東京マルイ KSG レビュー
(発売2ヶ月後の遅いレビュー)

レビュー

実銃についての簡単な説明

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KSGはアメリカフロリダ州にある「KEL-TEC」社が2011年に発表したブルパップ・ポンプアクションショットガンで、銃身下のデユアルチューブマガジンが最大の特徴となっています。

ブルパップ形式のため、一般所持が可能な18.5インチ(470mm)バレル装備で全長26.1インチ(663mm)とコンパクトにまとめられています。

装弾数は3インチシェルで6発×2+チャンバー内1の合計13発(2・3/4インチでは7発×2+1)となっています。

バリエーションとして、バレルを16.1インチに短縮したパトロールモデル(現在生産中止の模様)、13.5インインチバレルのタクティカル。タクティカルのバレルを18.5インチに戻したKSG−NRが存在します。

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一般の評判は悪くないようですが、フォアエンドの操作性に癖があり最終位置の手前に抵抗があるため、慣れないとショートストロークになってダブルフィ−ルドを起こしてジャムると言われています。

そのせいか未だに公的機関での採用実績は無いようです。

東京マルイ KSGについて

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5月の静岡ホビーショーで発表されてから、マルイとしては異例の最短期間(約5ヶ月)で発売になったガスショットガンです。オーソドックスな機種選びをするマルイにしては珍しく、実銃でも評価の定まっていないKSGを選定した事自体が驚きでした。

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パッケージは従来のマルイ風に、ゲーム上の装備画面を連想させるようなデザインを加味した今風のもの。モデルガン制作がベースのメーカーとはひと味違いますね。

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パッケージ内部は専用設計らしく、すっきりシンプル。本体とは別にシェル型マガジン1発とガスタンク1つが付属します。最近の製品で固定用に使われているマジックテープは良いアイデアですね。単品で発売してもらいたいぐらいの優れものです。

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本体を取り出して、最初に気づくのが左右グリップ上部に貼られた赤いシール。

シールのある位置に指を置くと後退するフォアエンドで怪我する恐れがあるという注意喚起用なので、すぐに剥がすことができます。フォアエンドの後退量は実銃よりも少なくアレンジされています。

製造物責任法のからみなんでしょうけど、18才以上しか購入できないエアガンにここまでする必要があるのか疑問があります(当然コストは価格に乗っています)。メーカーの姿勢と言われればそれまでですけどね。

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シールを剥がしたフレーム左側には「TOKYO MARUI CO.,LTD.」の刻印が入っていますが、実銃では「KEL-TEC CNC INC.」と社名が入っています。グリップ後部の「COCOA FL USA」の所在地表記と「KSG」は実銃と同じです。

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フレーム右側には、グリップ後部の「KSG」とトリガー前の「12GAUGE “3”」表記は実銃でも同じ。「MADE IN JAPAN ASGK」の刻印位置には、実銃では「PATENTS PENDING」 の文字が入っています。

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セフティはクロスボルト式で左から押し込んでFIRE、右から押し込んでSAFEになります。多少硬めですが、使用しているうちにアタリがとれそうです。

セフティボタン下の2つの穴はH&K製品によく見られる、フレームピンを分解時に差し込んでおくためのもの。

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トリガーガード前方のレバーは、ハンマーコッキング時にフォアエンドを動かすときに使うアクションバーロックですが、マルイのKSGでは単なるダミーで動きません。

シェル式でないガスガンには不要な機能ですが、こういうパーツが作動すると気持ちがアガルんですけどね。

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グリップ上部のカバーを開けると発射弾数の切り替えレバーがあります。前に動かすと6発モード、後ろで3発モードとなります。カバー自体はワンタッチで開けられるので、さほど不便ではありません。

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チューブマガジンが並列に2本入っている割にフォアグリップは細めで握りやすく、特徴的なタイル状の滑り止めも効果があるようです。

実銃ではフォアエンドの左右のマルで囲った位置に「KEL−TEC」のロゴマークが入っています。

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フォアエンド下部にも樹脂製のレイルがあり、グリップ等を拡張することが可能。チューブマガジンにある2つの穴はシェルの装弾確認用ですが、エアガンでは単なる飾りです。

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マズル部分はデュアルチューブがバレルの下に並んで、KSGらしい印象的な部分ですね。マズルプレート自体が金属製なのでスリングを使っても充分な耐久性がありそうです。

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バレル内にはインナーバレルが3本入っています。バレル自体の長さは短いので今後タクティカル等のショートバージョンが作られるかもしれません。インナーバレルが傾いて見えるのはチャンバーの給弾位置によるものだそうです。

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フレーム上部のレイルは金属製で、位置を表すナンバーがホワイトで入れられています。普段から目に付く部分なので、リアルな再現はありがたいですね。

