KSC M11A1(2013ver) レビュー
KSCのM11A1が最初に販売されたのが2001年4月、システム7化+マグネシウムボルト仕様になった2代目の発売が2009年11月。そして新型チャンバーになった三代目が発売されたのが2013年10月と,今回は実に4年ぶりのモデルチェンジとなります。
モデルチェンジと言っても内部機構のみの変更なので外観はそのまま。マガジンもシステム7化以降は共通なので2013verは再販時のマイナーチェンジという扱いが妥当かもしれません。余談ですが最近の「MANUFACTURED BY KSC」のシールが剥がれにくいのが嫌ですね。いちいちシール剥がし使うのが面倒です。
一番目を引く改良点が,実はパッケージだったりします。ダンボール地素材に文字だけを入れた,最近のKSCのGBBに共通するデザインですね。
KSCが初代M11A1を発売したのが12年前といっても、実銃のM11自体は思っているよりも古いSMGで、開発は1969年。最初の生産会社MAC社が倒産したのが1975年。KSCがモデルアップしたM11A1の生産会社RPB社が設立されたのが翌76年。そのRPB社が解散するのが1982年です。
MGCがモデルガンのM11を発売した81年当時は,既にMAC社は存在せずイングラムの名称も無かったのには驚きます。イングラムM11とかMAC11って名称が馴染んでいますよね。
※MAC社の初期、ゴードン・イングラム在籍時の製品のみイングラムMACの名称が付いていました。RBP社時代でもMAC11は通称として使われていたようです。
M11とM11A1の違いがハッキリしないのですが、RPB社がMAC社の在庫を引き取って販売していたものまでがM11。RPB社が新規で製作したものがM11A1となるようです。
実銃の話はこれぐらいにして、KSCのM11A1 2013verを見ていくことにします。
レシーバー前部右側にあるレシーバーピンの形状がMGCのM11を見慣れた目には違和感があります。RPB社のレシーバーピンはピンを二重にして一方のピンの内側を空洞にし、もう一本のピン先をカギ状にして中に通して固定する方法になっているためピンが大型化しているからですね。
スライド式セフティは前方にずらしてFIRE、後方でSAFEですがトリガーフィンガーでの操作は難しいですね。最もコッキングした後にセフティかけるよりも、コッキングしないで持ち歩く場合が殆どだから気にしなくても良いかも?
レシーバー反対面にはセフティとは独立したセレクターレバーがあります。セフティと一緒になっていないので操作性が悪いと言われますが、M11A1をセミで撃つことなんて殆ど無いので、こちらも余り重要な気がしません。セレクター刻印はSとFの省略型。
後方に目を向けると、レシーバー後端上部のアールが実銃の二重アールをトイガンで始めて再現しているとのこと。細かい所ですが、こういう拘りは好きですね。ロゴはお馴染みのヘビロゴがくっきり入っています。
刻印は
M11−A1,CAL380
RPB INDUSTRIES,
INC ATRANTA,GA. U.S.A.
