MGCコルト ウッズマン シリーズ Vol.2
MGC-TAITO(HWモデル)編
Old Toy Gun Reports No.05
(2014,11,05 追加更新)
既に製造されていない懐かしのモデルガンを中心に取りあげる「Old Toy Gun Reports 」
第5弾は、94年に生産されたウッズマンHWシリーズ2モデルとTAITOに生産が移ってからの5モデルを中心に紹介します。
MGC ウッズマン シリーズは90年からカタログ落ちした後に94年7月にHW化されて再生産されました。しかし翌95年3月にMGC製造部門が廃業になったので、販売は実質8ヶ月という短い期間でした。
4月以降はTAITO(台東商事)に生産が移っていますが、MGC時代のウッズマンの在庫分やパーツの流用などがあるため、厳密な線引きが困難です。今回は外見上の判別点でMGC製とTAITO製を区別しています。
MGC末期(95年前半生産) ウッズマンシリーズ
MGC ウッズマン マッチターゲット HW
94年7月に再販されたウッズマンシリーズの第1弾が、このマッチターゲット。素材のHW化とカートのCP化は以降のウッズマンシリーズnお共通仕様(ABS素材のものも一部併売)。
マッチターゲット単体の特徴としてはウッドプリントされたHWグリップがあげられます。
ABSモデルと最も異なるのがバレル刻印。ABSモデルが「MGC MODELGUN CORPORATION TOKYO JAPAN」というオリジナル刻印だったのに対し、HWモデルでは「COLT’S MFG CO. HARTFORD CT.U.S.A. U.S. PAT. D-121.317 」と実銃と同じ刻印に修正されています。
MGC ウッズマンスポーツ HW
マッチターゲットに続き発売されたのが ウッズマン スポーツ。同じく素材のHW化とCPカート化がなされています。
グリップはマッチターゲットと異なり、ABS時代のスポーツ用チョコレート色グリップがそのまま使われています(宣材などではHWのブラックグリップが使われているので、所持モデルには余剰パーツが使われていた可能性もあります)。
パッケージはマッチターゲットの再販時から使われているもので、その後のTAITO時代末期まで使われる息の長いデザインです。発泡スチロール部分はHW化された44オートマグと同じものを流用しているようです。4インチ以下の単銃身モデルでは発泡スチロールブロックを別に嵌め込んでフィットさせていました。
マッチターゲットでは実銃刻印に修正されたバレルは、何故かABS時代のMGCオリジナル刻印のままです。
個人的にはウッズマン スポーツはHWによってバレルへの湯流れが悪くなり、歩留まりも悪化したため試験的な生産に終わったのではないか、と思っています。だから、コストのかかる金型修正をするような刻印変更をしなかったのではないか。
その後のバリエが全てスポーツをベースにしたバレルカバーの付いたカスタムなのも、歩留まりの悪化による不良パーツの有効活用へとつながるので、あながち的外れな仮説では無い気がしています。
MGC末期のウッズマンHWシリーズの特徴はシルバーのトリガーと、同じくシルバーメッキされたマガジンキャッチスプリング。マガジン等金属パーツのミルコートフィニッシュ、なめらかなHWの地肌があげられます。
もう一つの特徴がフレーム右側のシリアルNO下に刻印されたSPGマークです。ABSウッズマンが製作された79年当時はSPGの規定が無かったので、刻印も金型ではなくホットスタンプのような後加工です。
取説はMGCロゴの付いたマッチターゲット、スポーツ兼用のものが付属しています。この時点ではバリエーションはABSモデルと同じ2種です。
94年当時の販売価格(CPカート 6発付き)
・ウッズマン マッチターゲット HW 13,000円
・ウッズマン スポーツ HW 12,000円
MGC ウッズマン ヘビーバレル 飛葉モデル HW
95年4月に飛葉モデルが、5月に6インチヘビーバレル カスタムがウッズマンバリエーションとして発売されています。MGCの製造部門は3月に廃業となっていますが,以下の4点の特徴によって、MGC製という分類をしています。
(1)シルバーメッキのトリガーパーツを使用
(2)HW地がタイトー時代よりもなめらか
(3)フレーム右側シリアル刻印近くにSPGマークの刻印
(4)付属の取説がMGCロゴのマッチターゲット、スポーツ兼用のもの
このモデルが広告に登場したのは月刊GUN誌95年6月号ですが、数量限定の告知が入っていますので当初は限定カスタムのようなものだったと思われます。
さらにパッケージはウッズマン共用パッケージが使われていて、ラベルシールの商品名は「ヘビーバレル 飛葉モデル」。後のTAITO製とは名称自体が異なっています。
製品自体も、短縮したバレルにバレルカバーを付けるカスタム手法は同じながら、バレルとフレームの上下の段差を無くし、左右を面取してフレームと一体化させる手の込んだ加工がなされています。
