Carbon8 CZ75 CO2GBBレビュー

レビュー

実銃についての簡単な説明

Cz75はチェコスロバキア共和国(現)のCZ(チェスカ−・ズブロヨフカ)社が1975年に完成させた輸出市場向け拳銃で、9mmパラベラム口径、ダブルアクション、15連ダブルカラムマガジンを備えています。

チェコスロバキアがワルシャワ条約機構だった80年代のアメリカにおいては、輸入量の少なさとジェフ・クーパーによる高い評価によって人気が沸騰。同時期に専門誌によって日本にも紹介されて高い人気を得ています。

加工に手間のかかったショートレイルタイプと呼ばれる初期モデルから、生産性を向上させたロングレイルタイプの2ndモデルとなり、現在はオートマチックファイアリングピンブロックのついたCz75Bモデルとして、現在も生産が続けられています。

今回Carbon8 がモデルアップしたのは、最もなじみの深いロングレイルタイプの2ndモデルです。

Carbon8について

CZ75 CO2GBBの発売で初めて目にした「Carbon8(カーボナイト)」というブランドですが、エアガンアクセサリーやKJワークスの国内販売を行っている「HoneyBee WAREHOUSE(株式会社 ハッチ)」がCZ75 CO2GBB発売のために作ったブランドのようです。

株式会社ハッチは、CO2ガスガンを認可している国内唯一の団体「全日本トイガン安全協会(STGA)」に加盟しており、販売に当たって同組合の安全基準をクリアさせています。

Carbon8 CZ75 CO2GBB について

パッケージはオリジナルパッケージの4C印刷のもの。デザイン的には海外っぽいイメージです。側面にはSTGAの認可シールが貼られていますが、Czのリアル刻印云々の記述はありますが、ライセンスの文字はありません。

取説は写真付きの操作案内+パーツ表が付いた初心者にも分かりやすい編集になっています。気になる個々のパーツは購入店経由で申し込みが出来るようです。また、KJワークス CZ P-09 DUTYと同じ購入後2週間の初期不良対応の保証書が付属しています。

馴染みの無い新ブランドのトイガンなので、アフターサービス体制に力が入っていて、不安感は少ないですね。

CO2の取り扱いや、マガジンへのボンベの装着方法への注意書きが入っているのは、CO2初心者に向けて親切な対応となっています。。

外見から見ていきます

本体形状を見る限り、台湾KJワークス製の「KP-09」との類似点がありますが、KJワークスについての記述はどこにもありません。

日本の法律やSTGAの安全基準に適合させるために仕様自体が大幅に変更されているので、例えベースが同じであっても別物として考えるべきなのでしょう。


左:Carbon8性Cz75、右:KSC製Cz75

Cz75の国内トイガンのスタンダード、KSC製CZ75と並べて比べても、外見上マガジンボトム以外に目立つ違いは見つかりません。

デザインバランス的にも違和感は無く、再現度は高いと思われます。スライド閉鎖時にアウターバレルが前後に動く音がするのが、唯一気になるところです。


左:Carbon8性Cz75、右:KSC製Cz75

外見上気になる部分がハンマー位置で、Carbon8製はKSC製に比べて位置が後過ぎるようで、ハンマー基部がフレームからはみ出ています。

KJワークス製の「KP-09」も同じようなハンマー位置であることが画像で確認できるので、ベースが同じものだと推測した根拠にもなっています。

フレーム&スライドはABS樹脂製でマットな塗装仕上げになっていますが、パーティングラインが残ったままになっています。フレームのパーティングラインは大して目立ちませんが、スライド上部のものは結構気になります。

スライド左側にはCz社のロゴマークと「MODEL 75」のモデル名、「CAL.9 PARA」の口径表示が入っています。フレームには「MADE IN CZECHOSLOVAKIA」の93年以前の製造国表示が入れられています。

トリガーガード基部にはプルーフマークが、グリップにはCZ社のロゴマークが入っています。

右側前部にはスライド。フレームともにシリアルNo「86720」の刻印が入っています。エキストラクター(モールドですが)上部にはプルーフマークと「82」の文字(検印年度)が入っています。

本来シリアルNoとプルーフマークが入るチャンバー部分には何の刻印もありません。マズル部にもライフリングがないので、アウターバレルに関しては再現度は低めです。

形状的にはそっくりなCarbon8製のフレームにKSC製のグリップを乗せるとガタも無くピッタリ合いますが、ネジ位置が僅かにズレているので取り付けることは不可能です。

KSC向けのサードパーティ製木グリがそのまま付かないのは残念ですね。

セフティはハンマーがダウンしているときは作動せず、ハンマーコック時のみONにすることができます。

ダブルアクションなのを考慮すると??な仕様ですが、セフティONの状態ではスライドもロックされて引けなくなるので、再現度は一長一短ですね。

次に内部を簡単に見てみます

通常分解は、実銃と同様フレームとスライド後端に入っている縦のラインを合わせて、スライドストップを右から押して抜き出すことで、スライドアッセンブルをフレームから取り外すことが出来ます。

通常のメンテやHOP調整などはここまでの分解で充分です。これ以上の分解、特にハンマー周りの分解はCz独自の複雑なメカなので、必然が無ければやらない方が無難です。

バレルはアウターバレルのみショートリコイルするタイプです。構造自体は単純でスライドが後退するとアウターバレルのロックが外れ、インナーバレルのピンに沿ってアウターバレルが後退します。

