KSC Mega MML MATEN レビュー

オススメ, レビュー

実銃についての簡単な説明

1995年にイーグルアームズ社がアーマーライト社を買収しアーマーライト.INCに社名変更をした後に開発されたAR−10A2モデルは、AR15の先祖帰りモデルとして好評を得ました。

その後、中東における戦闘で5.56×45mm弾薬の射程の短さが指摘されると、7.65×51mm弾を使用するライフルの開発が各社で行われるようになり、その中で多数のAR10型バトルライフルの開発が進みました。

MegaアームズはAR系カスタムパーツのメーカーで、航空機用素材を使用した高精度レシーバーなどで知られています。

そのMegaアームズ社がAR10の互換プラットフォームとして提供しているのがMATEN(MA10から来ているようです)で、独自の開発のレシーバーユニットセットを基本に供給されています。

従ってMegaアームズ製 MATENという完成形の実銃は販売されていないことになります。

KSC MegaMML MATENは、PTS社がMegaアームズ社のレシーバーユニットを使って組み上げたトイガンオリジナルのAR10型バトルライフルと考えるのが妥当でしょう。

ちなみにMMLとは6角断面のM−LOKシステム仕様のアッパーレシーバーセットです。

KSC MegaMML MATENについて

2017年7月末に発売されたKSCのMATENは、国内メーカー初のバトルライフルサイズのGBBモデルで、先に海外で発売されていたKWA製PTS MATENから、国内低圧ガス用に仕様変更したモデルと考えられています。

パッケージはPTSブランドが前面に出たデザインになっています。KSCブランド自体はシール対応になっているので、過去のMAGPULカスタムなどと異なりKSC用に作られたパッケージではありません。

公式の発表が無いので推測ですが、KWAがPTS社にOEM供給をしていて、それを日本国内ではKSCに提供しているというのがおおまかな三社の関係と考えていますが、実際はどうなのですかね。

上:KSC製MATEN、下:KSC製M4 MAGPULver.

パッケージから取り出すと本体のボリューム感に驚きます。全長では約150mm重量は約600gM4系からサイズアップしていますが、数値以上に大きく感じます。

ロアーレシーバーは、ボルトキャッチやマガジンキャッチ、セレクターが片側操作のみのスタンダードタイプをモデルアップしています。左側マガジンハウジングにはMegaアームズのロゴが入っています。

セレクター部はセフティ、セミ、バーストの刻印が入っていますが、コマーシャル市場向けのMegaAアームズ製品にバーストモードがあるのは、よく考えると不思議です。トイガンギミック的にはありですけどね。

角張ったアッパーレシーバーには「MEGA」の刻印と、ストック側にセレーション風の4本ラインが入っています。

グリップはMAGPUL社製MOEグリップと同じシルエットのPTSオリジナルのEPGグリップが付いています。グリップ内に収納用のコンパートメントがあるのもMOEグリップと同じです。

Megaアームズ社ではホーググリップと同じ形状のMegaグリップをラインアップに揃えていますがトイガンには採用されなかったんですね。トリガーは4Megaアームズ製4穴トリガーを忠実に再現しています。

ストックは6段階に収縮できる、PTSオリジナルのEPSストックが付いています。シルエット的にはMAGPUL ACSストックに似ていますが、独自デザインですね。

ストックリリースレバーの矢印部分を押すことでストックを収縮させます。レバーの矢印部分は中央部に切れ込みがあって、ストック基部が露出してレバーを分割している形状になっているため、レバーが広い割には端を押さなければレバーが動きません。

見た目重視で操作性が良いとは言えないデザインです。

バットストックを外すと、かなり大きめの収納用コンパーメントが現れます。トイガンでの有効性は別にして、この手のギミックがあるのは嬉しいですね。


▲ リアサイト:近距離モード

フロント&リアサイトはEP−BUIS(サイト)という PTSオリジナルの折り畳みサイトが付いています。MAGPULのMBUS(サイト)をオリジナルにアレンジしたようデザインで、工具無しで左右調整が可能です。


▲ リアサイト:遠距離離モード

サイト中央のプレートを上に上げることでピープのサイズが変わり、近距離・遠距離の切り替えが可能です。MBUSと違ってサイトを立てたときのロック機能が無いので、サイトをぶつけると勝手に畳まれてしまう欠点があります。

フロントサイトもダイヤルを回すことで、工具無しに上下の調整ができます。サイト自体は見やすいものですが、こちらもロック機能はありません。トイガン用の、しかもサブサイトと割り切れば機能上問題無いでしょうが、気になる点ではあります。

フレーム右側のマガジンハウジング「PTS」のロゴと「FOR TRAININGAND SIMULATION USE ONLY」の文字とシリアルNO,(一部画像処理をしていますが)入っています。

「FOR TRAINING〜」はアメリカ輸出が前提のPTS(アメリカ現地法人もあるようです)ならではの配慮ですね。

エジェクションポート内に「KSC」のロゴが入っています。隠しロゴの伝統が続いているのは、ちょっと嬉しかったりします。

レイルハンドガードはMAGUPL社が開発した「M−LOK」システムを使った六角断面を持ったもの。大柄な割に取り回しがし易いのはレイルハンドガードの軽さによるものです。

実銃ではアッパーレシーバーとセットになって販売されているようです。M−LOKは従来のレイルに比べて遙かに軽量で、強度や加工の容易さではKEYMODよりも優れていると言われています。

肝心のレイル自体が付属せずに、純正オプションも用意されていないのでは、M−LOKというトレンドをいち早く製品化した意味が薄れますね。

バレルは7,65×51mm弾用らしく太くて迫力があります。先端のハイダーも大径で良いのですが、鋳造っぽいディテールの甘さが気になります。

アッパーレシーバーから、ハンドガードを外すのにはハンドガード基部のスクリュー12本を外してから前方に抜きます。ネジ止め剤も使われているので、かなり強固に取り付けられていて、当然ガタ等はありません。

