Cyber Gun「 FNH FNX−45 TACTICAL 」レビュー
フランスのトイガンメーカー 「Cyber Gun社」から2014年に発売された「FNH FNX−45 TACTICAL」(以下FNX−45T)が国内に入ってきました。
製品自体は台湾メーカーのOEM製品のようですが、日本向け製品というわけでは無く、ヨーロッパ向け製品を少数持ってきたようです。海外価格が200$オーバーということもあり、正規代理店抜きの国内販売価格は現在長物並みです。日本への輸出が考慮されたら、多少は価格もこなれて流通量も増えると思われます。
実銃についての簡単な説明
FNH(ファブリック・ナショナル・ハースタル)社が2007年に開発した、口径9mm、40S&W、45ACPのポリマーフレームオートFNPシリーズを、アメリカ次期制式サイドアームズ・トライアル(U.S.Joint Combat Pistol Program〈J.C.P.P.〉)の要求に合わせて改良したモデルが、2010年に発表されたFNXシリーズです。
「FNX−45 T」はFNXシリーズの中でも、最上位機種に位置づけられたタクティカルモデルで、特殊部隊向けを意識したサプレッサー装備を前提としています。
Cyber Gun FNH FNX−45 Tについて
2014年に発売されたCyber Gun社製FNX−45 Tはトイガンとして初めてFNX−45Tをモデルアップしたもので、国内には昨年末少数が国内に入ってきています。
パッケージは国内販売価格から見るとチープなものです(国内販売価格が円安等の影響でかなり割高なので、そう思ってしまうだけですが)。製品自体がFNHからのライセンスを受けているので、パッケージにもしっかりFNH の文字とロゴが使われています。
パッケージには英語表記の他に、仏・独・伊の三カ国語表記が入っているので、完全なユーロ圏向け商品のようです。
海外の高圧ガス仕様で0.2g弾での初速が100m/sとか最大1ジュールとの表記があるので、実際に国内規制値内に収まっているのかちょっと心配です。国内の有名ショップから入手したものなので初速チェック済みで大丈夫なはずですけどね。
パッケージ内は本体・取説の他に、サイズの異なるバックストラップが一点付属してきました。国内モデルと違って、緩衝材も薄い樹脂をバキュームフォームで成形したものが使われているので、耐久性は低そうです。海外では緩衝材なんて、余り気にしないのでしょうね。
本体を手にしてみると45口径のハイキャパポリマーオートらしく、かなり大柄です。TANカラーの色合いもスライド・フレームともに良く、一昔前の台湾製GBBに比べて仕上がりは良いですね。
最も国内メーカーの完コピモデルを作っていた頃とは違って、今や台湾製トイガンメーカーの実力は国産メーカー並ですから、当然かもしれません。
スライド左側のFNロゴと「.45ACP」「FNX−45」「TACTICAL」の文字は実銃と同じ。このあたりは、正式ライセンスを受けているだけはありますね。「T」の書体だけ微妙に異なるのは金型の問題なのか、全ての「T」の縦棒と横棒の交わる部分が掘られてない感じです。
細かい所なんで大勢に影響がないところですが、一見FNロゴの文字っぽく見えたのでFNHのオリジナル書体かと思った次第です。
スライド右側の「STANINLESS STEEL」「FNH USA Fredericksburg VA.」「MADE IN USA」の表記も実物通り。
MADE IN TAIWANなのに「USA」となっているのは?ですが、海外の生産国表示のルールでは問題無いのかもしれません。
エジェクションポート内側には実銃同様「Licensed by FN Herstal」の文字がプリントされています。機能には全く関係ない部分ですが、国産メーカー並のリアルさの再現に拘りを感じさせる部分です。
グリップのFNロゴと滑り止めテクスチャーのバランスが気に入っています。45口径以外のグリップパターンは、ちょっと中途半端な意匠です。
気になるグリップのサイズは、グリップの付け根部分の幅:約51mm、厚み:約30.2mm。
付け根以外のグリップ部分の厚みは約32.5mmなので、KSCのSTIシリーズとほぼ同じ(付け根の幅:約51mm、グリップの厚み:約32.5mm)となります。
付け根の部分が若干薄いので少しは握りやすく感じますが、STI等のガバ系ハイキャパグリップと、同じような握り心地と考えれば間違いないですね。
グリップのバックストラップは標準装備のものの他に薄型のバックストラップが一つ付属します。交換はバックッストラップの穴にピンを差し込んで下方向に外すだけです。
個人的には薄型に交換すると、膨らみが無くて丸太っぽく感じたので、標準の方が好みですね。できれば滑り止めのテクスチャー違い(チェッカリングタイプ)も付属させて欲しかったです。
フレーム右側の操作レバーはセフティレバー、スライドストップともにアンビ対応になっています。マガジンもアンビ対応ですが外して入れ替えるタイプ。構造的には入れ替え可能そうですが,実際に確認はしていません。
セフティはHK45やUSPと同様、上に上げてセフティON、中間でOFF、下に下げてハンマーデコッキングとなります。ハーフコックの位置がかなり起きた状態なので、デコッキングしたときに多少違和感があります。
セフティはハンマーがフルコック、ハーフコック、ダウン時の3ポジションでONにする事が可能で、クリック感もありサイズの割には使いやすそうです。
