ARMORER WORKS(WE)製 モーゼル M712 GBB レビュー
(2018.04.26加筆)

オススメ, レビュー

実銃についての簡単な説明

モーゼルM712は1932年に登場した、モーゼル ミリタリーピストルをベースとしたマシンピストルです。

ベースとなったモーゼルミリタリーピストルは1896年に完成した大型のセミオートピストルで、トリガー前部の固定式マガジンやタンジェント式リヤサイト、脱着式ショルダーストックホルスター等の特徴を持っていました。

19世紀に開発されたセミオートピストルの中では最も完成度が高いと言われ、口径やバレル長等のバリエーションはあるものの1930年に改良型のM1930が開発されるまで、ほぼ同じメカのまま生産が続けられました。

モーゼル ミリタリーピストルを大量購入したのが中国でしたが、1930年になるとアストラ等のスペイン製コピーモデルにセミ/フルオート式モデルによって中国市場が侵食されることになり、市場奪取のためにモーゼル社が開発したモデルがM712となります。

M712は改良型モデルM1930をベースにセミ/フルオートのセレクターを付けて、着脱式マガジンに変更したモデルで、モーゼルミリタリーピストルの最終モデルとなりました。

最初はレバー式セレクターだったのをプッシュロック式セレクターに改良されて完成しました。

名称については諸説ありますが、モーゼル社内の名称は「Schnellfeuer(シュネルフォイアー”速射”)1932」。「M712」はアメリカの輸入代理店ストーガー社が付けた名称と言われています。

合わせて初期のレバー式セレクターモデルの名称が「Reihenfeuer(ライエンフォイアー ”連射”)1931」。アメリカ国内での名称が「M713」とされています。

モーゼルM712は1939年までに約98,000挺生産され、大戦中にはドイツ空軍によって7,800挺発注され、さらに国内在庫が武装親衛隊にサブマシンガンの代用として使われたと言われています。

 

ARMORER WORKS製 モーゼル M712 GBBについて

台湾のWE−Tech社からモーゼル712(製品名はWE-712 PISTOLですが、刻印などを見る限りM712を中国でコピーした「三十二年式手槍」をモデルアップしているようです)が発売されたのが2年ほど前。

上下レシーバーが金属製の海外仕様だったため国内での販売ができませんでしたが、カービンタイプが発売されて国内販売がされるようになると、すぐ話題になりました。

当初はマルシン製M712のコピー商品と思われていたものが、内部メカが改良されてセミオートが確実に撃てるようになった他、独自のホールドオープンメカも備えていました。

オリジナルのハンドガンverが欲しいという国内ニーズに応えて発売されたのが、今回のモデル。発売は昨年末頃で上下レシーバーが樹脂製に変わり、国内の販売に支障が無いようになっています。

発売ブランドが「ARMORER WORKS」となっていますが、ここはWEブランドのエアガンのカスタム製品を販売しているブランドで、今回日本専用のカスタマイズ製品を治て販売しているということのようです。

まずはパッケージから見ていきます

WEの商品ビジュアルが全面に出ていると異なり、「ARMORER WORKS」(以下AW)のヘックス型ロゴをメインとした幾何学的デザインのパッケージです。

パッケージ左側にあるQRコードで「製品マニュアル」「交換パーツ」「ユーザー登録」等をそれぞれHP上で提供するようになっていますが「ユーザー登録」以外はHP上に実装されていないので、結果としてマニュアルも付属しないことになっています。

単にHPの製作が遅れているのかもしれませんが、発売後半年以上もマニュアル無しっていうのは国内メーカーでは考えられないですね。逆に日本市場が小さいって事かもしれませんが。

AWの正式な商品名は「MC0100-JP」という単なる記号のようなもの。WEの商品名「WE712 PISTOL」の方が、まだ親しみがありますね。

パッケージには10発試射した初速とジュール表が貼り付けられています。一つ一つに初速証明が無いと最近は通関できないようです(以前個人輸入したときに税関から言われました)。