と綺麗に入っていますが、文字の刻印よりもコンマやピリオドが深いのが気になります。
ボルトのエキストラクターは当然モールドですが、MGCのM11のイメージと最も印象が異なる部分です。当然KSCのほうが正しいのですが、モデルガンに刷り込みされているため、なんとなくリアルじゃないように感じてしまうから不思議です。
ストック基部にもヘビロゴが入っています。こういう配慮は見つけると嬉しくなる部分です。ストック自体は伸ばすと若干ガタがありますが、当時のSMGの仕様だからこんなものなのでしょう。
因みにこのストックはMGCのM11のフレームには入りますが、ロック用の溝が狭いのでそのままでは流用できません。溝を広げれば恐らく流用は可能だと思われます(逆にKSCのフレームにはMGCのストックは若干サイズが大きいらしく入りません)。
フロントサイトガードは若干厚めの気がしますが、プラの強度を考えればこんなものでしょう。エアソフトガンの機能とは殆ど関係ないですが、落下時にボルトが後退して暴発することを防ぐためのボルトロックが再現されています。
ボルトハンドルを90度回すだけですが、MGCのM11で認知されている機能なので、再現しないわけにはいかないですよね。
全体的にはMGCのM11のイメージを裏切ること無く、細かい部分もブラッシュアップされて再現されています。少なくとも12年前の古い設計のモデル(外観)というイメージはありません。
フレーム全面はマット調の仕上げになっているので,実銃のパーカーライズ仕上げよりも上品な感じです。さらに、このサイズで1330g(マガジン込み)も重量があるので、手にしたときに安っぽさを感じさせないのは流石です。
分解はフレーム前部のレシーバーピンを外して、アッパーレシーバー後部を支点に上方へ抜き出します。この時、ボルト後部が引っかかるので一端ボルトを固定して押し込んで外します。通常メンテは、ここまでの分解で充分でしょう。
次はM11A1に必要な純正アクセサリーを紹介します。
M11A1に必須のアクセサリー別売の純正サプレッッサーとサプレッッサーカバーです。サプレッッサーはアルミ製のストレートタイプ、MGCのような二段になっているタイプは本来M10用らしくM11用としてはこのタイプが一般的なんだそうです。
スチール製のサプレッサー前部を外すと,中にスポンジ製のワッシャーが入っています。消音効果は発射音がこもって聞こえる程度ですが、サプレッッサーを付けた方が断然構えやすいんですよね。
サプレッサーカバーは、実銃のサプレッサーは射撃をすると熱を持つために必須の製品なんだとか。折角仕上げの良いサプレッサー表面が見えなくなるは残念ですが、付けた方がリアルだしサプレッサーの表面保護にもなりますね。
フロントストラップは実銃ではM11A1を制御するのに必要なパーツと言われていますが、ナイロン製のかなり安っぽいもの。サイズ的にはMGCのものより長めで握りやすいですが、サプレッサーを付ければ握る必要がなくなります。
サプレッサー&カバー、フロントストラップを付けると、映画とかでお馴染みののM11A1らしくなりますね。また、アクセサリーではありませんが、予備マガジンは2〜3本は必要になります。
マガジンが必要な理由は実射をすれば、直ぐにわかります。実際に発射速度を測ってみたら(室温22℃)、発射速度は毎分約1500発(毎秒約25発)の高発射サイクルです。メーカーの毎分20発は嘘では無いようで、1マガジン(50発)は2秒程度で撃ち尽くします。
高発射サイクルの代名詞だったマルゼンのMP5Kが毎分約1400程度(毎秒約23発)なので手持ちの中ではM11A1が最速ですね。軽量マグネシウムボルトとオープンボルトの組み合わせは伊達では無いようです。
高発射サイクル故のトラブルもあります。写真はBB弾が装弾不良になった時のもので、マガジンからチャンバーに繋がる部分のレール部分にBB弾が詰まってしまってマガジンも抜けなくなりました。こんなジャムはトイガンでは初めてです。
また、サプレッサーを最後までねじ込まないと発射の振動でサプレッサーがぶれてサプレッサー内部にBB弾が当たり、サプレッサーからBB弾が弾けたり、出なくなったりもします(先のサプレッサー画像のスポンジバッファーのダメージはその時のものです)。
オープンボルトのSMG、特にM11A1なんて今更感がありましたが、高発射サイクルに惹かれて入手をしたら,期待以上の性能でした。MGCのイングラムを最初に発火したときの楽しさを思い出しましたね。
それよりもBB弾を発射する分、感動は上かもしれません。真面目に弾痕で字が書けるんじゃ無いかと思えるぐらいですから。このようなトイガンを見つけると、トイガンの魅力は実銃の性能や人気以外の所にもあるのを痛感しますね。まだまだモデルアップしてないネタは無数にありそうです。
↓KSC M11A1の実射動画はこちら
参考資料
月刊GUN 2007年3月号・4月号・5月号
月刊GUN 2010年1月号
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