MGC コルト ウッズマンシリーズ Vol.3
CAW ウッズマン(MGCリバイバル)編 Old Toy Gun Reports No,06
(2016.11.20.エクステB付モデル追加)
既に製造されていない懐かしのモデルガンを中心に取りあげる「Old Toy Gun Reports 」
第6弾はMGC ウッズマンシリーズの番外編として、MGCの金型を取得してウッズマンを再生産しているCAWのウッズマンシリーズを紹介します。
本来の趣旨とは異なり現行品となりますが、MGCウッズマンシリーズの最終形態ということで、2014年までに生産された5モデル中4モデルを紹介します。
※2016年11月にバリエーション2モデル目を追加しました
CAWはMGCの金型数種を入手後積極的に再生産(CAW風に言うとMGCリバイバル シリーズ)をしていますが、ウッズマンシリーズは32オートに続く2段目となります。
金型があると言っても直ぐに生産できるほど簡単では無いようで、金型のメンテナンスや修正、不足パーツ(主にプレスパーツのようですが)の新規設計などに想像以上のコストと手間が掛かっているようです。
例えば80年代当時は主流だったマイナスネジが、昨今は電動ドライバーの普及でプラスネジが主流になっていたりするんですから、細かいパーツも含めると過去の製品の再生産が大変そうなのは分かりますね。
最初に、MGC時代との主な変更点
CAWが四半世紀前に設計されたMGC製品をリバイバル生産するにあたって、現代の視点で気になる箇所を改良しています。あくまでコスト的に可能な修正ということになりますが、最初にウッズマンシリーズの主な修正箇所と変更点について説明します
(画像上:MGC製ウッズマン 、画像下:CAW製 ウッズマン )
ウッズマンシリーズでCAWが改良した部分は、(1)フレーム右側のサイドプレート固定用のネジ穴と(2)マガジンキャッチSPをグリップで隠れる位置に変更しています。(3)のシリアルも入れ直していますが、金型ではなく成形後に入れているようですね。
(画像上:MGC製ウッズマン 、画像下:CAW製 ウッズマン )
フレーム左サイドでは、(4)のスライドストップの凹みの廃止と、(5)スライド刻印文字の書体を実銃っぽく変更しています。
スライドについては新しく刻印のないスライド金型を作っているようですが、基本形状の修正などは行われていないので、恐らくスライドの金型の摩耗や破損の修正金型の改修を行ったものと思われます。
(奥:MGC製 ウッズマン 、手前:CAW製 ウッズマン )
MGC時代と異なり、リアサイトのネジが頭の平らなものに変えられているので、サイトを覗いてもネジの頭が目に入らないようになっています。
マガジンを新規金型にしたのは、MGC時代のウッズマン用のプレス金型が紛失していたため、仕方なく製作することになったようです。TAITO時代にウッズマンシリーズの販売が中止になったのも在庫のマガジンが無くなったからと言われています。
ダイキャストパーツ用の金型はそのまま流用できたためフォロアーやマガジンボトム部はそのまま、装弾数もMGC時代と同じ7発となっています。コストを考えなければ、装弾数は実銃どおり10発に修正して欲しかったところです。マガジン自体はMGC製との互換製があります。違いは背面のスポット溶接の数ぐらいですね。
CAW コルト ウッズマン マッチターゲット HW
2012年9月に発売された、CAW ウッズマンシリーズの第1弾。MGCのHWモデルの時もスポーツより先にマッチターゲットが商品化されているので、マッチターゲットはHWを素材にしても作りやすい(金型に樹脂が流れやすい)事が推測されます。
あるいは平面の多いマッチターゲットの方が、HW素材を使ったときのカッチリ感がより出しやすいという配慮もあったのかもしれません。
バレル刻印はMGC製マッチターゲット HWと同じ実銃どおりの「COLT’S MFG CO. HARTFORD CT.U.S.A. U.S. PAT. D-121.317 」になっていますが、書体がMGC時代とは異なっています。実銃の書体に似ているのはCAWの方かな。