唯一付属するマニュアルが、この「オーナーマニュアル」。M712のマニュアルでは無くってガスガン全般の取扱注意みたいなものです。

パッケージ内にはM712本体、ロングマガジン1本、プラ製ストックホルスター、ランヤードリング他が再生紙の緩衝材にに保護されて収納されています。

次にM712本体を見ていきます

本体はABS地そのままで、塗装もされていないシンプルな仕上げ。その割にヒケ等があまり見られないのは大した物です。生産国表示の「MADE IN TAIWAN」をシール処理にしているのは賢い手法ですが、厳密にはどうなんでしょうね。

フレーム左側はセレクター後方にあるはずのモーゼルロゴは無くのっぺりしていますが、海外仕様の金属モデルにあった「三十二年式手槍」のマークが入らないだけでも充分な気がします。

セレクターの操作方法は実銃と同じで、中心のボタンを押しながらセレクター全体を動かします。画像の「N(NORMAL:通常)」の位置でセミオートマチック。

画像の「R(Reihenfeuer:連射)」の位置でフルオートマチックになります。実銃では「R」に赤色が入っているモデルが見受けられます

他のドイツ軍用銃MG34等はセミオート「E(Einzelfeuer:単射)」、フルオート「D(Dauerfeuer:連射)」となっているのに、統一されていないのが興味深いですね。

実銃写真などで比べると、セレクター自体のサイズが一回りほど小さくなっています。サイズ的には1〜2mm程度小さいだけのようですが、縁の面取りカットが大きいので余計小さく見えます。

所持個体だけの特製かもしれませんが「R」ポジションから「N」に戻すときにオーバーランする傾向があるのが残念です。

セフティは実銃どおり、最終型のユニバーサルセフティを再現。ハンマーダウンしている状態でもセフティがかかります。セフティがONの状態だとボルトとハンマーの間に隙間ができて、より安全に携行できるようになっています。

ハンマーをコックしている状態でもセフティは当然かかります。実銃ではモーゼルHScと同様に、この状態で状態でトリガーを引くと安全にハンマーダウンさせることができる機能があるようですが、トイガンではオミットされています。

ボルト後部にはファイアリングピンヘッドが再現されています。実銃どおりファイアリングピンヘッドにはマイナスネジ用の溝が刻まれ、実際の分解時に回して使うようになっています。

フレーム右側を見てみると、フレーム後方にあるはずのモーゼル社の社名、所在地表記はありません。なので厳密に言うとモーゼルM712じゃないって事になりますね。トリガー前方にあるボタンは、マガジンキャッチです。

フレームの軽量化加工された部分には、ツールマークの跡もしっかり再現されていますが、だれ気味なので光の加減では全く見えなくなるのが残念です。

リアサイトはタンジェント式で、サイト右横のボタンを押しながら前方に動かすと距離に合わせてサイトを調整できるようになっています。

サイトの目盛りは実銃同様50m〜1000mになっています。実銃でもオーバースペックだったので、トイガン的には飾りに近い機能ですけどモーゼルミリタリーらしさい部分です。

ボルトを引くとショートリコイルは省略されているので、アッパーフレームは後退しません。ボルトの後退距離自体もも短いので余計ボルトストロークが短く見えます。ボルト形状は左側も抜け多独自形状ですが、構造的には実銃を上手く模しています。


(上:マルシン製モデルガン、下:AW製ガスガン)

ホールドオープン時のボルトの後退量をモデルガンと比較すると、GBBは13mm程短くなっています。ショートリコイル分を除いたボルト単体では9mm程短いだけですけど、数字以上に短く感じますね。

ホールドオープン時にチャンバー上部を見ると、カートクリップ用の溝よりも後ろにボルトヘッドが後退していないのが分かります。少し残念な部分ですが、ボルトホールドオープン機能が初めて再現された事を素直に喜ぶべきでしょう。

エジェクションポートから見てチャンバー上部にあるマイナスネジ状のパーツがHOPUP調整ネジです。外見を壊さない位置に配置したのは良いですね。

画像で分かるように、フレームのパーティングラインはしっかり残っています。販売価格が比較的安価なので仕方の無い部分ですね。無塗装仕上げなので仕上げ直しがし易いのも救いです。

アウターバレルは金属製で、ABSのフレームとは別パーツになっています。フレームの段差部分が太すぎるのが外見上気になりますが、強度上太くする必要があったんでしょう。

