VFC H&K HK417 GBB レビュー

レビュー

実銃についての簡単な説明

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H&K HK417は2005年に発表されたM4A1の近代化延命改良プロジェクトによって生まれたHK416Dをベースに開発されたもので、中東での戦訓を元に長射程の7.62×51mm(7.62mm NATO)弾を使用するバトルライフルとして2008年頃から生産が始まっています。

作動方式はHK416と同じガス圧利用式(ショート ストローク ピストン方式)で、リュングマン方式のM4A1に比べて汚れによる作動不良に対する耐性が高いと言われていますが、その分重量が増しています。

また、M4A1で課題とされていたフォアハンド部のレイル ハンドガードのガタ付き防止のためにバレル基部を円筒形にして、その部分にフォアハンドを特殊ネジでタイトに装着する手法もHK416から引き継いでいます。

現在までに各国で少数が試験採用されるなどしていますが、特殊部隊などの採用を除き正式採用されてはいないようです。ちなみにドイツ連邦軍が採用したG28はHK417の民間バーションの「MR762A1」をベースとしたセミオート マークスマン ライフルで、HK417そのものではありません。

VFC H&K HK417 GBBについて

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2014年8月に国内発売になった、VFC HK417 GBBは同社の最新GBBモデルで、既に発売されている同社のHK417電動ガンの外装パーツを一部流用しながらも、H&Kの正式ライセンスを取得していることもあって、刻印等も含めリアルに造られています。

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パッケージはお馴染みの共通デザインのものが使われています。黒地に赤文字のH&Kロゴが良いですね。大きく書かれた「NO COMPROMISE」(妥協しない)の文字がインパクトあります。

実際にはUMAREX社の持つH&Kブランド(ToyGunの)として、VFC製品は販売されているので、UMAREX社の大企業っぽいブランド戦略の一環とも言えますね。

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パッケージを開けると、ダンボールの緩衝材に固定されたHK417が表れます。こんなダンボールだけの緩衝材を使ったパッケージは、一時期のマルシン以来ですね。再生可能なのでダンボールを使うんでしょうけど、個人的には家電製品のようで好きでは無いですね。

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(上:VFC製 HK416、下: VFC製 HK417)

本体は12インチバレル仕様ということで、HK416の14.5インチバレル相当(M4A1とほぼ同じ)のサイズに収まっていますが、レシーバーやマガジンのサイズが大きく、重量は約4kgと実銃並みでかなり重く感じます。ここから暫くはVFC製HK416D GBBと比較しながら見ていきます。

HK416DとHK417の主なサイズの違い

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(上:VFC製 HK416D、下: VFC製 HK417)

気になるレシーバーのサイズはHK416が約200mmなのに対して約240mmと40mm程長くなっています。長さ的には20%UPですがマガジン部分の厚みも増えているので、体感的にはもっとボリュームアップしているように感じます。

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(上:VFC製 HK416D、下: VFC製 HK417)

ストックはHK416Dと同じものの流用と思っていましたが、同じデザインで微妙に細部が異なる専用のものが使われています。

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(上:VFC製 HK416D、下: VFC製 HK417)

よく考えるとバッファーチューブのサイズが異なっている(HK416D:長さ167mm×径28.5mm・HK417:長さ185mm×径34.8mm)のだから、そのまま流用できないのは当然ですね。ちなみにHK416Dが5ポジション、HK417が6ポジションで固定されるようになっています。

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(上:VFC製 HK416D、下: VFC製 HK417)

レイルハンドガードの長がほぼ同じなのは意外でしたが、HK417は固定用の特殊ネジが2本に増えているので,外見上大きく見えるようです。特殊ネジを増やした理由は、恐らく7.62×51mm弾の反動による緩みに対処したものと思われます。

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(上:VFC製 HK416D、下: VFC製 HK417)

地味ながら、操作性に若干影響があるのがチャージングハンドルの引き量。HK416Dが78mmなのに対し、HK417では25mmも余計に引くことになります。慣れれば何て事無いですが、初めてだと妙に長く感じます。

HK417の方がボルトを引くのに力が要るので,余計そのように感じるのかもしれません。

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(上:5.56×45mm弾 ダミーカート、下:7.62×51mm弾 ダミーカート)