商品名にあるように「6インチ ヘビーバレルカスタム」を短縮したような作りになっているので、この時点では「ヘビーバレルカスタム」のバリエとして作られた感があります。
グリップはHW素材の無垢のタイプで、内部ウェイトが省略されています。ブラックタイプのHWグリップの実物は現在このモデルしか確認できていませんが、広告写真の6インチヘビーバレルカスタムもこのグリップのようです。
MGC ウッズマン 6インチ ヘビーバレルカスタム HW
(2014,11,04 追加記事)
このモデルが広告に登場したのは月刊GUN誌95年5月号でしたが、発売は前述の「ヘビーバレル飛葉モデル」と同時だったように記憶しています。
過去のABSの「ウッズマン ヘビーバレルカスタム」の再生産の位置づけだったのか、フロントサイトの形状変更やバレル刻印の省略などはありますが、カスタム並みの丁寧な仕上がりです。
丁寧な印象の大部分はHW素材によるものだと思いますが、この時期のHWはABS素材と変わらない表面の滑らかさです。所持モデルはGUN誌の広告写真と異なり木目調のグリップが付いていますが、これが標準だったようです。
(上:MGC 6インチヘビーバレル、下:TAITO 6インチヘビーバレル)
後に再生産されたTAITO時代の6インチヘビーバレルとは、全く同じパーツ構成ながら別物といってほどの違いがあります。
パッと見は、HW素材の質の違いが目に付きますが、仕上げそのものレベルが異なっています。分かりやすい部分では、MGC製はヘビーバレルとフレームとの接合部に隙間がありません。この辺りはMGC製造部門の残滓なのか、MGC本来の技術力を感じさせる部分です。
95年当時の販売価格(CPカート 6発付き)
・ウッズマン ヘビーバレル 飛葉モデル HW 10,000円
・ウッズマン 6インチ ヘビーバレルカスタム HW 13,000円
TAITO製(95年後半以降) ウッズマン シリーズ
製造がTAITOになってからは6インチヘビーバレル カスタムと飛葉モデルがメインに作られるようになりました。95年後半にはこの2種以外のバレルカスタムが複数存在し、かつ4月以前(MGC時代)のウッズマンの在庫品がニューMGC等では併売されていたと思われます。
この時期製造されたTAITO製 ウッズマン シリーズの特徴としては以下の5点が見受けられます。
(1)黒染め仕上げのトリガーパーツを使用
(2)HW素材表面に金属粉と思われるざらつきがある
(3)フレームSPGマークがグリップ部分に移動
(4)付属の取説がタイトーロゴの「飛葉モデル」「6インチヘビーバレル」兼用
(5)グリップは全て木製プリントのHWグリップ
TAITO ウッズマン 6インチヘビーバレルカスタム HW
「6インチ ヘビーバレルカスタム」は、79年の「MGC創立20周年カスタム祭り」にて販売された「ヘビーバレルカスタムのリメイク版で、94年5月にMGCから発売されたモデルファーストロット。セカンドロット以降のものがタイトーに製造が移ってからのものと考えられます。
先に挙げたTAITO製ウッズマンシリーズの特徴以外はMGC製作としたものと違いはありませんが、HW樹脂の表面のザラザラ感と薄めの黒染めによって、仕上げの評判は芳しくありません。
バレルが下向きの製品が出回ったのも評判を下げた要因のようです。所持モデルではそのような症状は見られないので、手作業によるバラツキであったと思われます。
MGC ウッズマンHWシリーズと同じパッケージに、「ウッズマン6 ヘビーバレルカスタム」の商品名がラベルテープで入れられています。
再販された「ヘビーバレルカスタム」79年版との違いは素材以外に、小型化された金属製フロントサイトと刻印の無いブルバレルです。
このモデル以降、フレーム右側シリアル付近にSPGマークが無くなって、グリップに隠れる部分に移動しています。隠れロゴのハシリではないですが、見えない所にあった方がリアルなのは確かですね。
グリップは木目プリントがされた無垢のHWタイプ。この木目パターンもロットによって違いがあるようで、後期になるほど木目が単調になり色がチョコレートっぽくなるようです。TAITO時代のウッズマンシリーズは、在庫が無くなるまでこのグリップ一種です。
取説は新しくなって、「6インチヘビーバレル」「飛葉モデル専用」の取説になり、ブランドとしてのMGC表記は残っていますが、「MGCグループ TAITO」「MGCグループ 台東商事」の表記が新たに加わっています。後のウッズマン バリエーションも全てこの取説が使われています。
TAITO ウッズマン 4インチヘビーバレルカスタム HW
94年7月以降に追加されたバリエーションが4インチヘビーバレルカスタムです。バレル長が4インチになった以外は、6インチとの違いはありません。
ネットなどでもあまり見かけないので生産数は少なかったと思われます。生産自体は恐らく94年の発売時の一回程度だったと思われます。
あくまでもメインは6インチヘビーバレルと飛葉モデルで、それ以外は試験的なバリエーションもでるだったのでしょう。
TAITO ウッズマン 飛葉モデル