続いて簡単に分解してみます。

最初にマガジンを抜き、ボルト後部にあるファイアリングピンの溝にマイナスドライバーを当て、90度回転させてファイアリングピンを抜き出します。

次にフレーム右側にあるボルトストップを90度回転させながら、フレームから抜き出します。

その後ボルトをフレームから抜き出します。

フレーム後方の分解用ノッチを上に押し上げます。かなり固いので布を巻いたドライバーや木の棒などを使った方が良いですね。

フレーム側から分解を始めない理由が、フルオートシーアの延長部分の存在。ボルトを引きながら、このパーツ先端部を後方に曲げればロックフレームを取り出すことが可能ですが、ボルトから分解した方が簡単なんです。

ハンマーに指をかけながら、ロックフレーム(ファイアリング ユニット)を後方に引き出します。

これで通常分解までは終了です。メンテナンスをする程度なら、個々までの分解で充分でしょう。

取り出したロックフレーム左側。前方にあるネジ止めされた2つのパーツが、ボルトをホールドオープンさせるオリジナルメカ。

ロックフレーム右側も形状は完全オリジナル。ハンマー側にあるパーツがフルオートシア。実銃のようにアッパーフレームの前進でボルトを落とすのでは無く、ボルト自体の前進をフルオートシアー上部で受けてハンマーを落とす仕組みのようです。

ブローバック用のピストン&シリンダーは想像以上に小さく、細いボルトの前部に収まっています。ボルトが軽量なので、この大きさで済むのでしょうがキチンと作動させる技術力は大した物です。

最後に付属のアクセサリーを見ていきます。


(上:オプションの10連マガジン、下:付属の24連マガジン)

マガジンはロングタイプの24連マガジンが付属します。公式には26連マガジンと言われているようですが、実際にBB弾を詰めてみると24発が妥当な装弾数です。

オプションのショートマガジンは実銃と同じ装弾数の10連マガジンとなっています。ロングマガジンはフォロアーを下げて広くなった装弾レイル前面からBB弾を流し込めますが、10連マガジンリップ部分から押し込む入れ方しかできません。

マガジンの分解はマガジンボトムプレートを外して、ガスタンク底部を止めているネジを外します。ガスタンク底部を外さないとマガジンフォロアー&フォロアーSPを取り外すことが出来ません。

小物ではランヤードリング(右9と、マガジンフォロアーストッパー(左)が付属します。

付属ストックは樹脂製で、実銃どおりストック内部にM712本体を収納することが出来ます。木目調に仕上げてあるので、一見すると樹脂製には見えません。

ストックカバーを開けると、カバー部分に銃の固定用SPは再現してありますが、補強用リブがむき出しでリアル感はイマイチ。樹脂製ストックでは仕方の無いところです。

所持個体はストック取付金具の仕上げが悪く、そのままでは固くてストックの取付が出来ませんでした。画像のようにヤスリで仕上げ直しをしたら、問題なく脱着可能になりました。

ストックを取り付けると、マシンピストルっぽくなります。樹脂製ストックは内部の空洞スペースが多いのでストック装着状態で撃ってみると、ストックが耳の直ぐ側にあるので反響音がチャチに響いて聞こえます。

マルシン製木製パーツとの互換性。

マルシン純正の木製グリップは、AW製のグリップスクリューカラー&ナットが若干小さめな事以外は、サイズ的には全く同じなので互換性はあります。

AW製グリップスクリューが若干太いのでスクリュー用の穴を広げる必要はありますが、それ以外は無加工で取り付けが可能です。


(上:マルシン製木製ストックホルスター、下:付属樹脂製ストックホルスター)

ストックホルスターの形状はマルシン製が若干短めですが、写真等を見る限りは比率的にマルシンの方が正確なようです。

モーゼルミリタリーピストルが多数使用された中国製のレプリカストックは長めの物が多いので、中国国内で製作されたストックを参考にした可能性はありそうです。

マルシン製ストックの装着はキツすぎずガタも無く正にジャストサイズで、純正と言っても違和感が無いレベルです。やっぱりモーゼルM712には木グリと木ストが似合いますね。

