UMAREX ワルサー PPQ-M2レビュー

レビュー

2013年10月に発売されたばかりのワルサーPPQ M2 GBBですが、販売元のウマレックス社自体は元々ドイツのブランクガンメーカーで、ワルサー社の親会社です。しかも海外での実銃ブランドの商標をトイガン用に所持しているようで、ワルサー、H&K、S&W、ベレッタ、スタームルガー名のトイガンを販売しています。

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日本だと「A社が作ったエアソフトガンのワルサーPPQ」が、実銃を売っている海外では「ワルサー社のPPQエアソフトガンをウマレックス社が販売している」といった感じなんだろうと思います。HPを見ると、国内でもよく見るエアソフトガンも並んでいます。OEMで作っているのだろうと思いますが、海外メーカーのコピーの可能性もありそうです。

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トイガンに関係の無い話から始まったのは、購入時に「Stark Arms製」となっていたのに製品にはUMAREX以外の文字が無かったからです。「ちなみに「Stark Arms社」は台湾のメーカーでHPの表紙にPPQを載せていますし、他にもG17・19のGBBシリーズを販売しています。VFCとの関係もあるようですが詳細は不明。台湾・香港のメーカーと商品の関係はホントよく分かりません。

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さて本題のトイガン本体の話に入る前に、実銃のワルサーPPQについて大雑把にまとめると、2008年に開発されたP99の発展モデルP99Qのスライド・フレームデザインをそのままに、パテントの切れたグロックのトリガーメカをそのまま採用したモデルがワルサーPPQということになります。

さらに、PPQのレバー式マガジンキャッチをボタン式に改良したのがPPQ M2なんだそうです。

従来ドイツ警察の要求に合わせていた仕様を、特殊部隊の要望に合わせたものとも言われています。大きな改良点がトリガープルの改善ということで、劇的に軽くなったとのこと。トリガーのリセット距離はP99譲りの短いものらしく速射性能が非常に高いそうです。

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原型となったのがP99ということで、マルゼンのP99と比較してみました。バレル・スライド・フレーム等のサイズはほぼ同じ。グロック19のようなセミコンパクトサイズということになります。

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グリップの角度やバックストラップの交換システムなんかもほぼ同じ。国内でワルサー商標を持つマルゼンが作れば、マガジンとかは共用できたのでしょうね。実銃ではP99とPPQは別のシリーズとして併売されているようです。

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P99と最も異なるのがスライドの形状です。段差が無くなり全体にRの付いたスライド側面と、前後に付いたセレーション。フロントセレーションの中のワルサーバナー等、P99(特に2nd)のゴテゴテ感がなくなりスッキリしました。

フレーム前部のレイルも汎用性の高いピカニティレイルになっていますが、手持ちのシュアファイアX300等を取り付けると前後にガタ付きが出ます。正確に計ってはいませんが、幅はともかく溝のサイズが異なっているようです。

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またトリガーガードは角形に、トリガー自体はセフティ機能のあるグロックタイプとなっています。グロックのようにストライカー前進時(トイガンではハンマーダウン時)には、トリガーが後退したままになると思っていましたが、実銃動画等を見る限りPPQのトリガーは常に前進位置に戻る(トイガンと同じ)のが正解のようです。

また、PPQM2からボタン型となっているマガジンキャッチ(PPQまではレバー型のアンビ)にアンビ機能が再現されているのか気になりました。マガジンキャッチの構造を見る限りキャッチを固定している、恐らくイモネジを外せば左右の入れ替えはできそうです(今回長い六角レンチがなくて分解までできませんでした)。

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フレーム右側は刻印にホワイトが入っているので、エジェクションポート周りが賑々しい感じですが、ヨーロピアンオートっぽさを感じる部分でもあります。チャンバー部のワルサーバナーが誇らしげです。

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グリップはオリジナルP99から最も変わった部分です。グリップパターンがドットからさらに細かい唐草?風を組み合わせたパターンとなっています。一見H&K45とかに似た雰囲気ですね。ちなみにパッケージのデザインはこのグリップパターンをアレンジしています。

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またグリップ側面に厚みを付けて、よりエルゴノミクスを意識したものとなっています。実際グリップしてみると、以前握りやすいと思っていたP99のグリップが平らに感じるほど違いがあります。

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分解はP99と同様、コッキングしてからフレームの分解ラッチを下げれば、スライドを前方に抜き出すことができます。各パーツについたオイルを拭くと驚くほど汚れているのと海外製のオイルの匂いも気になるので,購入後は通常分解してクリーニングすることをお奨めします。

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エアソフトガンなので実銃のストライカー方式ではなく、ハンマー式にアレンジされています。この辺りのパーツの精度は高そうなので一安心。またトリガーのリセット距離はかなり短いので、速射はし易そうですね。

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意外にもP99同様バックッストラップは交換可能。本体に装着してあるMサイズのものしか付属しないので別パーツにしたメリットはありませんが、一体成形しちゃうのと好感度が全然違います。

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スライド内側ブリーチ部分のBLKメカの形状はマルイのまんま。ノズル形状も同じですね。アウターバレルの形状やHOP調整ダイヤルも同じ。この辺を見ると海外製品が安いからって喜んでいられない気もします。意外にもスライド最後部のスクリューを緩めるとリアサイトの左右調整ができます。

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マガジンの作りもマルイと同じ。装弾レイルの幅を途中で広くして給弾口にするアイデアもそのまま、このタイプは給弾しやすいのですよね。マガジンフォロアーを固定するKSCメカと組み合わせれば最高なのですけど、そこまで真似られなくて良かった気もします。

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このモデルで残念な点のひとつは、スライド後部。本来フレーム側の出っ張りがブリーチ内のピストンスペースを稼ぐ関係か一直線に分割されています(本来はモールドのように凹型)。スライド後部は一番目に入るところなので、このぐらいのサイズ差なら実銃どおりの分割にして欲しかったです。その点マルゼンP99はさすが国産、キチンと再現しています。

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残念な点の2つ目は、スライドとフレームの隙間、特に後部が目立つんですよね。加工の問題では無いと思うので設計上このようにしたんだと思いますが、スライドとフレームの噛み合わせに隙間を感じるのは、作動に関係なくても、安っぽい感じがして興ざめなんですよね。

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実射性能は、海外製GBBなのに、フロンガスで快調に動いてくれます。手動でのスライド操作ではノズルがチャンバーにひっかかり気味に思えましたが、実射では装弾不良とかもなし。ただガス圧が下がるとバーストで発射する傾向がみられるので、マガジンの冷えすぎとガスの入れすぎには注意が必要です。

個体差かもしれませんが実射後、バレルの右側だけが妙に擦れているのが気になりました。スライド内側を見ても擦れた場所が特定できなかったので、バレル全体が右に寄っているのかも。

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パッケージはグリップパターンにPPQの文字とワルサーバナーが入った実銃ぽいシンプルなもの。説明書は英、仏、スペイン、オランダ語共通ものが入っていました。これって完全にヨーロッパでの販売をメインにしたものですよね。日本以外の市場の大きさを感じますね。

いつの間にか日本で生まれたエアソフトガンが、海外市場と海外メーカーを中心に動くようになってきて、相対的に日本市場が縮小しているのに気がつきました。日本のエアソフトガンもガラケーみたいになるのかな?元々海外志向がなかった業界ですからしようが無いかもしれませんが、残念ですね。

↓ウマレックス ワルサーPPQ M2 実射動画はこちら

参考資料:アームズマガジン2009年2月号
                  月刊GUN 2008年11月号
                  GUN MAGAZINE 2013年11月号