TAITO「ウッズマン 飛葉モデル」はMGC製「ヘビーバレル飛葉モデル」に比べ、バレルカバーが単純な円柱形のものに変更され、カットされたバレルに被せただけの仕様に変わっています。
バレルカバーの形状変更によってバレルとフレーム接合部の加工も省略され、量産向きのデザインになっています。「飛葉モデル」の評判はそれほど良くなかったと思いますが、その割に周囲に所持している人が多かったですね。
また、この「飛葉モデル」はABSモデルが併売されていました(先にABSモデルがあった記憶がありますが未確認)。この当時新たにABSフレームを作ったとは思えないので、恐らくMGC時代の余剰パーツで組み上げたものと推測されます。
ここまでの「飛葉モデル」の画像はABSモデルですが、HWモデルよりも良い仕上がりです。
TAITO ウッズマン 飛葉モデルHW(旭工房エクステンションバレル加工)
こちらは、旭工房のエクステンションバレルキットを取り付けた「飛葉モデル HW」。グリップの木目プリントのデキは良いですが、フレーム本体はザラザラ表面のTAITO仕様。
キット組み込み時に分かりましたが、オリジナルのバレルカバーもHW素材に変わっていました。
ウッズマンHWシリーズの中で唯一「飛葉モデル」のみ専用パッケージが作られました。飛葉の文字と飛葉モデルの発射シーンのイラストしかなくても、ワイルド7を連想してしまう確信犯的デザインです。
サイズ的な問題はあるにしても、専用パッケージが作られたりしているのは、かなり売れ行きが見込めていた、と言う事になるんでしょうね。
95年当時の販売価格(CPカート 6発付き)
・ウッズマン 6インチ ヘビーバレルカスタム HW 13,000円
・ウッズマン 4インチ ヘビーバレルカスタム HW 12,500円
・ウッズマン ヘビーバレル 飛葉モデル HW 10,000円
・ウッズマン ヘビーバレル 飛葉モデル ABS 9,000円
TAITO ウッズマン シークレットカスタム 6インチ
GUN誌に広告が掲載されたのが95年12月号なので、発売は10月頃と思われます。ヘビーバレルカスタムよりも太めのバレルカバーをつけてフロントサイトを省略し、バレル先端に網目のローレット加工を施したブルバレルともサイレンサーともとれる外見を持ったモデルでした。
バリエーションとしては、同径のブルバレルの4インチ・8インチモデル(記憶のみで未確認)と、それより太いバレルで、バレル上面にサイト用の溝を掘った4インチモデルがありました。
パッケージはMGCの94年再販以降のモノが使われていますが、発泡スチロール部は新しい形状のものになっています。従来の在庫を使い切ったので新しく発注した程度の変更でしょうね。
95年当時の販売価格(CPカート6発付き)
・ウッズマンシークレットカスタム 6インチ HW 13,000円
・ウッズマンシークレットカスタム 4インチ HW 12,000円(2タイプとも)
TAITO ウッズマン ヒバカスタム
2002年6月号のGUN誌に広告掲載されたのが最初なので、発売は同年4月頃と思われます。TAITO ウッズマンシリーズの最終モデルで、「新ワイルド7」に登場した357スーパーウッズマンをモチーフにしたと思われます。
パーツ形状を見ていくと、ウッズマン シークレットカスタム4インチモデルに、この時期よく使われていたリブサイトを取り付けたモデルなので、原作のスーパーウッズマンとはかなり異なります。
その意味で原作ファンには評判の良くないモデルですが、当時のタイトーの状況を考えると在庫パーツに手を加えて、ニューモデルに仕上げた苦肉の策だったのでしょう。
グリップは、デザインは良いもののキャスト製で量産を念頭に置いたモノではありません。直販店限定モデルだったことも、少数ロットを裏付けています。聞いた話では、この頃既にマガジンの金型を紛失していて、マガジンの在庫分しかウッズマンシリーズは作ることができなかったとか。
購入当時、キャスト製グリップ(他のカスタムにも使われてましたが)が痛々しかったのを、今も思い出します。
因みに所持モデルのグリップはブラウン系ですが、広告掲載モデルと同じブラックグリップのモデルの存在も確認されていますから、少数ロットとは言え数回は生産されているようです。
リアサイトはパイソンで使用されていたACCROサイトがそのまま使われています。ここはナショナルマッチに使われていたイライアソンサイトの方が良かった気がしますが、パーツ在庫がなかったんでしょうね。
パッケージはタイトー末期のGMカスタムにも使われた汎用製の高いものにプリンター印刷のラベルが貼られたもの。ラベルがモノクロ印刷のものもあるようです。
2002年当時の販売価格(CPカート6発付き)
・タイトー ウッズマン ヒバカスタム 39,000円(記憶のみで未確認)
タイトー ウッズマンシリーズ 宣材資料
参考資料
月刊GUN 1994年11月号
月刊GUN 1995年 8月号
月刊GUN 1995年 9月号
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