マルシン ベレッタ M9A1 レビュー

オススメ, レビュー

実銃についての簡単な説明

1985年にアメリカ軍次期制式ハンドガントライアルに勝ち残ったベレッタ 「M92SB-F」は「M9」として制式採用されました。「M9」を市販モデルとしたのが「M92F」です。ベレッタオートマチック伝統のスライドの上面を大きくカットしてバレルの大部分を露出した斬新なスタイルに加え、ダブルアクショントリガーとAFPB(オート ファイアリング ピン ブロック)による高い安全性を実現しています。

また、セフティレバーとマガジンキャッチボタンのアンビ化による左右同等の操作性や、15+1発という当時最大級の多弾数を誇り、新時代のオートマチックハンドガンのスタンダードモ出るとも言える存在になりました。採用後、パーツの焼き入れ不良によるスライド破損事故に対する対策を施された、大型のハンマーピンを装備した市販モデル「M92FS」を1989年に投入し、「M9」もそれに準じた改良を施されました。

その後、2006年には海兵隊の要請により、フラッシュライト等のアクセサリーを装着するための20mm幅のピカティニー規格のアンダーレイルを備えた「M9A1」を開発。合わせてグリッピングの改良やサイトシステムの変更が施され、CQB戦に適した性能を付加されました。

M17の採用により、[M9」「M9A1」ともに順次退役していく事になると思いますが、現在もベレッタ社のHPには軍用の「M9A1」市販用の「M92A1」ともに現行モデルとして掲載されています。

マルシン ベレッタ M92シリーズ モデルガンについて

左:マルシン製ベレッタM92Fダミーカートモデル、右:マルシン製ベレッタM9A1

マルシン ベレッタ M92シリーズのモデルガンは1990年10月に発売された「ベレッタ M92F」が最初の製品で、ABS製のダミーカートモデルとして発売されました。これはMGCの「ベレッタM9」よりも1年前の発売で、モデルガンとしては最初のモデルアップになります。

その後、ブローバックモデルの「ベレッタ M92FS」モデルやメッキモデル「ベレッタM92FS ステンレス」、フランス軍制式ピエストル「PA・MAS 9mm G1」等の発売が続きます。

1992年にマルシン系列のACGブランドから高級モデル「ベレッタM92F」がダミーカートモデル・初HWモデルとして限定発売され、その後マルシンブランドの「ベレッタM9SFS」もHW化されます。1995年9月にはスライドを新規製作したしたフルオートモデル「U.S.N.M9 ドルフィン」が発売されています。

2001年1月には強化型新規スライド(ブリガーディアスライド)と組み合わせた「ベレッタ M92F ブリガーディア」6月には「ベレッタ CQB」のバリエーションがHW製ブローバックモデルとして発売されました。これらのモデルは1996年に起きたベレッタ社とWA社による商標権侵害・不正競争防止裁判を受けて、正式ライセンスを取得していました(裁判で不正競争防止に関しては退けられましたが、商標については意匠上の問題が残るため。そのため現在でもベレッタロゴなどの使用は避けられているようです。)

2021年になって初めてレイル付きフレームが新規設計されて、海兵隊制式モデル「ベレッタM9A1」が新たなバリエーションとして加わりました。実銃が制式採用されてから15年のモデルアップでした。

マルシン ベレッタM9A1(ブラックHW )モデルガンについて

パッケージは光沢のあるグレー地にマルシンのロゴが入った汎用パッケージに、モデル名・バリエーションとイラスト入りシールの貼られたローコストタイプのもの。最近のマルシンモデルガンの少量ロット生産&仕上げバリエーションの多種同時展開にマッチしたものですが、若干の寂しさを感じます。

内箱は発泡スチロール製ですが、ベレッタM92シリーズ専用のもののようです。この部分が汎用デザインだと余分なスキマがあったりして萎えるところですが、専用に作られているとモデルガン本体はピッタリ収まっているので、気分的には嬉しいですね。

取説はA5サイズ6Pの「ベレッタM9A1」専用のもの。中綴じはされていませんが「操作方法」「分解図」「パーツ表」が入った最低限の内容になっています。実銃についての記述はありませんが、ベレッタバリエーション「M92F」「ベレッタ ブリガーディル」にもチョコッと触れられています。

「M9A1」を手に取って最初の印象は、バレル以外の素材がマットブラック処理されたHWなので、全体にシャープな印象です。ミリタリーモデルとして違和感の無い仕上げとなっています。表面のヒケや湯じわなどもほとんど無く、金属パーツの表面仕上げも悪くない綺麗な仕上げです。。

次にマルシン ベレッタM9A1本体の細部をみていきます

右側スライド刻印は「U.S.A. CORP GALLATIN.TN-MADE IN U.S.A.」の生産者・所在地とベレッタの「PB」ロゴに似せた「MK」マークが入っています。実銃では最初に入る「BERETTA」の文字が省略されています。所在地の「GALLATIN.TN(テネシー州ギャラティン」は2016年に新設された工場なので、モデルアップされたのは2016年以降生産されたモデルということになります。

