タニオ・コバGM7.5
COLT MK. 4 シリーズ70 レビュー
(2017.2.22. 発火動画&記事 追加)
10月18日に発売されたタニオ・コバの新製品 GM7.5 COLT MK,4 シリーズ70を入手したので紹介します。
実銃のガバメントについて簡単に
1911年にアメリカ軍に制式採用されたCOLT M1911は、第一次大戦後にはM1911A1と改良され、それに伴い民間市場でも仕上げや刻印の異なるコマーシャルモデルが発売されました。
ガバメントモデル以外にも1957年に発売された「GOLDCUP NATIONAL MACTH」や1959年発売の「COLT COMMANDER」等のコマーシャルモデルのバリエーションがあります。
1970年に発売された「COLT MK,4 SERIES70」はコマーシャルガバメントの近代化モデルとして、84年頃まで生産されました。
命中精度向上のためにスプリング式のバレルブッシングを採用したのが特徴で、ハンマーやトリガーも先行するコマーシャルモデルに準じたデザインのものに変わっています。
海外ではオートマチックファイアリングピン セフティを組み込んだ次期モデルの「SERIES80」の不人気が続いたため「SERIES70」の人気は高く、国内でも旧MGCがショートリコイルガバメントとしてGM5をモデルアップして以降、ガバメントのコマーシャルモデルの代表として高い人気を誇っています。
タニオ・コバ GM7.5 COLT MK,4 シリーズ70について
2009年2月に発売されたタニオ・コバ の新規モデルガンがGM7シリーズで、スプリングフィールド アーモリー PCキャリーが初代モデルでした。
その後オリジナル刻印の廉価モデルや刻印違い、イベント限定カスタムを経て、ボーマーサイト付スライドやレイル付フレームモデルも発売されていましたが、6年の間タクティカルモデルのみのバリエ展開が続いていました。
昨年のイベントでノーマルガバメントのスライド金型が完成したらしく、スライドパーツのみが販売されていましたが、フレーム他については生産されず仕舞い。
それが今年になってフレーム他の新規パーツと合わさってノーマルタイプのガバメントとして発売されました。
今回モデルアップされたのは、コルト社製ガバメントのコマーシャルモデルのMK,4 シリーズ70モデル。GM7発売以降、コルト社製品のモデルアップは6年間で「スペシャルコンバット」「XSE」に次いで3作目(カスタムモデルは除きます)と意外に少なかったりします。
スライド&フレーム、マガジン、カート等の重要パーツを新規設計していても基本メカはGM7と同じなので、GM7の改良型=GM7.5のネーミングなんでしょうね。
パッケージはGM7から続くシンプルなローコスト仕様のもの。
GM7発売時から生産ロットが500と公表していたので、この辺りにコストはかけられないですね。最小ボックスサイズながら銃本体以外の余剰スペースがあるので、使い勝手は悪くありません。
スライド左側の刻印は、実銃どおりに「COLT’S MK4/SERIES70 GOVERNMENT MODEL .45 AUTOMATIC CARIBER」と入っているお馴染みのもの。
サイズ的にスモールサイズと呼ばれる最初期モデル以外に使われているオーソドックスな刻印をモデルアップしています。
レーザー刻印のため実銃の刻印よりも、かなりくっきりしていますがトイガン的にはこのぐらいの方が見た目的には良いですね。
スライド右側の「COLT’S GOVERNMENT MODEL」は書体が多少違うものの雰囲気は良く出ています。フレームの「COLT’S PT. F. A. MFG. CO.HARTFORD. CONN. U.S.A.」の刻印部分は若干グリッップが長く被さり気味です。
実銃のシリアルNO部分にはGM7と共通の「JAN.09/STGA」のSTGAの承認年度?が入っています。
チャンバー上にはこれも実銃と同じく「-COLT .45AUTO- MK.4./SERIES ’70」の刻印が入っています。
シリーズ70というと旧MGCのGM5のイメージが定着しているので、GM7.5のトリガー周りの形状に若干の違和感を憶えます。
以前小林社長に伺ったところ、今回はシリーズ70の中でも初期の製品をモデルアップしているので、フレームやトリガー、ハンマーの形状がGM5と異なっているのだそうです。
さらに実銃自体が70年当時は職人の手作業による加工が多かったため、同じパーツでも微妙に形状が異なるとも言われています。確かに写真等で確認をするとGM5に近いものや、GM7.5に近いものが確認できます。
トリガー以外にもハンマーのR部分の形状やグリップセーフティーの形状が違うのに気がつきます。最初は凄く違っているように思えますが、サイズ上は大して違いが無いのが驚きです。
GM7.5のリアサイトはスライドとの一体型。最近はリアサイトの別パーツ化は当たり前になっていることを考えると残念な気もしますが、弾の飛ばないモデルガンの場合は形状さえリアルなら無理に別パーツにする必要も無いところですね。
リアサイトとは別に拘りが見えるのがグリップです。GM7の黒い樹脂グリップと異なり、同じ樹脂製ながら手の込んだ木目プリント入りの、コルトメダリオン付グリップが新たに製作されています。
樹脂グリップながら良い感じに仕上がっていますね。木製グリップにはかなわないまでも、限られたコストで最善を尽くしたって事になるんでしょうか。
次は内部をみてみます
通常分解はGM7と同じで実銃とほぼ同じ、内部パーツ自体はGM7のままのようです。発火後のメンテもこの状態まで分解すれば良いので簡単です。
