MULE レミントン・ダブルデリンジャー レビュー

レビュー

実銃についての簡単な説明

ダー・デリンジャー」とも呼ばれた41口径リムファイアの上下2連銃で、1866年から1935年までに約15万挺製造されたと言われています。

19世紀末に製造された手作業で作られたハンドガンに見られるように、エキストラクターの有無やバレル上の刻印によって、初期タイプ2種・後期タイプ3種に分類されているようです。

MULE レミントン・ダブルデリンジャーについて

レミントン・ダブルデリンジャーは金属モデルガン時代から各社で造られた日本では馴染みのあるハンドガンですが、52年規制以降金属製の門は規制対象になり、81年にCMC、ハドソンがABS製モデルガンとして新たに製造を開始しています。

CMC、ハドソンの2社が廃業した現在は、CMCの金型を引き継いだHWSが唯一レミントン・ダブルデリンジャーを供給していましたが、MULEが4半世紀ぶりに完全新規のレミントン・ダブルデリンジャーを造りました。

当初MULEはカスタムショップ的なブランドだったはずですが、「SPEC」消滅後「MYSーFACTORY」と並ぶCAWグループの製造ブランドに変わってきているようです。

※商品名は商標上「ダブルデリンジャー」となっていますが、ここでは便宜上「レミントン・ダブルデリンジャー」と表記しました。

パッケージは同社初期のS.A.A.に似たデザインのもの。表記は「DOUBLE BARREL DERRINGER」「.41 CAL.SHORT RIM-EIRE CARTRIDGE」のみでREMINGTON」の表記はありません。

パッケージ内はHWS製品でお馴染みのダンボールの仕切りがついたタイプ。何でもHWS社長に事前に許可を貰っているそうです。本体以外の付属物はカート2発、取説、ユーザーハガキとなっています。

特徴的なのはマズル側にテーパーのかかったバレルで、従来のレミントン・ダブルデリンジャーのモデルガンに比べて、かなりスマートな印象になっています。

HW樹脂の湯流れの跡なども無く、スチールパーツのブルーとともに綺麗な仕上がりとなっています。

バレル上部のリブもマズル側にテーパーがかかっているのが新鮮です。刻印は「REMINGTON ARMS CO.ILION.N.Y.」の一行のタイプ。1888年から1911年までに製造された後期タイプをモデルアップしているようです。

バレルを全面から見ると、ライフリングやクラウンは当然入れられています。フラットなマズルフェイスは良い感じなのですが、パーティングラインが少し残っているのが残念ですね。

CMC系デリンジャーの欠点だった、上部バレルのマズル位置のズレのようなことはさすがに無く、各バレルのセンター位置にマズルがあるので一安心。

このモデルの弱点と思われる部分が、フレームのヒンジ部分。金属シャーシ等は入っていないため、樹脂の強度しかありません。長期の耐久性がどの程度あるか心配な部分なので、扱いに気を遣いますね。

エキストラクターの可動スペースが大きめなので、カートの押し出し量も多く指で摘まめるぐらい出てきます。

リコイルシールド部分は、実銃がハンマーノーズしか見えない壁のようになっているのに対し、ノーズ下が大きく開いています。新設計のモデルなので再現して貰いたかった部分ですが、素材や製法を考えると難しいのかもしれないですね。

グリップ前面には、ラチェットスプリングと、ハンマースプリングを固定するネジの頭が2本露出しています。このモデルのネジはどれもブルー仕上げが綺麗なので、良いアクセントになっています。

所持モデルはMULE直販モデルなので、ココボロ製とのこと。一般用はウォルナット製に変わるようですが、全面チェッカーなのでよく見ないと違いが分かりません。

グリップとグリップウェイト(パーツ表ではストックウェイト)を外してみると、実銃と同じ板バネのハンマースプリングとラチェットスプリングが顔を出します。フレームにも金属のインナーシャーシはありません。

その代わりに、グリップウェイトはフレームにピッタリはまって、補助シャーシのような役割を担っています。フレームにかかるハンマースプリングのテンションの一部をウェイトにも分散させる仕組みですね。

さらに、特にフレームに力がかかるハンマー・ピボット・ピンは、左右のウェイトでも支えるようになっているので、フレームにかかる力が軽減されていると思われます。この辺りは上手な設計です。

グリップウェイト単体としてみると、グリップ内側をくり抜いた分まで重量を稼いでします。グリップ重量は2コで60gもあり、カート抜き本体重量270gの約20%を稼いでいます。

ハンマーをコックしてみると、コッキング位置は深すぎる気もしますが、実銃もこんなもののようです。ファイアリングスプリングは実銃どおり、板バネ仕様のようです。コッキング自体は軽いのですが・・・

このモデル最大の欠点が、トリガーの異様な重さ。実銃もかなり重いトリガーのようですが、片手で引けないのは少々やり過ぎの感があります。暴発防止というよりもトリガーSPが強すぎるのでしょうね。

トリガースプリングを取り出すついでに、簡単に分解してみました。ハンマーを付けたままでもハンマースプリングは外れるはずなのですが、フレームに引っかかって外せません。ハンマー関連まで外す必要が無かったので、今回はそのままにしました。

トリガースプリングの調整

固すぎるトリガースプリングを調整してみました。方法はS.A.A.のハンマースプリングと同様トリガー側面を削って軽くします。調整の結果、何とか片手でハンマーを落とす事が出来る程度には軽くなりました。

原因は色々あるにしても、板スプリングを量産するのは難しいのでしょうね。コイルスプリングに取って代わられるのが分かる気がします。

トリガーの調整が不充分なので発火はしませんでしたが、専用カートリッジは最大3キャップ対応の4ピースのもの。外見は.41リムファイアカートリッジによく似せてあります。

カート底面には「U」のスタンプが入っています。他にもアルファベットで何種類かあるようですが、残念ながら意味が分かっていません。それでも、こういうのがあるとリアルな感じで良いですね。

最後に(サマリー)

4半世紀ぶりに新規製作されただけあって、MULE製レミントン。ダブルデリンジャーはメカもリアルでディテールや仕上げも、過去のダブルデリンジャーに比べて、かなり良くなっています。

問題なのは、やはりトリガーの重さで実銃に近いといっても、トイガン的にはメリットにはならないでしょうね。トリプルキャップカートも製作して発火を重視した設計になっているから、余計撃つ気になれないトリガープルが残念です。

価格的には昔のような入門機種的な位置づけでは無いので、各自で調整という余地はあるものの、トイガンとしては普通に片手で引ける事が大前提でしょう。

今後、再生産には時間がかかると思いますけど次回ロットでは改善されることを願います。

参考資料
月刊GUN誌 1993年8月号