HK416DとHK417とのサイズ影響を与えているのが使用カートの違いですが、カートリッジサイズ自体は全長で12mm程しか違いはありません。HK417の各部分が12mm以上のサイズ差で作られているのは、カートリッジそのもののサイズ以上に威力(反動)に違いがあるからですよね。

大戦後の短小弾と言っても、実質大戦中の30−06とほぼ同威力と言われていたカートリッジですからね。

次にHK417の細部を見ていきます

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バレルはCQBに適した12インチバレルなので、ガスブロックより前の部分はかなり短め。ハイダー部分はダミーの固定SPが付いた実銃と同じタイプが付いています。ガスブロックにあるメッキされたレバーは、実銃ではサプレッサーを装着したときに使うガスレギュレーターの調整レバーで、固定されているようです。

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ハンドガードの固定はプラス型の特殊ネジ2本でバレル基部に固定されています。固定自体はガタもなく強固に取り付けられています。ハンドガードを外す際は、大きめのマイナスドライバーの先端にビニールテープなどを巻いてガタがないようにして回すと,簡単に外せるようです。

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ハンドガードを外すと、バレル上にガスピストンが再現されています。実際にスプリングのテンションがかかっていますが特に作動には影響はなく、外見だけの再現です。分解しないと見えないハンドガード内に、ガスピストンを再現した事がモデルガンぽくって良いですね。

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何故かハンドガードのレイル先端右側が4面ともカットされた形状になっています。このような形状の理由として考えられるのは、アクセサリーの取付時に、レイルに入り易くする為にぐらいしか思いつきません。

実銃の画像ではレイル先端の形状は確認できなかったんですが、実銃もこうなってるんでしょうかね? ガスブロック左右にはスリング用のリングが付いていますが、ダイキャストなので強度的に不安ですね。

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フロントサイトは、H&K独自のポストサイトにリング型のサイトガードを組み合わせたもの。HK416からの流用ですが、光学サイトの使用を前提にリング状のサイトガードの上半分をカットした形状になっているのが今風です。

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リアサイトもH&K伝統のロータリー式、ピープの数字に合わせて4段階の距離(1=100m、2=200m)にワンタッチで合わせられるのが特徴です。同じ形式のMP5のリアサイトが、単にピープ孔の大小を使い分けるのとは対照的です。

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上部から見ると、フレーム上のレイルとハンドガードのレイルが一体化されて、通しのナンバリングがしっかり入っています。横から見ると大柄でゴツさが目立ちますが、上からだと思ったよりもスリムなのに驚かされます。

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マガジンハウジング前面にはいつもの「使う前にマニュアルを読め」の英字マーキングが入っています。実銃がそうだから仕様がありませんが、ミリタリーとかスペシャルフォース的にはどうなんでしょう?

大型のエジェクションポートカバーは金属製ではなく樹脂製です。軸部分の割れが心配なのは、昔の樹脂に対する認識ですかね。

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エジェクションポートから見えるボルト中央にはH&Kロゴ。正式ライセンス品はこういう所が良いですね。HK417の電動ガンでは左側だけだったセレクターも、しっかりアンビタイプになっています。HK416Dと同じに、ハンマーダウン時でもセフティが掛けられるのは実銃どおりの仕様です

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マガジンは7.62×51mm弾に合わせた大型のもの。実銃に合わせて外装は半透明の樹脂製ですが、VFCのG36シリーズと異なり、内側のガスタンク部分にカートリッジのモールドを付けるような工夫はされていません。コストダウンが理由だとしたらちょっと残念です。

マガジンの装弾数は実銃どおり20発ですが、マガジンサイズ的には少なめです。VFCのGBBではお馴染みの、通常モード(ホールドオープン機能)と空撃ちモードの切り替えができる機能が搭載されています。

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GBBガンで重要なマガジン重量は450g。VFCのM4GBBのものより30gほど重くなっていますが、600gもあるKSCのM4のマガジンよりははるかに軽いのは評価できます。大目に予備マグを手に入れとかないとね。

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グリップはHK416Dと同じ、フィンガーグルーブがついた初期型が付いてきます。実銃どおり底部の蓋を開ければ、コンパートメントになっています。