フレームにはBER2531511M」のシリアルNOと「Type M9A1」のモデル名が入っています。書体が若干太めでじつじゅうとはことなりますが、イメージ的には近い感じです。

右側スライドには「MOD. 92FS-CAL 9mm Parabellum-PATENTED」のモデル名と口径表示が入っていルのは実銃通り。

フレームには「WARNING READ MANUAL BEFORE USE.(警告 使用前にマニュアルをお読みください)」「RETRACT SLIDE TO SEE IF LOADE.FRES WITHOUT MAGAZINE(マガジンが無くても撃てるので、スライドを引いて(弾が)装填されているか確認ください」も実銃通りですが2行目の「FRES」は「FIRES」の誤植と思われます。

フレームの刻印を見る限り軍用の「M9A1」では無く、市販モデルの「M9A1」(同じく市販のM92A1とは刻印違い)をマルシンはモデルアップしているようです。

サイトはベレッタM92FS以降採用された3点ドット方式式のもの。結局この形式のものが見やすいって事なんでしょうね。

スライド上面はバリなどもキレイに処理されています。初期のモデルに見られたフロントサイト上のパーティングラインもキレイに処理されているので、金型の古さを感じさせない仕上がりです。

M9A1になってからの改良点、樹脂製のリコイルSPガイドもしっかり再現されています。見た目は金属製の方がよいですけど、強度さえ問題なければ、コストと重量面から考えても樹脂製になるのは妥当な改良ですね。

新規に製作されたフレームのダストカバー部にはピカニティ規格のレイルがリアルに再現されています。レイルの溝が1本なのは、実銃が採用された当時に主流だったM3タクティカルライトに対応したものだからでしょう。フレームのパーティングラインもキレイに処理されています。

ワンタッチで取り付けられるタクティカルライトを試してみたらStreemlight製M3ライトはジャストフィット。Surefire製X200やX300はレイル幅はピッタリですが、溝の位置が微妙に合いませんでした。

樹脂製トイガンで気になるトリガーガード内に、パーティングラインはありません。ここに湯口とかパーティングラインが残っていると消すのが大変なので、嬉しい処理です。

角度を変えてよく見ると、トリガー周辺左側の角にパーティングラインがしっかり残っています。後加工で処理をしたのではなく、目立たない位置に金型の合わせ目がくるように設計しているようです。トリガーガード内のパーティングラインよりも処理は簡単そうですけど、組み上げる前に後加工して欲しかった部分です。

フロントストラップにはチェッカリングタイプの滑り止めが再現されています。チェッカリング自体は鋭くないですが、フィット感は大幅に向上しています。

バックスストラップ部も同様の滑り止めが入っています。テイル部の下側はハイグリップし易いように抉られた形状になっています。過去のマルシン「CQB」と異なり、後加工ではありません。

グリップのベレッタロゴは意匠侵害を避けるために、ベレッタのものとは微妙にデザインを変えたものになっています。他社のトイガンのものよりはマシですが、目立つところだけにグリップは変えざるを得ないですね。グリップスクリューは実銃のM9A1と同じヘキサゴンタイプになっています。

マガジン挿入口は、マガジン交換がし易いように角を落として広げてあります。実銃の形状と同じなので仕方ないところですが、スペース的に後方部分も広げることは可能なのに前方と左右部分のみの加工になっているのは不思議ですね。他のM92シリーズと共通パーツ(フレームスペーサー)の互換性を失う事を考慮したのかもしれません。

マガジンは実銃の防砂性向上のために施されたPVDコーティングされたM9A1専用マガジンを上手に再現しています。メッキ仕上げの一種だと思いますが、従来のマガジンチューブよりも8g程軽量化されているのはメッキの厚さ分スチールが薄くなっているのかも。目で見た限りはそんなこと無さそうなので謎です。

付属品はローダー、六角レンチ2本(ファイアリングピン用とサムセフティ右側用)、NEWプラグファイア カートリッジ5発が付いてくる。この組み合わせは20年前から基本変わっていません。六角レンチはグリップスクリュー用が入っていてないのが残念です。

NEW プラッグファイアキャップは4ピース構造。以前からプラグに付けるOリングは各自がセットする方式でしたが、今回のものはプライマー部に付ける2つのOリングも各自が取り付ける方式になっていました。これもローコスト策ですけね。以前(20年前)のプラグファイアー カートリッジはプライマー部のOリングは1つだったんですけど、いつ頃改良されたのかは不明です。

次に簡単に分解してみます

M9A1の通常分解は比較的簡単。スライドを引いてホールドオープン状態にしてから、フレームの分解用レバーを回してスライドを前に抜き出すだけです。分解途中でチャンバー内の確認が出来るので、安全性が高いです。グリップの分解以外は工具無しで行えます。