グリップは、MGCのウッズマンHWに装着されていたものと同じ、HW樹脂製の無垢のものが付いています。ウッドプリントではありませんが、ABS製のウッズマンスポーツのカラーリングに似ているので馴染めますね。
(左:MGC製ウッズマン用CPカート、右:CAW製ウッズマン用CPカート)
使用カートはインナーパーツや先端のRが異なっているものの、MGCのウッズマン用CPカートと同サイズで互換性のあるCPカートとなっています。イベントで発火させて貰いましたが、発火性能はかなり良いようです。
MGCウッズマンの最初のリバイバル製品と言うこともあり、一部では仕上げについて指摘されたようですが、金型の保存が悪く射出後のパーツを研磨等の後加工を手作業で行っている事を考えると、多少仕上げの精度にばらつきがあるのはやむを得ないと思います。もっとも昔のモデルガンの仕上げに慣れ過ぎているのかもしれませんが。
・CAW コルト ウッズマン マッチターゲットHW(カート7発付)22,800円
CAW ウッズマン スポーツ HW
マッチターゲットの後に2012年末に発売されたのが「ウッズマン スポーツ」です。MGC時代はHW化されたものの数は多くなかったようです。その要因としてバレルの成形過程がかなり複雑な上にHW素材の湯流れが悪かったことが推測されます。
CAWはMGC時代の課題を解決してウッズマン スポーツのHWモデルを量産化したことになりますが、20年の技術進歩によって可能になった部分もあるんでしょうね。量産数の違いとかもあるのかもしれませんね。
バレル刻印はオリジナル刻印から、実銃どおりの「COLT’S PT. F.A. MFG. CO. HARTFORD CONN.U.S.A.」に変更されました。ウッズマンスポーツのバレル刻印が新しくなったのは、MGC時代まで遡っても今回のCAWの生産が初めてです。
・CAW コルト ウッズマン スポーツ HW(カート7発付)22,800円
CAW ウッズマン スポーツ HW(イライアソンサイト付きモデル)
2014年の4月に突然発売されたモデルで、マッチターゲットとスポーツが同時発売されました。実銃では2nd〜3rdへ移行する過度期に存在した、フラットトップスライドと2ndモデルのフレームを組み合わせたモデルということになります。
一般的にはパイソンなどに使われているアクロサイトが、リアサイトに使われていたようですが、オプションでイライアソンサイトのモデルも存在していました。
モデルガンで使用されているイライアソンサイトは、上下左右調整可能な金属製のもの。これはMGCのガバメントナショナルマッチ(GM5)に使われていたものだそうです。折角のリアルなサイトなので、使い回さないと勿体ないですね。
こうして見ると、アクロサイトよりも数段高級感があるので、モデルガン的には良いチョイスです。
リブ付のスライドは新規金型によるもので、コルト刻印も3rdシリーズでよく見る斜体がかった書体になっています。2ndモデルにこのスライドが付いたものは余り見かけませんが、このタイプのものも存在したと思われます。
細かい部分ですが、シリアルNOもスポーツオリジナルモデルも「7501」から「238749S」に打ち変ええられています。末尾に「S」が付くのは3rdシリーズからという説もありますが、細かすぎるのでスルーします。
スライドとサイトが変わっただけですが、想像以上に新鮮に見えます。バリエモデルですけど新規モデルのように感じるのは、個人的にウッズマンが好きだからでしょうか。
・CAW コルト ウッズマン MT (イライアソンサイトモデル)24,800円
・CAW コルト ウッズマン スポーツ (イライアソンサイトモデル) 24,800円
CAW コルト ウッズマン 飛葉タイプ カスタム
2014年5月に発売されたウッズマン スポーツのバリエモデル。ウッズマン自体を日本で有名にした、漫画 「ワイルド7」の主人公、飛葉大陸が使用していたウッズマンカスタムをモデルアップしたものです。