その際アウターバレルの窪みによってアウターバレルが下降します。アウターバレルはインナーバレルに被さっているだけで、スライドとのロックもタイトで無いため、スライド閉鎖時でもアウターバレルが若干前後に動いてしまいます。

リコイルSPは固めで短いモノが付いています。リコイルSPガイド先端に付いているオレンジの樹脂パーツはバッファーで、後退時のスライドとぶつかる衝撃を和らげるためと思われます。

単体で交換可能になっていますが、500発程度撃った限りでは特に変形は見られませんでした。

スライドストップノッチ部分には、下側から金属製のピンを打ち込んだノッチの削れ対策が施されています。少し心許ない気もしますが、Cz系はスライドをフレームで包み込む形式なので外側からノッチは見えないので多少の削れ程度なら問題にならないでしょう。

ブリーチ部分は独自の構造でKSC等、他社のマガジンは流用できません。シリンダーのストロークは約24mmと比較的長く、ブローバック作動を重視した設計と思われます。

トリガーアッセンブリーは実銃に準じた構造です。KSCのコピーだと思っていましたがバブルノッカー周りを単純化する等の違いがあるので、独自の設計のようです。丸で囲った部分はセフティ軸の突起で、ON状態だと上に上がってスライドの後退をストップさせます。

気になるのはトリガーバーの出っ張り部分で、この出っ張りがスライドの溝に入って上下する事で、シアーのディスコネクト機能を作動させるのですが、KSCに比べてかなり出っ張っています。

金属のトリガーバーとABSスライドが撃つたびに接触することになるので、スライド側の摩耗が心配です。ただし500発撃った後でも大きな摩耗は見られないので,取り越し苦労かもしれません。

メインSP(ハンマーSP)は、メインSPハウジング内に真鍮パイプで覆われた上に片側からピンで固定されて分解できない構造になっています。

これもしっかりした改造防止策がですね。

最後に気になるマガジンを見ていきます

マガジンから大型のマガジンプレートを外すと、ほぼマガジン本体がフレームから出っ張っているのが分かります。形状的には実銃にもある18連マガジンなんですが、ノーマルサイズのスライドだとバランスが崩れてますよね。

個人的にはノーマルの16連マガジンサイズに納めて欲しかったです。

マルシンのCO2GBB、Five-seveNのマガジンと比べてみると、もう少し短くできたような気がします。Czのマガジンは左右幅がないので、気化スペースを縦に大きく取る必要があったのでしょうか。

CO2ボンベの装着は、まずマガジンプレートを外し。付属の六角レンチを使って、マガジン底部のボトムスクリューを取り外します。次に市販のCO2ボンベを細い口がある方から入れ、レンチを使ってボトムスクリューをねじ込んでいきます。

ボトムスクリューがボンベの底に当たってから更にねじ込んでいくとガスが漏れ始めるので、ガスが止まるまでねじ込めば装着完了です。

ガスが止まってからもねじ込み続けるとマガジンの破損につながるので(最初に書いた説明書に大きく明記されています)、過分なねじ込みは厳禁みたいです。

マガジンには右側からピンが打ち込まれていて、バルブが分解できないようになっています。STGAの安全基準に沿った対策だと思われますが、規制の厳しい国内での販売には必要な処置ですね。

マガジン正面の給弾レイルは下方の幅が広がった「マルイ型」。フォロアーを下げてBB弾をレイルに流し込めるので、給弾し易い形式です。何度も書きますが、これでKSCのようにフォロアーが固定できれば最高なんですけど、いつまで経っても実現できないですね。

試射後の簡単なコメント

スライドの後退速度が速いので、スライド重量が軽い割には反動が鋭く強めに感じます。CO2の特性どおりに冷えに強く、ガスが無くなる最後の5発ぐらいまでブローバックの強さは変わりません。

室内のみの使用なのでHOPの効きは分かりませんが、弾道はフラットで素直な感じです。近距離での集弾性は良いように感じました。

気になる初速は、室温21℃。東京マルイ製0.2gBB弾使用時の初速は80m/s前後よ、通常のGBBに比べて初速は高めです。CO2ボンベ1本で平均5マガジン125発程度は撃てるようです。


試射中、上の画像のようにアウターバレルとインナーバレルが引っかかって、スライドがロックして撃てなくなる事例が数回発生しました。

原因はアウターバレルとインナーバレルのショートリコイルを再現する溝とピン部分の引っ掛かりにあるようです。その部分にグリスアップをしてからは、発生しなくなりました。

Carbon8 Cz75CO2GBBの試射動画

最後に(サマリー)

Carbon8 Cz75 CO2GBBは、一部の仕上げやオリジナルよりも長いマガジン等、外見上気になる部分はありますが、ブローバックの作動や実射面での完成度はかなり高いと思われます。

初期不良に対する保証や販売店を通しての修理やパーツの供給体制がしっかりしている事は新規ブランドとして評価できる点です。

また正式にSTGAの認可を受けて基準に則した安全対策がなされているのも、評価が安定していないCO2GBBとしては安心材料です。

ガスの燃費も悪くないし気になるのは耐久性だけですが、500発程度撃った状態で破損や不具合は発生していないので、極端に弱い部分はなさそうです。

・Carbon8 Cz75 CO2GBB・・・・・・・・・メーカー希望小売価格 21,384円(税込)
・Carbon8 Cz75 CO2GBB専用マガジン・・・メーカー希望小売価格 5,378円(税込)

※2017年12月現在