ハンマーピンが、頭の大きいラージハンマーピンになっています。このことからも「M9A1」が「M92FS」をベースに開発されているのがわかります。

スライド左側下部にはラージハンマーピント噛み合う溝もしっかり再現されています。実銃でスライド破損事故が起きた後の対策で、溝より前方がハンマーピンの頭に引っかかるので、万が一スライドが破断しても破断したスライド後部が後方に吹き飛ぶのを防ぐ仕組みです。

リコイルSPガイドが樹脂製に変わっても、リコイルSPとユニット化されていないのは、「M9A1」の設計の古さを感じます。このタイプは組立が若干面倒なんですが、最新モデルのM9A3になっても改良されていないので、実銃では それ程不便を感じていないのでしょう。

スライドストップレバーの動きの改善

マルシン製ベレッタM92シリーズには、マガジンキャッチレバーがガタつくためマガジンフォロアーがキャッチレバーレバーを乗り越えてしまったり(そうなるとマガジンを抜くのも一苦労)、スライドオープン時にスライドストップがかかりにくい、長年続く欠点がありました。

今回の「M9A1」でスライドストップの動きがかなり改善されているので、その点を調べてみましたが、スライドストップレバーそのものは従来のパーツと同じものでした。そこでスライドストップ周辺の違いをみてみました。

最初に気付いたのがスライドストップレバーSP。製造年によってマルシンM92シリーズではSP径等が変わっています。今回の「M9A1」のSPは中間的な太さでしなやかなSPに変更されています。レバーの動き的には、もっとも適している強さのように思えます。

何よりもコイル部分がスライドストップレバーの軸と同じ位置にある(手持ちの従来モデルははマズル側に寄っている)ので、軸に前寄りの力がかからずレバー後方が浮き上がる力がかからないと思われます。

上:マルシンM9ドルフィン、下:マルシン:M9A1

スライドストップがかかりにくいモデル(比較例では「M9ドルフィン」)では金属製サブフレーム(シャーシ)と樹脂製のフレームとの間にスキマがあります。これは残留応力によって射出成形後にフレームが外側に広がった為と思われます。

広がったフレーム先端部分はスライドストップレバーの溝に挟まっているので、結果的にレバー後部を外側に逃がしてマガジンフォロアーとレバーの係を浅くしていると思われます。

「M9A1」のフレームは金型の分割面を中心から左側に(トリガーガード左端)に移している影響なのかフレームの広がりが無く、サブフレームとフレームが密着しています。結果、スライドストップレバーが外側に逃げずマガジンフォロアーに しっかりかかるようになったと思われます。

※この問題についてはスライドストップ軸とフレームの軸穴のクリアランスに問題があるという考え方もありましたが、スライドストップレバー同様軸穴の真鍮パイプに変更が無いようなので上記2点を改良点として考えました。軸径のクリアランスを減らすことでもスライドストップレバーを定位置から逃がさない効果はあるので、今後も継続して調べるつもりです。

発火性能について

今回も発火は行っていないので、残念ながら発火性能については不明です。因みに付属5発のカートを使った手動での装弾排莢はスムーズで、最終弾排莢後に問題なくスライドはホールドオープンしました。

最後に(サマリー)

30年に前に発売されたマルシン「ベレッタM92F」の主要パーツを流用して登場した「ベレッタ M9A1」は、フレームを新たに開発したことによって、単なるバリエーションでは無く現行モデルを再現した全くの新製品になりました。恐らく金型をメンテナンスされたと思われるスライドや金属パーツには、表面の粗さや傷みは感じられません。

90年代当時がモデルガン設計の絶頂期だとしても、パーツ精度や組立手法が維持・改善されているからこそ、満足できる製品に仕上がったと思われます。個人的には長い間放置されていたスライドストップレバーの問題が、改善されていたのが嬉しかったですね。

唯一気になるのが、新規開発されたフレームと過去に製作されたスライドを使って作ることができるパリエーションが少なすぎこと。ブリガーディアスライドと組み合わせて「M92エリート」を作るぐらいしか無さそうですけど、それでもスライド刻印を帰る必要があります。

採算面が気になりますけど、さらにバーテックフレームを作って貰って「M92バーテック」や「M9A3」を[M9A1」並のデキで新規に生産してくれると嬉しいですね。

・マルシン ベレッタM9A1(ブラック HWモデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・32,780円(税込)
・マルシン ベレッタM9A1(WディープブラックABSモデル)・・・・・・・・・・・・・33,880円(税込)
・マルシン ベレッタM9A1(シルバーABSモデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・32,780円(税込)
・マルシン ベレッタM9A1(マットブラックABSモデル)・・・・・・・・・・・・・・・31,680円(税込)

参考資料

・BERETTA(ベレッタ)HP→ https://www.beretta.com/en/m9a1/

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