MGC時代にも飛葉モデルやヒバカスタムが製作されており、いくつかのショップカスタムや多くの個人カスタムが作られた、人気の高いモデルです。
CAWの飛葉タイプカスタムは、実銃のウッズマンをソウドオフしたモデルとして再現されており、劇中のスタイルは全く考慮されていませんが、一つの方向性を突き詰めたものとして評価できると思います。
バレルはウッズマン スポーツのものをソウドオフしたイメージで、刻印も途中で切れているリアル仕様。マズル部分はライフリングも再現されており、過去のショップカスタムとはレベルの異なる仕上がりになっています。
当然、発火しても個人カスタムのようにデトネーターが飛び出すというようなことは無いとのことです。
フレームのシリアルNOは「238750S」で、前述のイライアソンモデルと1つ違いになっています。細かい所ですけれど、両方手に入れた人にとっては嬉しい配慮ですね。
この飛葉タイプカスタムは、後加工が多いためか、CAWのウッズマンシリーズの中でもっとも高価になってしまいましたが、発売後直ぐに品切れになる人気の高さです。
再販時には、このまま取付が可能な「長銃身アタッチメント」をオプションで発売して欲しいものです。他にも「新ワイルド7」版や映画版等も期待しちゃいますね。
CAW コルト ウッズマン 飛葉タイプカスタム HW(カート7発付)26,800円
CAW コルト ウッズマン ショート バレルカスタム (2015,8,01 追加)
2015年7月末に発売された「ウッズマン 飛葉タイプ カスタム」の再販モデル。オリジナルモデルは発売から1ヶ月ほどで市場から無くなったので、かなりの人気だったようです(最も往年の生産数とは比較できないでしょうが)。
ある程度売上が見込めるのに再版まで1年以上かかったのはモデルガン市場の小ささの他に、CAWの組織変更とかが関連しているんですかね。
今回の再版に当たって、版権の関係なのか商品名から「飛葉」の文字が無くなり、ショートバレルカスタムの名称に変更されています。ご丁寧に取説の名称も変更されていますが、名称以外は「飛葉タイプ」のものと同じです。
名称以外の変更点は、フレーム左側のコルトのロゴマークが円で囲まれたタイプに変わったことと、バレル側面の刻印(ウッズマンオリジナル刻印をソウドオフしたもの)も無くなっています。トリガーもメッキタイプになっています。
フレーム右側のシリアルNOも無くなったので、より架空の銃ぽくなっています。前作が実銃をベースにしたリアルな「飛葉カスタム」をコンセプトにしていたのに対し、今回はより作品内のモデルのイメージに近づけたんですかね。
個人的にはフレーム左の新コルトロゴが大きすぎる気がしますが、刻印バリエーションとして考えればありですかね(このタイプのコルトロゴを作中で見たような記憶はありますが、今回確認できませんでした)。
今回メッキトリガーを作ったということは、新たなカスタムモデルも予定されているのかな。
CAW コルト ウッズマン ショートバレルカスタム(カート7発付き)26,800円
CAW コルト ウッズマン ショートバレルカスタム(スリムサイレンサー付き)(2016.11.20. 追加)
2016年11月18日に発売された、ウッズマン ショートバレルカスタムにエクステンションバレル(商品名は何故かスリムサイレンサーになっていますが)をセットにしたバリエーションモデルです。
前回のショートバレルカスタムの発売から約1年経っていますが、名称は同じでもウッズマン本体の仕様は旧「飛葉タイプ カスタム」と同じもの。途中で途切れたバレル刻印や、フレーム右側のシリアル「238750S」も同じです。
付属のエクステンションバレルは全長約17cmで、「緑の墓」編で長銃身アタッチメントと呼んでいたものを再現しています。銃身の材質はABSで接続部分はアルミ製です(画像はMULE直販のもので、一般流通品にはバレルの刻印はありません)。
バレルへの取付は、エクステンションバレルのローレット部を緩めながらウッズマンのバレルに被せ、ローレットを締めて固定します。