シリーズ70以降の特徴的なスプリング機能が付いたバレルブッシング(フィンガー・コレット・ブッシング)ではなく、GM7と同じソリッドブッシングが付いています。
バレルブッシングにスプリング機能を持たせると、バレルが引っかかってブローバックの妨げになるという事のようです。結果として機能とコストダウンが両立したことになりますね。
アシストスプリングを廃止した改良以降メインスプリングが3cm程長くなり、その結果リコイルスプリングガイドが無いタイプは、長過ぎるスプリングを縮めて組み込むのに苦労します。当然GM7.5も苦労するタイプです。
マガジンは新規設計のスチールタイプ。本体より先に発売されていたGM7と共用の7連マガジンです。マガジンフォロアーはあえて樹脂製のままとして、手動での装弾でも支障が無いように考えられています。同形状のステンレスマガジンがあればもっと良かったのにね。
背面の溶接部分は従来のスポット溶接では無く線の溶接(レーザー溶接?なのかな)になっているため強度もかなりありそうで、良くある溶接の剥がれの心配は無さそうです。
マガジン底部には「COLT .45 AUTO.」の文字が刻印されています。刻印を入れると、コルト社以外のバリエモデルを出すときに流用できない欠点がありますが、見た目的には断然入っていた方が良いですね。
新型カートについて
GM7.5で新たに採用されたのが新型の「ポリマー イージーCPカートリッジ」アルマイト製のEASY—CPカートリッジを、ケース部分にポリマーを採用してローコスト化したもの。
キャップ込めの楽なオープンカートは、クリーニング無しでの連発射弾数に課題があるので、BLK性能を追求するとCP化は必然なんでしょうね。
樹脂のケース部分と真鍮のヘッド部以外はEASY−CPカートそのままです。ヘッド部分を固定するためにケース部分にネジを切る必要があったため、使用する樹脂を変更したのでプラカートとは色が変わっています。
ポリマーCPカートのケース部分はプラカートの金型を改良して製作しているため、プラカートは在庫分が無くなると販売終了とのこと。ちょっと残念です。
ヘッド部分のケース部へのネジ込みは素手も出来なくはないですが、露出部分が小さいので簡単にコインで回せるようにヘッド部分に溝が掘られています。
▲ 左からハードアルマイトカート、プラカート、ポリマー イージーCP、EASY−CPカート、45ダミー
価格的にはEASY−CPカートが1発318円+4円(ピストンカップ代)なのに対して1発125円+4円なのでかなりの低価格になっています。
プラカートの1発50円にはかないませんが、ハードアルマイトカート 1発250円と比べても魅力的な価格設定です。
実射に付いての簡単なコメント
2017.02.22 追加更新
GM7の発展モデルだけあって発火性能は抜群で、速射連射とも快調に作動します。不発はたまにありますが、ハンマーを起こして再土トリガーを引くと問題無く発火するので、恐らくはキャップ火薬の報に問題がありそうです。
CPカート仕様になったので、オープンカート仕様に比べてノーメンテの状態で発射弾数が大幅に増えています。デトネーターゴムの摩耗を気にせずに、火花の出やすいモデルガンキャップやプラグファイアーキャップが使える事もメリットです。
カート単価が安いこともあって量を撃つのに適していますが、構造上ポリマーCPカートはヘッド部を手でねじ込めないのとケース部分にネジ部があるため、EASY−CPカートよりもキャップ火薬のセットに手間がかかるのが逆に難点になっています。
もう一つの問題はポリマーEASY−CPカートが、オープンカートやEASY−CPカートに比べパワーが弱いようで、最終弾発射後のスライドオープンが確実では無くなりました。
これは樹脂製オープンカートの型を流用したため、ポリマーEASY−CPカート内径がEASY−CPカートよりも微妙に大きいことに原因がありそうです(手持ちのノギスでは差が分かりませんでしたが、ピストンカップをセットするときの抵抗に明らかな違いがあるので間違いないと思います)。
対策としてはピストンカップのバリを無くして密着性を高める手法がありますが、残念ながら確実性は無いようです。
タニオ・コバ GM7.5 COLT MK,4 シリーズ‘70の実射動画はこちら
最後に(サマリー)
GM7はリアルさ(主に内部メカですが)よりも快調な発火性能と耐久性を優先して作られていましたが、GM7.5はさらにローコストにもウェイトが置かれている印象を強くしました。
外部パーツ(スライド&フレームやハンマーやトリガー等の金属パーツ)をほぼ新規で製作し、コルト商標取得を取得して定価3万円以内に抑えたのはブローバックモデルガンの新製品としては大健闘ですね。
しかも連続発火性能に秀でたCP系カートリッジのポリマーCPカートを新たに開発しているので、単なる廉価版になっていないところが凄いです。CPカート用デトネーターが付いた初のタニオ・コバ純正モデル(タイアップモデルは除く)ということになります。
個人的にはキャップ込めが面倒なのでCP系カートは嫌いなんですが連射数が大幅に増えたのは魅力です。ただしポリマーEASY−CPカートのメリットがEASY−CPカートよりも安価だけなのは、少々残念後頃です。
タニオ・コバ GM7.5 COLT MK,4 シリーズ‘70 29,800円(税別)
ポリマー EASY−CPカート(20発セット) 2,500円(税別)
参考資料
月刊GUN誌 1993年2月号
月刊GUN誌 2004年10月号
月刊GUN誌 2011年1月号
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