スクリュー12本を使う固定法は、分解やクリーニングを考えたら不便ですよね。ミリタリーユースを前提とした設計では無さそうです。

ハンドガードを外すと、ダミーのガスブロックとガスチューブが露出します。

ガスチューブと書きましたがチューブの形状やフレーム側にあるSP等を見るとガスピストン式なのかもしれません。

MATENがAR10やSR25と互換フレームということだったので、てっきりリュングマンシステムだと思い込んでいました。

取説のパーツ名でもガスチューブ状のパーツがガスピストンロッドとなっているので、ガスピストン方式を前提にもデルアップしているようです。

実銃パーツの細かい仕様については分かりませんでしたが、Megaアームズのレシーバーユニットにガスピストン方式のバレルやボルトを組み込むことは、難しくは無いって事なんでしょう。

マガジンはMAGPUL製EMAGに準じたデザインのPTSオリジナル34連EPMマガジン。重量はKSC製MASADA用EPMマガジンよりも約150g重い880g。

カタログ状ではガス容量が1.5倍ほどになっているとのことですが、それにしても重すぎます。

マガジン正面にはM4用PMAG、EPMで省略されていた、空撃ち用切り替えスイッチが加わりました。室内で遊ぶときには便利な機能です。

最近の国産GBBのマガジンは、ガス漏れしないのが当たり前になっていますが、EPMになってからガス漏れが発生するようになってきたので、今回のマガジンにも一抹の不安があります。

次に簡単に内部を見てみます

分解はフレーム前後のピボットピンを抜くことで、上下フレーム、ボルトのまでの分解が可能です。M4系と同じなので日常メンテナンス程度までなら簡単ですね。

大型化されて気になるのがボルト重量ですが、国内向けにアルミ製になっているので、重量は207g程度と化なり軽量化されていて、M4 ver2のボルトよりも軽量化されています。

リュングマンシステムでは本来ガスキーがあるボルト上部の形状も、先端がカットされたようになっているので、やはりガスピストン方式を前提にモデルアップされていると思われます。

ボルトストップレバーにぶつかるボルト先端部には、削れ対策にスチールが埋め込まれています。

最近のKSC製品はボルトアッセンブリーが単体のパーツ供給となっているので当然の配慮ですが、最も多い破損と思われるローディングノズルの破損対策はなされていないのが、気になりますね。

リコイルSプリングガイドも軽量化されていて、同社M4 ve2.のものよりも約13g軽い33g程。リコイルSPもかなり短くなっています。ブローバックの作動性重視のチューニングと思われますが、反動が軽くなりすぎないか心配な部分です。

ハンマーはリアルな形状ですが、SPテンションがかかるのはこの角度までで、あとは慣性で動くことになります。ボルトの後退時の抵抗を減らすための設計と思われますが、リアルなハンマー形状を再現したことは評価できます。

3バーストの作動原理について

(1)セレクターを3バーストにすると基本フルオートモードになりますが、直ぐにボルトの突起によってフルオートシアーが外されるため、ハンマーは3バーストカウントシアーに引っかかります。

(2)トリガーを引くとハンマーが倒れ、ハンマーの軸に付けられたギア状の3バーストカウントシャフトがハンマーの動きに合わせて回転します。

(3)カウントシャフトの凸状の歯の動きを、3バーストカウントシアー先端の爪がカウントし、ハンマーが3度倒れたとき(3カウント目)に再度ハンマーを3バーストカウントシアーに引っかけます。

(4)トリガーを引く度に(2)〜(3)が繰り返されます。

分かりにくかったかもしれませんが、本来フルオートになる動きを3バーストシアーと3バーストカウントシャフトでコントロールをしているって事です。

試射結果の簡単な説明

室内の近距離での試射でしたが、BLKの作動性はセミ・フルとも問題無く作動します。1マガジン34発を撃ち切ることが可能です。

本体が重いのと、作動優先の軽量ボルトとリコイルSPガイド&弱めのリコイルSPの組み合わせにより、反動は軽めでバトルライフルの迫力を期待すると裏切られます。

リコイルSPを強めのものと交換すると反動自体は強くなりますが、オリジナルSPで発生しなかったバネ鳴りが煩いので、当面はオリジナルのまま使用するのがべターのようです。

初速はマルイ製0.25gBB弾を使用してセミで77m/s前後(室温25℃)。何発目をカウントしているのか不明ながら、3バーストの場合は67m/s前後まで下がる傾向がありました。

遠距離の集弾性が良ければ、反動の少なさを利用してスナイパーライフルとしての活用ができそうです。

※ 試射動画については、今後UP予定です。

 

最後に(サマリー)

7.65×51mm弾を使用するバトルライフルのGBBガンのモデルアップと言うことで入手したMATENですが、正直物足りなさを感じます。

一番の理由は、実銃のMAGAアームズ社およびMATENの情報がなさ過ぎることです。トイガンが実際にリアルな再現なのかを実感できない上に、実銃に対する憧憬的な感情も芽生えません。

仮にモデルアップされたものが同じAR10系のモデルでも、ナイツアーマーメント SR−25やダニエル・ディフェンスDD5V1のような量産モデルであれば、比較対象もはっきりするし実銃の評価やストーリーも分かるので、満足度は全く異っていたでしょう。

海外用に作られたトイガンを国内仕様向けに手間のかかったチューニングを施し、反動の低減と引き換えに作動性を高めた事は評価できますし、多少甘い部分もありますが全体の完成度も低くないだけに、機種選定そのものが惜しまれますね。

参考資料
MEGA ARMS HP