CAW MADMAX ウッドグリップ ver.
(MULE直販 版) レビュー

レビュー

先日発売されたばかりのCAWのハドソンリバイバル第2弾、MAD MAX ウッドグリップ ver.をMULE経由で入手しましたので、早速紹介してみます。

DSC00117-WM

M3A1に続くハドソンリバイバル シリーズ第二弾として、2014年12月に発売されたCAW MAD MAXでしたが、生産数が少なかった(あるいは人気があり過ぎた?)せいで、店頭で見ること無く品切れ状態になっていました。

今回発売されたウッド ストックver.は先に発売された樹脂ストック付きモデルにプラス6,000円(実売で5,000円)のお買い得価格だったので、品切れを警戒し、CAWの関連販売店のMULEで予約購入をしました(4月10日時点で、MULEでも売り切れになっています)。

ベースとなったハドソン MAD MAXの簡単な説明

CAW MAD MAXの元となったハドソン製 MAD MAXは、映画「MAD MAX」のソウドオフ ショットガンをモチーフにデザインされた、ボックスロックタイプの水平2連ショットガンのモデルガンで1983年に発売されました。

元になったショットガンはVG BENTRLEY 12ゲージともSTOEGER製12ゲージとも言われていますが、確実なところは分かりません。低予算映画だったのでプロップ自体にそれ程気を遣っていおらず、記録もプロップ自体も残っていないようです。

DSC00250-WM
(画像:ハドソン MAD MAX メタル・モデル 木製ストック付き)

ハドソン初の、長ものABSモデルガンだったことから、生産の容易さや耐久性の確保を目指して設計されたと思われますので、リアルさよりも映画プロップの雰囲気を持ったモデルガンであることが重要だったのでしょう。

最初に樹脂ストックモデルが発売され、バリエーションとして木製ストック付きモデル、メッキモデルが続き、バレルとストックを延長したダブルバレルショットガンも発売され、モデルガン衰退後はカート式のガスガンに作り替えられた、息の長いモデルです。

CAW MAD MAX ウッドストック ver.について

DSC00096-WM

本体サイズぎりぎりの上下紙製の無地パッケージに入っています。生産数が多くないためか、印刷も専用緩衝材もないところが寂しい感じです。

緩衝材の発泡スチロールの取り付けも手作り感が強いものですが、本体のガタ付きもなく最低限の強度も確保できていそうなので、ローコスト化されても余り文句は言えませんね。

DSC00099-WM

最初の印象は、ウォールナットの色目とHW素材のマットブラックのせいで、見慣れたハドソン製MAD MAXにはない重厚感を感じます。

HW樹脂を使用しているので実際に重量増もあるはずですが、組み立て精度が高いのか剛性感も高まったように感じます。特にフォアグリップのガタ付きが解消されているので余計そのように感じます(ガタ付きが無くなった理由は後述)

DSC00101-WM

外見上はドソン時代と最も異なるのが、フレーム左右ににあった菱形の刻印が消されてフラットになっったことでしょう。

ここにはハドソンロゴとかが入っていたので、CAWが再生産する場合は当然の処置ですね。平面のフレームにヒケが全く見えないので刻印のアクセントが無くても、よりシャープに見えます。

トリガーやトリガーガードの金属パーツ等は、ハドソン時代と同じ金型を使っているはずですが、仕上げが良くなっているので一体感があります。また、各種スプリング類は新たなもの変わっているので、トリガー等の戻りも良くなっています。

DSC00104-WM

DSC00256-WM

(画像上:CAW製、下:ハドソン製 初期木製グリップ)

ハドソン時代から木製ストックモデルはグリップ部分が樹脂製モデルよりも長く、スマートなスタイルでしたが、CAW製のウッドストックverもグリップは同じ長さになっているのは嬉しいところです。

チェッカリングが無いのが残念なのと(これは価格との兼ね合いですが)、グリップエンドに白い縁が無くなったのが惜しいですね。暇があったらプラバンでも挟んで加工すると良さそうです。

DSC00143_2-WM

グリップエンドは樹脂製パーツから、新規の金属製に変わっています。グリップスクリューがプラスネジからマイナスネジに変わっているのは、細かいながらも良い改良です。

DSC00342-WM

ハドソン MAD MAXの外見上の欠点だった、バレル先端部からの逆テーパー状のラインが改善されて無くなっています。

使っている型自体は同じものなので、後加工による修正かもしれません(ハドソン時代後期に修正されていたかもしれませんが)。どちらにせよ、この修正によって先細り感が増して野暮ったさが軽減しました。

DSC00114-WM

DSC00290_2-WM

(画像上:CAW製、下:ハドソン製 メタル・モデル )

バレル先端はキレイに平面処理がなされていますが、銃口内インサートやリブの関係で銃身の厚みが多少凸凹して見えるのが残念。できればハドソンのメタル・モデルの銃口のようにソウドオフした加工跡を付けて欲しかったですね。

DSC00324-WM

バレル内にはハドソン時代と同様3本の前撃針が付いています。本来これは3発同時に発射する設計でしたが、耐久面や発射音の問題に対応して自主的にハンマースプリングを弱めて3発同時発火を出来なくしたとされています。

