東京マルイ コルト M45A1 CQBピストル レビュー

レビュー

実銃についての簡単な説明

2012年にアメリカ海兵隊にMEUピストルとして知られるM45の後継モデルとして、制式採用されたのが、コルト M45A1。

軍用コルトM1911A1の生産が1945年に終了して以降、コルト社としては久しぶりの軍用制式ピストルとして話題になりました

ベースとなったのは民間モデルとして発売されていたコルト XSEにアクセサリーレイルを付けた2009年発売のコルトレイルガン。主な仕様の違いはミルスペックのM1913ピカティニーレイルを採用し、レイル溝の幅が広がりレイル自体も大型化しています。

当初採用されたセラコート塗装の耐久性が弱いために、現在ではpvdコーティングに表面処理が変更されているようです。

東京マルイ コルト M45 CQBピストルについて

東京マルイが,このモデルの製作発表をしたのが2016年11月の「東京マルイフェスティバル」。この時点ではまだモックアップでしたが、翌年11月の同フェスティバルには作動する試作モデルが展示され、2018年2月23日に発売されました。

従来のマルイの製品開発からすると考えられないハイペースです。競合が国内メーカーから、勢いのある海外メーカーに変わったことと関係があるのかもしれないですね。

パッケージはアメリカ海兵隊を意識したもの。ポスター等のビジュアルと同じイメージです。「NOVACK社」の正式ライセンス契約の表示が目を引きます。

パッケージ内はシンプルなディスプレイタイプで、緩衝材の発泡スチロールは上蓋に付いているので見栄えがかなり良くなっています。

この辺の発想が旧モデルガンメーカーとは異なる部分で、パッケージを重視しない海外メーカーとも一線を画している部分です。

「M45A1」の文字の入ったBOX内には、マズルキャップや空撃ち用のマガジンフォロアー、バレルブッシングレンチ、付属BB弾が綺麗に収まっています。

次にM45 CQB本体を見ていきます

スライド左側には実銃通り「COLT USMC」の刻印が入れられています。デザートタンカラーは成型色の上から同色で塗装されているのようです。色目的にはセラコート塗装時代を再現しているみたいです。

スライド右側にはお馴染みの「COLT GOVERNMENT MODEL」の刻印と、フレームには実銃の市販モデルで製造元表記「COLT’PT.F.A.MFG.CO.HARTFORD,CONN. U.S.A.」のある位置に「TOKYO MARUI CO.LTD. MADE IN JAPAN」のオリジナル刻印が入っています。

その下にはシリアル「08113EGA」が。レイル部分には2次元コードと「(17V)13629 (1P)M1070CQBP (S)08113EGA」のコルト社のケージコード、モデルコード、シリアルナンバーの3桁、「U.S」刻印が入れられています。オリジナル刻印以外は、ほぼ実銃通りの刻印となっています。

ベースとなったレールガンよりも大型で肉厚になったレイル部分の形状をきちんと再現しています。特に補強は入っていないようですが肉厚の分、しなりとかは感じません。バレルブッシング、リコイルSPキャップは実銃通りガンメタ色になっています。

実銃用タクティカルライトもガタ無く取り付けることができます。タクティカルライト等のアクセサリーは5インチスライドぐらいが一番バランスが良いですね。

ベースカラーが薄いから仕方ないですけど、頻繁にアクセの取り外しをするとどうしてもレイルの塗装が剥がれたり黒く汚れが目立ってきます。

チャンバー部分上部には「COLT 45 AUTO N.M.(ナショナルマッチ)」の刻印が実銃同様入れられています。エジェクションポートの形状も、右下側を広げた独特のローワイドタイプをきちんと再現しています(ロッキングラグが少し見えすぎの気もしますが)。

フロント&リアサイトはノバックタイプで、ホワイトドットが入った見やすいもの。ハンマーを起こしたブリーチ部分は、以前のモデルにあった六角ナットが廃止されていてリアルになっています。ただ相変わらずブリーチ部分が奥まっているようです。

アンビセフティの右側は、きちんとコルトタイプを再現しています。先に発売されているWAのM45A1が、スウェンソンタイプのセフティを流用していたのに比べると、しっかりコストをかけています。

グリップセフティもよく見ると新規に作られているようです。ガバのバリエの割には新規パーツが多いのに驚きます。

このモデルで唯一気になるところがハンマー。ひとつはフルコックの他にハーフコックも再現されていますが、ハーフコック位置からトリガーを引くとトリガーだけが変なクリック感とともに引けてしまいます(実際はトリガーは動きません)。

フルコックから手を添えてハンマーをダウンさせても強制的にハーフコック位置で止まってしまいます。マガジンを入れたまま指を添えてハンマーをダウンさせると、暴発してしまうことに対する対策だと思いますが、正直違和感がありますね。

