Carbon8 M45CQP CO2GBB レビュー(2019.08.29補足修正)
Carbon8 M45CQPは、国内ではマルシン製FN 5-7に続く「全日本トイガン安全協会(STGA)」認定のCO2 GBBです。今回はこのCarbon8 M45CQPをCO2 GBBハンドガンの第2弾モデルとして細部まで見ていきながら、作動性能を含めて紹介していきます。
実銃について
M45CQPについては、元になった実銃は存在し無いと思われます。そこでデザインの元になったと思われるM.E.U.ピストルについて、簡単に触れてみます。
M.E.U.ピストルはアメリカ海兵隊特殊部隊(海兵隊遠征隊〈MEU=Marine Expedition Unit〉)がベレッタ社のM9ピストルの制式化を受けて、従来のM1911A1の継続使用を決定した際、程度の良いフレームに、フレーム以外の新規パーツを海兵隊内で組み込んで製作したモデルが基本となっています(フレーム以外のパーツ発注は議会の承認が必要ないため)。
後に不足分を補うためにスプリングフィールド アーモリー社に同仕様のモデルを発注しています。これがレイトモデルと呼ばれるタイプで、ノバック社製のサイト、スケルトンタイプのハンマー、ビーバーテールグリップセフティ、キングス社製アンビセフティ、パックマイヤー製ラバーグリップ、スリーホールトリガー等が特徴となっています。
Carbon8 M45CQPは、スライド上部セレーション、レイル付きフレーム、グリップスクリュー、各種刻印以外はM.E.U.ピストル レイトモデルの特徴を再現したモデルとなっています。
Carbon8 M45 CQP CO2GBBについて
「Carbon8(カーボナイト)」海外メーカーに国内向けCO2GBBエアガンを製造委託して、国内に輸入販売するディストリビューターで、エアガンアクセサリーやKJワークスの国内販売を行っている「HoneyBee WAREHOUSE(株式会社 ハッチ)」のブランドの一つです。
株式会社ハッチは、CO2ガスガンを認可している国内唯一の団体「全日本トイガン安全協会(STGA)」に加盟しているので、国内販売に当たって同組合の安全基準をクリアさせています。
パッケージは海外メーカーのようなデザインですが、国内向けに作られたオリジナルパッケージの4C印刷のもの。側面にはSTGAの認可シールが貼られていて、CO2の部分に「eco」の文字が入れられているのが、興味深いですね。
取説は写真付き12Pの操作案内+パーツ表の付いた親切なもの。CO2マガジンのボンベ挿入など、初心者にもわかりやすい内容になっています。トイガンには希な保証書も付いていますが、購入後2週間の初期不良対応って短すぎる気もします。マガジンのガス漏れ保証が60日なのは嬉しいですけどね。
付属品はCarbon8のステッカー、BB弾、ボンベ装着用レンチ、ブッシングレンチの4点。ブッシングレンチには「KJワークス」の文字が入っているので、製造元が推測できてしまいます。
外見から見ていきます
外見を見る限り海外で販売されているKJワークス社製の「KP-07」というモデルそのものです。国内向けモデルと言うことで「KP-07」をベースに仕様を変えて新たに設計生産したと言うことなのでしょう。
トリガーが変更されて、よりM.E.U.ピストルのイメージに近づいているのが「KP-07」との嬉しい違いになっています。
M.E.U.ピストルの特徴の「ノバックタイプのサイト」「3ホールトリガー」「キングスタイプのアンビセフティ」「スケルトンハンマー」「ビーバーテイルグリップセフティ」がしっかり再現されています。
それぞれのパーツの形状も良く、以前の海外モデルのようなチープ感が全くありません。グリップスクリューが六角スクリューになっていますが、これはコストダウンのためでしょう。プラススクリューよりは、全然マシですね。
スライド刻印は「45ACP」の口径表示のみ。レーザー刻印のようですが、サイズの割に微妙に薄く入れられています。無地よりはマシかもしれませんが、もう少し雰囲気のある刻印にできなかったんでしょうかね。
スライドの別売もあるようなことを聞いたので、カスタムベースのスライドが出ることを期待したいです。
フレームのダストカバー部にあるレイルの形状が、なんとも微妙。正直、無かった方がよりM.E.U.ピストルっぽくて良かったですね。ベースとなった「KP-07」と同じ型で作っているから仕方ないのでしょう。
