HOGWARDS グロック G42 レビュー

レビュー

実銃についての簡単な説明

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2014年のショットショーで発表された、口径.380ACP、装弾数6発のシングルスタックマガジンを採用したコンパクトモデルです。従来のコンパクトモデルG26を更に小型化したグロック社の最小最薄モデルで、コンシールドキャリー需要にあわせた最新モデルです。

HOGWARDS G42 GBBについて

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台湾のHOGWARDS社(当初はSTARKARMS社製となっていましたが、単にブランド名を変更したとの事ですが詳細は不明。生産自体はどちらも同じく台湾のVFC社が行っているという未確認情報があります)が2015年後半にGBBとして発売したモデルです。

発売から暫く経っていますが、気になっていたモデルなので、今回入手と同時に簡単に紹介してみます。

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上の画像は横向きですが、パッケージはブック型にデザインされ黒地に金の箔文字が入った高級感と意外性があるもの。この手の凝ったパッケージは、今は亡きハドソン製ルガーベアキャットの限定仕様モデル以来です。

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パッケージ内はスポンジで本体&マガジン用のスペースの切り込みが入っていますが、形状を見る限りエクステンドバレルやロングマガジンに対応しているようです(ロングマガジンは後にオプションで発売されました)。

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(左:HW製 グロック 42、右:KSC製 グロックG26C)

パッケージから出してみると、想像している以上の小ささと薄さに驚かされます。従来のコンパクトグロックの代表だったG26と比べてみると、大きさでは2割ほど小さくなっています。

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(左:HW製 グロック G42、右:KSC製 グロックG26C)

特徴的なのはその厚みで、G26の1/2程度の厚みしかありません。握った感じはコンパクトモデルというよりも、昔流行ったポケットモデルに近い感じで、すっぽり手の中に収まります。

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(左:HW製 グロック 42、右:WA製 ベレッタM1934)

手持ちモデルの中でサイズ的に最も近いのが、同じ.38口径のベレッタM1934です。厚みはグリップパネルが無い分、圧倒的にG42の方が薄くなっています。

これだけコンパクトなGBBにするために、トイガンの設計上いろいろ無理がありそうです。

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スライド左側にはグロックのロゴマークと、「42」のモデルナンバー、「USA」の文字と「.380 AUTO」の口径表示が刻印されています。フレームとのスキマはありますが、イメージ的には良くできています。

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グリップの滑り止めパターンやマガジンキャッチ等の特徴は、最新モデルらしくGen.4に準じたデザインとなっています。グリップにもグロックロゴがありますが、取説や商品名にはグロックの文字がありません。

元々グロック自体がトイガンに対する商標許可は厳しいそうなので、許可をとってないということなのでしょう。

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フレーム右側グリップ上部には「MADE IN USA GLOCK. INC. SMYRNA. GA.」の製造社所在地刻印(販売時にはMADE IN TAIWAN)のシールが貼られています)と「p」のプルーフ刻印たしきものが入っています。

スライドにはチャンバー部と同じ「AANS909」のシリアルNOとフレームと同じ「p」マークが入っています。

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トリガーの引きが重いというか引っかかる感じだったんですが、トリガーセフティー後端部の引っ込みが甘く、下側がフレームに引っかかっているのが原因のようです。

これは所持個体に限ったことでは無いようですが、セフティ後端下部の角をヤスリで丸めて引っ掛かりを無くすことで、簡単に軽くできます。

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チャンバー上部には「.380 AUTO」の口径表示とグロックロゴ等が入れられています。

全体のサイズが小さいので細かく刻印が入っていると、かなりリアルに見えます。ぱっと見チャンバー前部にかかるスライドの薄さが気になります(破損例もあるようです)。

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フロント、リアサイト共にグロックシリーズでお馴染みの樹脂製サイトが付いています。実銃では余り良い評判を聞かないこのサイトですが、グロック17が登場以来30年以上もサイトデザインが変わらないのは不思議です。

最もオプションサイトやサードパーティー製が充実しているので、コストを考えて手を加えないのかもしれません。

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マガジンはグリップサイズに見合った小型&薄型のもので、BB弾はダブルカラムで12発装弾可能。マガジンスリットはマルイタイプで、フォロアーを下げればスリットからBB弾を流し込むことができます。