2つ目は、ハンマーダウン時のハンマーの位置がどうしても深すぎる気がします。スライドから出ている部分が明らかに小さすぎます。

マルイ製 45A1
実銃 M45A1 GUN Professional 2014年3月号より

実銃と比べてみてもマルイ製M45A1のブリーチ部分が、スライド後端から奥まっているのが分かると思います。

ハンマー形状やフレームのハンマー位置は ほぼ正確だと思われるので、ブリーチ後端が深い分ハンマーがスライドに潜り込んだ状態になっているようです。

寸法上は大した違いでは無いと思いますが、視覚的には目立つんですよね。ハンマー形状を上手にデフォルメすれば、何とかできたと思えるだけに残念な部分です。

ロングトリガーは少し長めに感じますが、写真で比べると実銃どおりのようです。当然新規パーツと言うことになりますね。

グリップは実銃のG10グリップの模様を上手にプリントしています。グリップの滑り止めテクスチャーも再現してありますが、鋭さに欠けているようです。

左から:Vz製G10グリップ、マルイ製グリップ、WA製グリップ

グリップの再現は特殊プリントと言われていますが、雰囲気の表現だけなら2年前に発売されたWAのグリップでも再現されています。滑り止めのテクスチャーまでは再現されていないんですが違和感が無いのが逆に凄いかも。

実銃用Vzグリップと比べると、どちらも微妙に違っています。一番違うのは握ったときの質感と滑り止めテクスチャーの鋭さですけど、素材が違う以上違うのは仕方ないですね。

グリップ内部は中空で、大型のウェイトが入っています。このグリップ1個で84g、左右で168gもの重量を稼いでいるので、グリップ交換はチョット悩みますね。

ちなみに本体重量は約820。若干グリップ周りに重量が集中している感じはありますが、HW素材を使用してないトイガンとしては充分ウェイトを稼いでいます。

グリップスクリューの穴には0リングが入っています。これはグリップスクリューの裏側が山形に膨らんでいる特殊な形状のために、入れられているようです。当然緩み止め効果もあるんでしょうけどね。

マガジンも新型で、従来モデルより気化スペースを拡大しているとのこと。マガジンバンパーも薄型なって実銃通りになっています。

マガジンリップからマガジン上部にかけては一体の樹脂製パーツになっています。一昔前は樹脂パーツをマガジンに使うと劣化でガス漏れの心配があったものですが、素材も改良されているんですね。

装弾数は27発。前面のマガジンスリットからBB弾を流し込める、お馴染みのタイプ。マガジンフォロアーの突起も指をかけやすく装弾が簡単で使いやすいのが良いですね。以前のガバ系モデルとも互換性があるようです。

次に簡単に分解して内部を見てみます

通常分解は実銃のガバメントと同じで、スライドを少し後退させて、溝を合わせてスライドストップレバー抜き出してから、スライドアッセンブリーを前方に抜き出します。

次にリコイルSPをリコイルガイドごと外してから、リコイルプラグを後方に抜き出します。バレルブッシングは付属のレンチを使って左に回してから前方に抜き出しますが、かなり固いので当たりが取れるまではプラハンマーなどで叩いて外す必要があります。

通常のメンテナンス用の分解は、この程度で充分です。

スライドのブリーチ部分を見ると、BLK作動を向上させるためにピストンがスライド後端まで延長されています。ブリーチ固定ネジもスライド後端右側に移されています。

リコイルSPは実銃通りガイドのないタイプですが、セット時にSPにたわみが全くありません。SPの太さと長さがの設計が絶妙なんでしょうね。おかげでSPの組み込みがとても楽です。

スライド内側には金属シャーシが付いていて、スライドストップレバーの突起がかみ合うようになっています。実際のスライドストップノッチとはかみ合わないので、ノッチが削れる心配はありません。

ノッチ削れ対策としては最も効果的ですね。モデルガンからトイガン製造をおこなっていたメーカーからは出ない発想です。

バレルはマットシルバーのメッキタイプで、HopUp調整ダイヤルはチャンバー下部にあります。調整するのにいちいちスライドを外す手間がかかりますが、パーツ数が少ないシンプルな設計です。

スライド部分と異なり、フレーム部分には変更は無いようです。特徴的なディスコネクターの位置など、タニオコバGM7を彷彿させる基本デザインはそのままです。

試射後の簡単なコメント

最初にスライドを引くと、驚くほどスムーズにスライドが弾けます。フレームとスライドのクリアランスだけでは無く、リコイルSPやバレルのショートリコイルの動きがスライドに干渉していないようです。

イベントで「細かい部分を全て見直しました」と豪語していただけのことはありますね。

室温20度、東京マルイ製0.2g BB弾で試射したときの初速は70m/s前後でした。従来のマルイ製GBBよりも作動に回すガスを少なくしている感じです。

その割には過去のガバ系GBBと比べてBLKスピードは速く、切れのある反動になっています。1マガジン27発を連射しても最終弾発車後に問題なくホールドオープンできました。

5m程度の試射ですが弾道はフラットで、集弾性も良さそうです。

東京マルイ M45A1 CQB ピストルの試射動画

最後に(サマリー)

室東京マルイのGBBの中では比較的高額な価格設定ですが、ほとんどのパーツが新規設計であることを考えれば妥当な価格でしょうね。従来のガバメント系モデルと比較すると、逆に割安感さえあります。

なんと言ってもBLKの作動面が別物のように違うので、連射が楽しいGBBとなっています。作動面で気になると言えばHWを使った競合の製品に比べてスライドが軽く感じる事ぐらいです。

ハンマーのハーフコックに関するメカについてはリアルな動きじゃ無いのが気になりますけど、デコッキングレバーのないGBBは、どちらにしろマガジンを抜かないとハンマーダウンできないリアルでは無いメカなので、気にせず慣れるしかないですね。

その点以外はコスパ的にも優秀で、普段使いできるM45A1としては最高ですね。

東京マルイ M45A1 CQBピストル メーカー希望小売価格 19,800円(税別)

参考資料

・GUN Professionals 2014年3月号