上の画像のようにエクステンションバレル内には切れ目の入った樹脂製の固定リングが入っていて、ローレット部を締めると固定リングが絞られてバレルを固定する仕組みです。
散水ホースの接続ジョイントによく似た仕組みですが、樹脂のバレルを樹脂のリングで締めて固定するのでバレルにキズを付けにくい構造になっています。
ウッズマンに取り付けると全長が約33cmの大型モデルとなります。他メーカーのカスタムモデルよりもバレルが細身で、違和感はゼロですね。実銃に寄せたカスタム路線の中では、究極の「飛葉」カスタムだと思います。
発火したときの取付強度が少し心配ですが、締め付けを強くすれば大丈夫な気もします。そのうち単体発売もありそうですね。
CAW ウッズマンショートバレルカスタム スリムサイレンサー付き32,800円
CAW ウッズマンシリーズ アクセサリー
CAW ウッズマン専用 木製グリップ
(ウッズマン 木製グリップ サムレスト付コルトロゴなしモデル)
ウッズマン専用の木製グリップ。コルトロゴの有無、サムレストの有無それぞれの組み合わせで、4種類がラインナップ。裏面にはウェイトが組み込まれ木製グリップに交換したときの重量減をサポートしてくれます。
特筆すべきは、MGCの木グリで省略されていたグリップ固定用の突起を設けているので、フレームの凹部と咬み合ってグリップのズレがありません。MGC製ウッズマンにも使用可能です。
ビクトリーショー会場限定で販売された試作グリップ。クリアできていない問題があるので少数試作に留まるようですが、見慣れたマークがドキドキしますね。(2014.11.17追加)
飛葉タイプカスタムに取り付けると、より専用モデルっぽくなって良いですね。マッチターゲットに付けるとヘボピー専用モデルになりますね。
ウッズマン用木製グリップ (コルトロゴなし)6,800円
ウッズマン用木製グリップ (コルトロゴあり)7,800円
※ サムレストなしのハンツマングリップも同価格
ガンショー限定 ウッズマン用木製グリップ (マーク入・試作モデル)6,400円
CAW ウッズマン専用サイレンサー
MGC製ウッズマン専用サイレンサーを再生産したもので、刻印の有無や、刻印の位置で3種類販売されています。MGC時代には別売だったP08用マズルアダプターがウッズマン用に改良されて内蔵されているので、バレルとの密着度は高くなっています。
CAW ウッズマン専用サイレンサー 各種 6,800円
パッケージと取説について(付録)
(上:CAW ウッズマン用パッケージ、下:MGC ウッズマン HW用パッケージ)
CAWのウッズマンはMGCリバイバルと命名しているだけあって、パッケージも旧MGC(TAITO)時代のウッズマンHW時代のデザインを模したものになっています。
この手のパッケージは規格サイズだと思っていたら、CAWのものは左右幅が1cm弱小さくなっていて、他のCAW製品と同じサイズなのでこちらが既製サイズなんですかね。
内部の緩衝材には無駄なスペースが多い(パッケージが大きすぎる)気もしますが、グリップを交換した際にオリジナルグリップを入れておける配慮なんだそうです。木グリに力を入れているCAWらしい配慮ですが、別売のサイレンサーが入りそうで入らないのは残念の一言です。
(手前:イライアソンサイト付きモデルの緩衝材、奥:オリジナルモデルの緩衝材)
パッケージの緩衝材の型を見てみると、後からバリエで発売されたイライアソンサイトのものは手作業でイライアソンサイトの形状に合わせているようです。これは当初の計画ではイライアソンサイトモデルの発売は考えられてなかったという事かもしれません。
最近のモデルガンにしては珍しく、取説はそれぞれのモデルごとに作られています。もっともオフセット印刷ではなくデジタル印刷のようなので、最近の小ロット製造のモデルガンには適した手法なんでしょう。
それでも元原稿を作る手間は掛かかるので、やはりメーカーの細かい配慮ということですね。
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