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フロント&リアサイトはロックのない折りたたみ式になっていて、ワンタッチで折りたたむことができます。折りたたんだ状態でもサイト機能はありますが、ストックが邪魔で頬付けできず、実際のサイティングはほぼ不可能です。

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ダットサイト等の光学サイトを付けると、どうしても背が高くなってバランス的にはイマイチです。それでもアイアンサイトより格段に狙いやすくなるので、装着するかどうか悩むところです。

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本体を上下逆にしてエジェクションポートを見てみると、デユアルマガジンの左側(正位置では右側)がチャンバーになっています。シェル型マガジンをマガジンリリースレバーで固定されるまで押し込めば装弾完了です。

反対側のチューブマガジンは予備マガジン入れになっていて,シェル型マガジンが2本入ります。マガジン切り替えレバーは稼動するもののダミーです。

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チャンバーからシェル型マガジンを取り出すときは、マガジンリリースレバーを下に下げます。するとスプリングの力でマガジン型シェルは自動で飛び出てきます。

ただし予備マガジン入れの方はスプリングのテンションが低く、リリースレバーを開けても2発目(1発の場合は1発目)が途中で止まり抜き出すのに一苦労です。

さらにチャンバー側、予備マガジン入れの両方にシェル型マガジンが入っていると左右のスペースが狭く、マガジンの脱着が非常にやりにくくなります。

ブルパップ形状でエジェクションポート位置が後方にある事も、マガジンの脱着のやりにくさを増幅させています。装弾数30発のシェル型マガジンを迅速に交換できないことがKSGの欠点の一つです。

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着脱式のガスタンクをストック内に装着するときには、ラバー製のバットプレートを外さないとなりません。あちこちで指摘されていますが、このバットプレートが外しし難いのがKSGのもう一つの欠点です。

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原因はバットプレートの内側上部にストックと咬み合うリブがあるので、外すときにバットプレート上に指をかけると、リブがストックの溝に余計入り込んで取れなくなるようです。

バットプレート左右上部のリブの無い部分を摘まんで引っ張れば、理屈上は外れるようですが中々コツが掴めません。スキマに爪とかを入れて抉るとキズを付けてしまうので、何とかコツをマスタしたいですね。

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ガスタンクは左右非対称なので左右の形状をを確認してストックに挿入しますが、手早く押し込まないとロックする寸前にガスが漏れます。

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ガスタンクを外すときは銀色のロックレバーを上側に押して取り外します。ガスタンクにガスが残っていると,同じようにガスが漏れるので、手早く行う必要があります。

実射についての簡単なコメント

基本メカは前作のM870と同じなので、撃っている感覚も銃のバランスこそ違っても変わりありません。発射メカが頬付けするストックの位置にあるので発射音は大きく感じます。

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手持ちのM870ブリーチャーと比べると、ストックがあるので安定性した射撃はできますが、幅がある分サイズ以上に嵩張った感じがします。

また実用性は別として、M870では可能なラピッドファイア機能が無いのも、撃つ楽しさと言う点ではマイナスですね。

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▲3発モード時の初速

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▲6発モード時の初速

0.2gBB弾使用で3発モードで初速が71m/s前後、6発モードでは初速56m/sとかなり低めの結果となりました(室温20℃)。室温が低かったことが影響しているのかもしれませんが、参考値程度で見て下さい。

最後に(サマリー)

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個人的にはかなり期待していたKSGですが、短い期間で遊んだ印象はイマイチ中途半端な感じです。むしろ前作のM870ブリーチャーの取り回し易さや、マガジンの装弾のやり易さを再認識しました。

もちろん拡張製や遠距離での集弾性等、新型のKSGの方が優れている面はあると思いますが、実銃の特徴である多弾装マガジンが生かされていないだけではなく、シェル型カートの脱着やガスタンクの交換のやり難さが、逆に実用発射弾数の低下を招いています。。

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エアガンとしてBB弾を発射する性能は普通に申し分ないと思いますが、この手のユニークなモデルをトイガンとして成功させるにはエアガンとしての性能プラスαが必要だと言うことでしょう。

更に言えば従来モデルのガワを変えただけなので、ブルパップ形状による操作性の低下を招いてしまったこと事がKSGの本当の問題かもしれません。

デユアルマガジンを生かした多弾装化や、2つのシェル型マガジンを使った発射弾数モードの切り換え等は難しかったんでしょうか。シェル型マガジンからの脱却も必要だったのかもしれません。

無い物ねだりだとか唯一のモデルアップだからと言われれば、それまでなんですけど、東京マルイならもう少しできた気がして残念です。

参考資料

GUN Professionals 2016年11月号