このサイズはGBBのガス容量を確保するにはギリギリだったようで、実射ではガス圧にシビアな様子が垣間見えます。

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分解はグロックシリーズに準じた手順で行います。スライド引いてハンマーをコッキングしてからフレームにある分解用ノッチを下げたまま、スライドを前方に押して抜き去れば通常分解までは簡単に行えます。

リコイルスプリングがユニット化されているのは最近の傾向ですが、分解が楽で助かりますね。

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アウターバレルを右側から見るとマルイ製等と同じような作りですが、反対側から見ると、スライドの幅が狭さに合わせるためチャンバー部が右側だけになっています。

これによって、スライド解放時にアウターバレルがチルトダウンするためのガイドが片側だけになり、インナーバレルを上手く作動させるために矢印のスプリングのアシストが必要となっています。

常にアウターバレルを後方に引っ張るテンションをかけて、スライド閉鎖時にアウターバレルが定位置に戻りやすくしています。

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スライドの薄さ故の設計はローディングノズル(シリンダー)にも見られます。形状は容積を稼ぐためと、ローディングノズル位置固定させるブリーチを廃したために左右幅いっぱいの角形になっています。

その結果ブローバックの作動は確保できたようですが、ノズルに上下左右のの遊びが生じることになっています。

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この遊びに対処するためと思われますが、マガジンとスライドの密着度が高くなっています。結果、マガジンのガスルートパッキンとローディングノズルの密着が強くなりすぎて抵抗になり、スライド後退時にローディングノズルが一緒に後退しきれなくなっているようです。

このローディングノズルの後退不足が、後に述べるマガジンからBB弾を拾い損ねる一因となっています(スライドが後退する勢いとも関係があるようです)。

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フレーム側は他社のグロックシリーズと同様のハンマー方式です。スライドを引いててハンマーをコックする際に固い引っ掛かりがあるので、ハンマーをコックするのに余計な力が要る感じです。

スライド後退時にハンマーがコッキングされずに、ローディングノズルと干渉してスライドが閉鎖されない事例があるようですが、この固い引っ掛かりと何らかの関係がありそうです。

実射についての簡単なコメント

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最近の海外製GBBと同様、HOGWARDS製G42もフロンガスで快調にスライドはブローバックします。サイズの割に反動も強めで、空撃ち状態ではほぼ確実にホールドオープンします。

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(上:オリジナルスプリング。下:組込済みのストライクアームズ製スプリング)

実射時の作動改善のために、オリジナルよりも軽いリコイルスプリング(ストライクアームズ製)に交換しました。さらにマガジンを暖めることでBB弾を拾い損ねる装弾不良は改善しましたが、未だ完全ではありません。

更なる改善策としてハンマースプリングのテンションを軽くすることを検討中です。この問題はガス圧が低下したとき起こりやすいようなので、スライドの後退時の抵抗を減らすことが重要だと思っています。

▼▼ HOGWARDS G42の実射動画はこちら

実射してみると、かなりの確率でローディングノズルがBB弾を拾えない装弾不良が発生しています。後半はマガジンを暖めているのでかなり調子が良くなって最終弾発射後ホールドオープンもします。

気温が高くガス圧が安定していればきちんと作動するということですが、もう少し確実性が欲しいです。

快調にBB弾を発射しているときと、ローディングノズルが弾を拾えない装弾不良時との差は、動画でスライドの動きを見る限りほとんど分かりません。スライドの動き自体は快調なんですけどね。

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マガジンを暖めてベストな状態で初速を調べると、0.2gBB弾で52m/s 前後(室温20℃)とまずまずですが、マガジンのガス圧が低下すると30m/s 程度に下がることもあるので、やはりマガジンのガス容量がサイズ的に充分ではないようです。

最後に(サマリー)

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この手のサイズのトイガンはゲームでの使用は考えられないので、室内で手軽にプリンキングするのがメインとなると思われますが、サイズの割に重量感があってモデルガン的に手動や空撃ちで遊ぶには充分楽しめます。

またグロック G42のモデルアップとして現在唯一のものであり、競合製品の登場も考えにくいことから、存在価値は充分にあると思います。

残念ながら肝心の発射性能に難があるのでエアガンとしての評価はし難いです。スライドの動きを見る限りは、ポテンシャルは高そうなので早期の改良が望まれます。

個人ベースでも上手く調整ができたら、追加で情報をUPする予定です。