それを裏付けるように、オプションの真鍮製シェル(後述)ではシェル内発火式とされています。

DSC00121-WM

トップレバーを右側に操作して、バレルをブレークオープンすると、カートがエジェクターに押されて出てきます。さらにバレルを折ることでコッキングができますが、ハドソン製よりもコッキングに力が要るようになりました。

DSC00118-WM

実銃の水平2連銃では、バレルを折ってコッキングした後にバレルを戻すと、トップレバーは自動的に戻るようになっていますが、ハドソン時代からMAD MAXにはその機能はありません。

CAW製では、その代わりにトップレバーが単体で常に自動的に中央に戻るように改良されています。レバー操作時の雰囲気的には良くなっていますが、コッキング後バレルを戻すときに手でトップレバーを右に抑える必要が出てきて、逆に操作性が悪くなっています。

DSC00110-WM

フレーム上部のセフティは遊びが無くなった反面、動きが重くなっています。ある程度当たりが取れてくるのを待つしか無いですね。それよりもセフティ オン位置にした時に、ハドソン時代と同じくフレームのヒケが見えてしまうのは残念です。

DSC00149-WM

付属のショットシェルはハドソン製のものと樹脂部分は同じ型を使っているようですが、リム部は真鍮の削り出しになっているのでシャープです。リムのスタンプは「WINCHESTER 12GA」と深めに彫られていてサイズ的には実銃の12ゲージのシェルに近いサイズです。シェル側面に何もプリントされていないのが残念ですね。

MULE版の特別仕様について

CAWの関連販売店(CAWグループの販社の位置づけに近いようです)「MULE」の購入特典として刻印の全くないMAD MAXのフレーム下面に好きな文字を入れるサービスを行っていました。

DSC00131-WM

個人的な趣味で「Max Rockatansky(映画MAD MAXの主人公のフルネーム)」を入れて貰いました。書体に制限があったのは残念ですが昔のショップサービスのようで、買う楽しみがプラスされて良いですね。

DSC00338-WM

同時に購入したオプションの真鍮シェルにも同様の刻印が入りました。この真鍮シェルは内部発火式で、シェル1発にキャップ火薬を7発も入れるというとんでもないもの。

DSC00334-WM

構造的にキャップをセット後はアルミのインナーを押すだけで発火するので、暴発が心配ですが、発火できる場所を探して発火してみたいですね。

安全対策強化の改良について

CAWから再販されたMAD MAXは安全対策上だと思いますが、実質的に分解が不可能になっています。

DSC00276-WM

(ハドソン製 MAD MAX フォアグリップに先台金具が付いている所に注意)

ハドソン製MAD MAXには、バレル、フォアグリップ、フレームの3つのパーツに簡単に分解できる実銃の水平二連銃と同じ機能があり、それも重要なギミックでした。

DSC00132-WM

(CAW製 MAD MAXのフォアグリップを分解してバレルと分解したところ)

CAW製 MAD MAXでは、本来フォアグリップに固定される先台金具がバレルに固定されているので、バレルとフォアグリップもワンタッチで外れなくなっている上に、フレームそのものからバレルが外れなくなっています。

DSC00141-WM

さらに先台金具とバレルを固定しているネジの頭が削られているので、先台金具とバレルの分解ができません。この二つを分離できない限り、構造上フレームとバレルが分解できなくなっています。

DSC00381−WM
(ハドソン MADMAX バレル&フォアグリップ〈先台金具〉&フレームの関係)

ハドソンのバレルで説明すると、通常時はバレルのカギ型のヒンジでフレームのヒンジピンは後方から押さえ込まれ、前方からはフォアグリップの後端(先台金具)でフレームが押さえられることになります。

バレルにフォアグリップ(先台金具)が固定されているとフレームにフォアグリップ(先台金具)が常に接触しているので、バレルを後方にずらしてカギ型のヒンジとヒンジピンを分離できなくなり、結果分解そのものができなくなります。

DSC00129-WM

他にもフレームプレート前方のネジの頭が削られていて、フレーム自体が分解ができないようになっていました。

このような修正がなされた背景には、MAD MAXエアガンをコピーした海外製フルメタルエアガンの存在を考慮したものと思われます。

エアガン用のバレルをモデルガンに取り付けると発火機能〈ハンマー&シア〉のあるフレームとと金属製貫通バレル〈エアガン〉が揃ってしまう事や、ハンマー&シアーを海外製エアガンに移植される事に対する対策なのでしょう。

元々のハドソンのバレルの構造(バレルウェイトが巻単位取り外せる)等も考慮されているのかもしれませんね。

最後に(サマリー)

DSC00126-WM

30年前に設計されたハドソン製 MAD MAXをCAWはHW樹脂の使用や、ディテールの手直しを行うことによってハドソン時代の欠点を修正して、上手くリバイバルさせたと思います。

さらに組立精度やパーツの仕上げも良くなり、質の良い木製パーツと組み合わされて、価格相応のクオリティに達していますね(あくまで”今のモデルガン”としてですが)。

反面、メーカーとしては必然だったのかもしれませんが安全対策を強化した結果、分解できない構造になったのは痛いですね。折角の真鍮カートがあっても、本体のメンテが十分出来ない構造だと発火しにくいです。

ワンタッチで3つに分解できるギミックが無くなったのは、本当に残念ですね。

CAW MAD MAX ウッドストックver.定価35,800円(税抜き)