こんな形状ですけどSHUREFIREのウェポンライトなどは、しっかり装着できたので、レイルのサイズ等は正確なようです。
と言っても下側から見るダストカバー部はパーティングラインが残っていることを別にしても、レイル形状が本当にイマイチで残念ですね。
右側から見ると、アンビセフティがスゥエンソンタイプでは無く、キングスタイプになっているのが分かります。こういう部分がキチンと再現されていると、嬉しくなりますね。
スライド上部には、M.E.U.ピストルには無いセレーションが入れられています。
フロントサイト手前のセレーションが切れる部分の処理がカスタムモデル並のデザインですけれど、セレーションが無くても不満は無かったと思います。チャンバー部分には口径表示の「45ACP」の文字が入っています。
サイトを覗いてみると、このような感じです。リアサイトのドットとフロントサイトのドットのサイズバランスが絶妙なので、中々狙い易いサイトに仕上がっています。
ドットのホワイトがキレイに入っているののも狙い易さに貢献しています
マガジンにはCO2ボンベのシルエットがくり抜かれた形状になっています。左側のシルエットが大きいので、ボンベは左側(画像の側)から装着することになります。
ボンベを左から入れて、マガジン下からスクリューで閉めていきます。スクリューがボンベにぶつかって動かなくなったら、レンチの短い方をスクリューに差し替えて本締めをします。ガスの音がしなくなるまで締め込んだら装着完了です。
マガジン正面から見ると、マガジン幅よりもボンベの幅が太いのが分かります。BB弾の装弾レイルは下部の溝が太くなっているマルイタイプ。フォロアーを下げて溝からBB弾を流し込める便利なタイプです。
マガジンのバルブ部分には片側からピンが圧入されて、バルブの分解ができなくなっています。マガジン全体も改造防止で分解できなくなっているようです。
次に内部を簡単に見ていきます
分解は、ガバメントモデルの一般的な分解方法と同じです。最初にマガジンを抜いて、スライドを途中まで引きます。スライドストップノッチの後方にある溝とスライドストップレバーの凸部を合わせて、スライドストップレバーを右側に抜き取ります。
スライドを前方に引き抜けば、スライドアッセンブリーとフレームが分解できます。
次にスライドからリコイルSP&リコイルSPガイドをを抜き取り、リコイルプラグをスライド後方へ抜き出します。
リコイルプラグの抜き取る方向が実銃とは逆ですが、これはスライドが破損してもリコイルプラグが前方に飛び出さないためにモデルガン時代に考えられた安全策です。
次にバレルブッシングを反時計回りに回して前方に抜き出し、バレルユニットを前方に抜き出します。
最後にグリップスクリューを外してグリップを外せば、通常分解は終了です。
ここまでの分解組み立ては一般的なガバメントのトイガンでは、ほぼ共通です。
スライド側から気になる部分を見ていきます
スライドのブリーチ部分は一般的なGBB同様の構造で、分解もできるようです。ブリーチ固定用スクリューがある部分のスライドの肉厚が薄くなっているのが、強度上錦衣なります。
スライド前部内側には補強リブが入っていますが、サイドの左右に肉厚が薄い部分があるので、同じく強度上気になります。またスライドストップノッチには最近のモデルでは一般的なノッチ対策が無いので、耐久性に疑問があります。
強度を考えて採用したナイロン樹脂がどの程度の強度があるかって、ところですけどね。
チャンバー部分の下側にHOP調整用のHOPダイヤルが付いています。反時計回りに回せばHOPが強くなる仕組みですけど、突起が小さいので、微調整するのが難しそうです。
また、アウターバレルは金属製ですが仕上げはあまりよくありません。
リコイルSPは通常のGBBに比べて、短くて堅いSPが使われています。スライドのリコイルSPガイドにはバッファーも付けられているので、強い反動の衝撃を吸収するためと、素早いスライド閉鎖を目的にしていると思われます。
次にフレーム側を見てみます
フレームのディスコネクターの位置を見ると、東京マルイのガバメントがベースになっているのがよく分かります。M45CQPを生産しているKJワークスの「KP-07」がマルイベースって事なんでしょうね。