垂直に立ったグリップ角度は気になりませんが、フィンガーグルーブが合わないので、最近のマグプルグリップに似た後期タイプの方が好みです。

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H&K オリジナルのストックはボリュームがあって頬付けしやすく、レバー類に引っかかりが無いような合理的なデザインになっています。ストック後部のスリングホールは、こちらも強度的には不安。VFCのHK417(416Dも同様ですが)はオリジナルのままでスリングの取付は難しいですね。

ストックは電動ガンのHK417のものを流用しているみたいで、バットプレートを90度捻ると外すことができます。

次は内部構造の気になる部分に触れてみます。

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(画像上:VFC製 HK416D 、画像下:VFC製 HK417

通常分解すると、M4系GBBでお馴染みのローラー付ハンマーがHK417には使用されていないことに気がつきます。

少ないガスの力でボルトを後退させるために,ボルトとハンマーの抵抗を減らすことがローラー付ハンマーの目的だったはずですが、M4系よりも重いボルトのHK417なのに何故使われなかったのですかね?ハンマー自体をスチール製にしたから加工上難しかったんでしょうか。

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(上:HK417用ボルト、下:HK416D用ボルト)

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肝心のボルトは全長で230mm(ローディングノズル部込み・伸長時)重量273gと、HK416Dに対して長さでプラス5cm、重さでプラス65gもあるので、ブローバックの作動面ではかなり不利になりますね。

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(上:ローディングノズル伸長時、下:ローディングノズル収縮時)

HK417のボルトを見ると、ローディングノズルが収縮する構造になっているのに気がつきました。スプリングのテンションが入っていて、ボルトクローズ時には縮まり、オープン時には12mm程伸びるようになっています。

私見ですが、このような構造になっている理由は、BB弾をチャンバーに装弾時(ボルトクローズ)にはスプリングのテンションで装弾を確実にするとともにバッファー効果を持たせ、ボルト後退時には,同じくスプリングのテンションでボルトの後退をアシストするように思えます。

もちろんブローバックメカ自体の熟成が大きいのは確かでしょうが、HK417の作動の良さを考えると、この可動ノズルが何らかの影響を与えていると考えるべきだと思います(今回分解してスプリングを外した作動検証は行っていないので,単なる仮説です)。

また、ノズル内にガス流量を調整する機能があるという話も聞いていますが、今の所調子が良いので,そちらも確認していません(六角レンチで回せるパーツがあるところまでは確認しました)。

二点とも実際に試してみたら、改めて情報を追加させて頂きます。

実射についての簡単なコメント

セミオートでの作動は、1マガジン問題無く撃ち切れてボルトオープンします。M4系よりもかなり強い反動です。ストック内のリコイルスプリングのバネ鳴りも感じますが、反動が強いので余り気になりません。

フルオートでも1マガジンを一気に撃ち切ることが可能です。これは装弾数の少なさ(20発)の影響も大きいと思いますが、バトルライフルっぽくバーストで撃つのが本来の姿だと思うので、ノーマル状態で充分楽しめると言えるでしょう。

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気になる初速は毎回80m/s前後なので、国内規制値は問題無くクリアしていると思われます。(JP,ver)なので余計、大丈夫でしょう。発射速度については,相変わらず計測不能でしたw

▼ VFC H&K GBBの実射動画はこちら ▼

 

最後に(サマリー)

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既にHK416DがあるのにHK417をGBBとして購入する理由があるとすれば、重いボルトを動かす反動の強さと発射サイクルの遅さで感じる、大口径ぽいブローバックを体感できることにつきますね。

同サイズながらM4系のHK416に比べてフレームが大きく、重量があるHK417は撃ち味を楽しむためのトイガンのように思えます。遠距離での実射は行っていないので、マークスマンライフルのように遠射を楽しむ事ができるかは不明ですが、雰囲気的には、ダットサイトよりもスコープを付けた方が楽しめそうです。

VFCらしく再現度は文句ないレベルなので、コレクションとしても充分楽しめます。あとはウィークポイントのマガジンのガス漏れさえ無ければ完璧でしょう。H&K社
のトイガンは、すっかりUMAREX製に占められてきましたが、国内メーカーの発憤を期待したいですね。