フレームのダストカバー下側には、実銃同様シリアルNOを入れる金属プレートが入っていて、実銃にも仕様されているマイクロQRコードも再現されています。これは実際に読み込む事も可能で、読み込むとプレートと同じシリアルNOが表示されたのには驚きました。
ダストカバー部のレイルはピカティニータイプですが,若干細めな上に溝が広いようで実物のシュアファイアX300を取り付けると、前後にかなりガタが来るので取付には調整が必要です。
バレルカバーを外すと、実銃同様サプレッサー用のネジが表れます。16mm正ネジ仕様なので、KSCのSOCOM用サイレンサーが装着可能です(同仕様のマルイ製も恐らく大丈夫でしょう)。
汎用性の高い14mmネジだと45口径バレルでは細すぎるため、16mmになったのはやむを得ないですね。
フロント・リアサイト共にサプレッサー使用を前提とした背の高いサイトが「FNX−45 TACTICAL」のアイコンですね。実銃ではトリチウムサイトですが、トイガンでは只の白い樹脂が嵌め込まれているだけです。サイトのエッジが甘いように思いましたが、写真で見る限り実銃でもこんな感じです。
ハンマーコック時に見えるスライド後部に、ファイアリングピン状をプレートに再現しているのは良いですね。この部分は目に入りやすいので、最低限この程度はやって欲しいところです。
実銃でも評価の高いスライドのダットサイト取付用のカバーは、トイガンでも外す事は可能。ただし直接ダットサイトを取り付ける事はできない形状なので、マウントを自作するかオプションの専用ドットサイトを購入するかしないと、活用出来ないのは残念です。
表面がメッキされたマガジンは最初違和感がありましたが、よく考えればスチールマガジンぽい仕上げですね。国産モデルの黒染めダイキャストマガジンに慣れすぎました。
給弾レイルはマルイ方式で、フォロアーを下げてレイルからBB弾を装弾する事が出来ますが、フォロアーが引っかかりにくい形状なので給弾は簡単ではありません。ガス注入口がマガジン後部にあるのは、外部に注入口が露出しないメリットがあるので、マガジンバンパー部が大きいFNX−45には向いていると思います。
次は内部構造を簡単に見てみます
分解はスライドをホールドオープンさせてからマガジンを抜いて、分解用ラッチを回してからスライドを前方に引き抜くだけです。
バレルをスライドから外す際にはバレルカバーをバレルから外巣必要があります。リコイルスプリングユニットとバレルを外せば通常分解は完了です。
ブローバックエンジンはマルイタイプ。シリンダー径が18.7mmと言う事なので,BLK作動自体は期待できそうです。海外製トイガンらしくグリスベッタリなので、拭き取っておくようにします。
バレルもマルイタイプ。HOP調整はチャンバー下のダイヤルを回して行います。チャンバーパーツ類もマルイと共用できるとの情報もあるので、事実ならカスタムとかもやり易いですね。
フレーム部はリアレイルや左右に回したトリガーバー等が実銃そっくりですね。レイアウトのテイストが微妙にH&Kあたりと違うので、FNらしさを感じます。
気になる点としては樹脂製のトリガーが中空で、内部にトリガーSPガ組み込まれている凝った設計になっていますが、実銃ほど樹脂に強度が無いと思えるので破損が心配です。
実射についての簡単なコメント
実射はKSCの「リアルライブオペレーション」と同様スライドを引いてからで無いと射撃可能にならないメカを搭載しています。オートピストルとしてはリアルなんですが、個人的にはダブルアクションの意味が無くなるので余り意味が無い気がします。
それよりも、海外製トイガンなので低圧のフロン使用で何処まで作動するかの方が重要なポイントでしたが、室温22℃で、1マガジン25発を撃ちきる事ができました。
連射すると最終弾発射後にスライドオープンしないこともありましたが、概ね国産GBB並の作動でした。弾道自体もフラットな感じで、そこそこの集弾性はありそうです。
海外製品で気になる初速は、71m/s前後、0.2gBB弾使用で0.51ジュールと規制内だったので、夏場でもなんとかなりそうです。一応国内有名ショップから入手した個体なので、事前の弾速チェックもされているはずなので、まずは一安心と言ったところです。
室温22℃ 東京マルイ製 0.2gBB弾・フロン134a使用。
↓ Cyber Gun「 FNH FNX−45 TACTICAL の実射動画はこちら
最後に(サマリー)
国内メーカーの新規トイガン開発が停滞する中、初モデルアップ商品を海外メーカーが手掛ける例が増えてきました。多くは台湾メーカー製が生産をしているので、製品クオリティ的にも国産メーカー並の完成度です。
このFNX−45 Tacticalも、一昔前だったら国内メーカーが開発&生産しているような機種なのに、国内では計画すらなかったのは寂しい限りです。実銃は2010年発表のモデルだから、最新モデルというわけでも無いので尚更ですね。
撃って遊ぶのに良さそうですが、現在予備パーツや消耗品の供給がどうなるかも分かっていないので、慎重に扱わざるを得ないのも残念です。GM7カスタムでお馴染みのBWCが、以前CyberGun社のエアコッキングガンを輸入販売していたけど、そのルートで正式輸入されるって事があったりすると展望が開けそうですけどね。
参考資料
GUN Professional 2014年1月号
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