピン)を叩く必要は無く、フレームのノッカーを叩けば良いだけですから、ハンマー上部が小さくても問題無いわけです。
むしろボルトとの緩衝を小さくするためにはハンマーは小さい方が良いんでしょうね。マルイらしい割り切った設計です。
実射についての簡単なコメント
最初に箱出し状態で試射してから3回ほど撃ちましたが、室温20℃前後で問題無く作動します。マガジンの装弾数自体が35発と少なめなこともありますが、当たり前のようにフルで1トリガー1マガジンを撃ち切ってホールドオープンします。
フルオート時の発射サイクルが測れませんでしたが、競合のM4GBBに比べかなり高めのサイクルのように思えます。リコイルについては平均的でWAのM4に比べて軽く感じます。
「Z−システム」の影響もあって反動そのものがマイルド(ボルトがガツンガツンぶつかる感じが無い)なことも影響しているでしょう。
集弾性は10mでしか撃っていないので屋外の長距離では分かりませんが、マルイ製らしくフラットな弾道でラフに狙っても10cmにはまとまりましたので、潜在能力は高そうです。
弾速は室温20℃で85m/s 前後。フルで撃った最終弾でも80m/s を切るぐらいだったので、連射でも余り変動は無いようです。
▼▼ 東京マルイ M4A1 MWSの実射動画はこちら
最後に(サマリー)
発売までに時間がかかっただけあって、マルイ初の長物GBB(MP7A1が長物というのには疑問があります)としては抜群の安定性があります。
内部のアレンジメカを見ていくと、破損防止と安定したブローバック作動を重視した設計であることが理解できます。内部パーツの形状を気にする上級者よりも、GBB初心者を含めた広い層を狙っている意図を感じますね。
誰が撃っても楽しめて、面倒な調整も無く楽しめる長物GBBを目指したのだとすれば、ベーシックで認知度も高いM4A1 MWSをチョイスした事も理解できます。コストパフォーマンスも高いですし、長物GBBの入門機としては最適ですね。
基本性能も高いので、バリエを含めた今後の展開が楽しみですね。
参考資料
コンバットマガジン 2015年11月号
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