ラバーグリップを外したフレームのフロントストラップ部分には、セレーションが入っています。通常のグリップに付け替えたときには役立ちそうですが、フレーム下側のグリップスクリュー付近にマガジンボンベ用の出っ張りがあるので、加工無しでは他のグリップの取付はできません。
グリップ下部のハウジングピンは外見では分かりませんが、安全対策上抜けない構造になっているそうです。このピン周りに抜こうとした痕跡があると修理が受けられなくなるそうなので、極力この付近ははいじらないのが賢明です。
グリップはマックマイヤー製ラバーグリップのコピーで、作りは悪くありません。メダリオンがオリジナルのライオンから、翼のあるキメラのようになっています。
グリップ下側スクリュー部分には、フレームの出っ張りに合わせた切り欠きが付いています。この部分だけを同じように加工すると、市販のガバメント用グリップを取り付ける事が可能になります。
試射後の簡単なコメント
まだ、ボンベ4本ほどしか撃っていませんが、スライドの後退速度が速く、反動が強いのに驚きました。しかも発射音も大きく、新しいボンベに付け替えた最初の10発程の音は、これまでのGBBでは味わえない大きさです。
CO2の特性どおりに冷えには強いようですが、前作のCZ75に比べて反動が強い分燃費が悪く初速のバラツキも大きいようです。1ボンベで約80発といった感じでしょうか。
その初速は室温21℃、東京マルイBB弾使用時で83m/s前後ですが、連射するとマイナス8m/s程下がることがありました。逆に初弾だとプラス5m/sの場合もあり、測定の誤差を考慮しても大きすぎる感じです。
もっとも撃って計った弾数自体がそれほど多いわけでも無いので、この辺りは参考値程度ですね。弾道自体は近距離なのでHOPも使えませんでしたが、フラットなイメージでした。
補強されていないノッチのケズレですが、4ボンベ程撃っただけで早くもノッチの下角が丸まってきました。スライドの別売もあるようなので、スライドは消耗品と考えるべきですかね。
スライド破損の情報もnetに散見されるので、もう少し撃ち込んだらどうなるのか続けて見ていきたいと思います。
Carbon8 M45CQPの試射動画
M45CQP 2ndロットの改良点〈2019.08.29 補足〉
2019年8月に発売された2ndロットでは、外見は1stロットと変わりませんが、内部は耐久性の向上を目的としたと思われる改良が施されています。
1stロットと2ndロットのスライドを比較するとパーツ変更された箇所が2カ所あります。①リコイルバッファーの変更と、②スライド内金属シャーシの左側部分の延長です。
①のリコイルバッファーの変更は、1stロットのバッファーよりも柔らかく、厚みも増えていることから、ブローバックの衝撃を緩和する目的の改良(スライドの破損防止)と思われます。
リコイルSPとバレルを外して②の金属シャーシの延長部分を見てみると、延長された金属シャーシ部分にスライドキャッチレバーが嵌まるノッチが新たに作られています。
既に一部の国内メーカーが行っているノッチ削れ対策と同様、スライドオープン時にスライドキャッチを金属シャーシのノッチで受けることで、外側に露出したスライドのノッチの削れを無くす改良と見ることができます。
スライドの左側の金属シャーシを延長したことによって、フレーム側の左側レールの幅が右側に比べて広くされています。
これらの改良によって1stロットと2ndロットのスライドとフレームの互換性は無くなっていますが、効果的なノッチの削れ対策と考えれば妥当な改良と思われます。何よりも素早い対応が評価できます。
最後に(サマリー)
Carbon8 M45CQPは、刻印や仕上げの一部に気になる点はあるもののCO2を使用した迫力あるブローバックと寒さに強い確実な作動、各パーツの作りも良い人気のCQBタイプのガバメントモデルである事等、かなり魅力的なモデルに仕上がっていると思います。
気になるのは巷で報告されているスライドの耐久性の問題でしょうね。こればかりは個体差もあるので、所有モデルをある程度撃ち込んでみないとなんとも言えない部分です。
Carbon8 M45CQP・・・・・・・メーカー希望小売価格 21,384円(税込み)
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