マルシン製ストック内に本体を収納させてみると本体はキッチリ収まりますが、惜しいことにストックカバーがあと少しで閉まりません。

セフティ部分が、ストックカバーの裏部分に干渉しているようです。この部分を削れば無理なくカバーも閉まるはずです。

バリエーションモデル:M712 ブラスター
(2017.04.26 加筆)

映画「スターウォーズ」に登場するハン・ソロが使用するブラスター「設定ではDL−44ヘビーブラスターと言われています」をモチーフにしたオリジナルモデルです。パッケージを見ると、AW社の製品名は「K00001-JP」となっています。

海外では本体同様、昨年から既に発売されていましたがM712と同様上下フレームを樹脂製にしたモデルがJPバージョンとして発売されました。

大まかにはM712のバレルをカットしてハイダーをかぶせ、スコープ(設定では動体センサー)とマガジン部の放熱板をフレームに取り付けたものです。

実際のプロップはモーゼルC96がベースなので、あくまでもイメージ的に似せたモデルですけど雰囲気的には良く出来ています。

ハイダーパーツとスコープは金属製で、恐らく新規に作られたもの。スコープは無倍率の素通しレンズにレティクルが入った外見だけの物。除くような使い方は出来ない位置にあるので、問題はありません。

スコープ&マウントはかなり重量があるので、樹脂フレームにネジ止めだけでは強度的に不安があります。また、マウントによってマガジンキャッチが押しにくくなっています。

映画上ではブラスターなので、ボルトのブローバックもマガジン交換もありません。フロントサイトも無いので、フォロアーストッパーを使って空撃ちモードで雰囲気を楽しむのが一番でしょう。

実射についての簡単なコメント

マルシン製M712がベースという先入観があったので、作動については正直不安がありました。室温22℃では、ショートマガジンのセミオート、ロングマガジンのフルオート共に作動が不安定で、ボルトの後退不足が頻発しました。

マガジンを25℃ぐらいまでに暖めると快調に作動するようになりましたので、気温にはかなり作動が左右されるようです。マルシン製M712で課題だったセミオートはマガジン温度が高ければ問題なく作動します。

1発ごとにきちんとディスコネクトして、ハンマーがコックされるのは、モーゼルM712のトイガンでは初の体験です。

フルオートも同様で1マガジン24発を1トリガーで撃ち切ることができます。最終段発射後はセミ・フルとも問題なくホールドオープンします。

ガスの燃費自体は あまり良くなく、ショート・ロングマガジン共に毎回ガスをチャージする必要があります。ガスのチャージ量もシビアな感じなので、国内向けの注入バルブに交換した方が良さそうです。

気になる初速はマガジンを25℃程度に温めて、02gBB弾使用時で74m/s前後でした。パッケージの試射データーよりもバラツキが少なかったのは良い傾向ですね。夏場でも規制内に収まる感じです。

室内の5m程度の試射なのでHOPの具合については試していませんが、見にくいサイトなので集弾性はあまり良くなかったですが、弾道自体はフラットで変な癖も見られませんでした。

AW製モーゼルM712試射動画はこちら


室温22℃(マガジンを暖めたので実質25℃相当)、東京マルイ0.2gBB弾・フロン134a使用

最後に(サマリー)

過去に、マルシンからモデルガンGBBと発売されてきましたが、現在までで最も調子が良いモデルが今回のAW製(元になったWE製)M712モデルなのは確かでしょう。

デフォルメされている部分や刻印が無い部分などの気になる部分はありますが、フルで1マガジンを発射して最終弾発射後にホールドオープンできる快感は、このモデルでしか味わえません。

木製グリップと木製ストックホルスターをマルシン製に変えれば、リアルさもかなり改善されます。

本来M712は、マルシンがまともに動くモデルを完成させるべきだったと思うんですが、実際には海外メーカーが独自の改良で安定した作動の製品を作り出してしまったということですね。

国内メーカーの衰退と海外メーカーの技術力の高さが明確になった現在、国内メーカーがどのように巻き返しをするのか、期待したいものです。

参考資料

・月刊GUN誌1988年8月号
・HOBBY JAPAN MOOK ドイツ軍用ピストル図鑑
・HOBBY JAPAN MOOK マスターピース ピストル

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